がん性疼痛の緩和が目的。WHOの「三段階除痛ラダー」とは?

2018/5/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

がん細胞の浸潤に伴う痛み・「がん性疼痛」。このがん性疼痛の緩和のために、WHOの「三段階除痛ラダー」という考えが用いられているのをご存知でしょうか。詳しくは以降で解説していきます。

がん性疼痛はどんな痛みのこと?

痛みの原因となる部分の刺激物質が脊髄に運ばれ、脳に伝わることで人は痛みを感じます。痛みを感じると、人はその部位をかばうために反射的に引っ込めたりします。つまり、痛みは危険信号の役割を果たすものでもあります。

しかし、がん性疼痛には危険信号の役割はありません。特に意味のない痛みにも関わらず、強い痛みが慢性的に続きます。この痛みによって体を動かせなくなったり、不眠がちになったり、また痛みに敏感になることで鎮痛薬が効きにくくなったりします。

がんによる痛みを和らげる対処法はないの?

がんによる痛みを緩和する医学的な方法としては、以下のものがあります。

放射線療法

放射線を使ってがんを治す治療法です。治療期間が短く、副作用が少ない点が大きなメリットです。がんが転移した部位によりますが、1回の放射線治療で最大限の効果が得られることも多いです。

神経ブロック療法

神経ブロック療法とは、局所麻酔薬を神経や神経の周辺に注射し、痛みを除去する治療法です。特定の箇所に強い痛みがある場合や、鎮痛薬が効きにくい場合などに有効とされています。

また、上記の方法以外にも、趣味など好きなことをする時間を増やす、ストレスを発散するといったセルフケアを行うことも大切です。

WHOの「三段階除痛ラダー」とは?

がん性疼痛に用いられる鎮痛薬の種類は、痛みの強さに応じて変わっていきますが、その基準となるのが「WHO三段階除痛ラダー」です。具体的には、以下の三段階に分かれます。

第1段階(軽度の痛み)

ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの、非オピオイド鎮痛薬(オピオイド鎮痛薬:神経の中に分布するオピオイド受容体と結合し、痛みを緩和する薬)が処方されます。

第2段階(中程度の痛み)

コデインなどの弱オピオイド鎮痛薬に加え、非オピオイド鎮痛薬を適宜併用します。

第3段階(重度の痛み)

モルヒネなどの強オピオイド鎮痛薬に加え、非オピオイド鎮痛薬を適宜併用します。

おわりに:痛みの強さによって、がん性疼痛の処方薬や対処法は異なる

がん性疼痛は通常の痛みとはメカニズムが異なるため、モルヒネなどの薬剤を使って緩和していくことになります。痛みの強さに応じて適切な薬剤や対処法は異なっていくので、専門医にしっかり症状を伝えることが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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