記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
玉ねぎやりんごなどに多く含まれるとされる「ケルセチン」。このケルセチンには、具体的にどんな健康効果が期待されるのでしょうか?以降でご紹介します。
ケルセチンとは、野菜や果物に存在する「フラボノイド」です。ポリフェノール類の一グループであるフラボノイドは、5000種以上存在しており、抗酸化作用やがん細胞の増殖阻害作用、抗炎症作用などの生理機能を持つと近年解明されてきました。
これらフラボノイドの中でも、特に強い抗酸化活性を示すのがケルセチンです。活性酸素は、がんや動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を招きます。ケルセチンには、この活性酸素を除去してくれる効果が期待されています。
ケルセチンは、主に玉ねぎやりんご、サニーレタス、ブロッコリー、モロヘイヤなどに多く含まれています。
抗酸化作用とは、体内の活性酸素を抑制する作用のことです。私たちが日々体内に取り込んでいる酸素の一部は、反応性の高い活性酸素へと変化します。活性酸素は、体内に侵入する細菌を破壊するなど、免疫の役割を果たしていますが、その一方で細胞やDNAを傷つけ、病気を引き起こすこともあります。活性酸素は、化学物質、農薬、食品添加物、ストレス、たばこの煙、排気ガスなどにより、多量に発生する恐れがあります。
ケルセチンは、こういった活性酸素に対し、強力な抗酸化作用を示すと言われています。
ケルセチンには、主に以下の4つの効果があるとされています。
血管内の赤血球は、酸素を運ぶ役割を担っています。しかし、活性酸素によりダメージを負うと血流が滞ってしまいます。ケルセチンは、活性酸素からのダメージを防ぎ、赤血球を活性化させて血流を改善する効果があると考えられています。
日本人女性に行われた研究では、ケルセチンの摂取量が多ければ多いほど、血中コレステロールや悪玉コレステロールが減少したことが明らかになりました。また、ケルセチンには血糖値上昇を抑制する効果もあると言われていることから、脂質異常症などの生活習慣病の予防につながるとも期待されています。
ケルセチンなどのポリフェノールの持つ抗酸化作用は、コレステロールの蓄積を防ぎ、動脈硬化を予防する効果があると考えられています。
ケルセチンには抗炎症作用があるとされ、このことから関節痛を緩和する効果が期待されています。
ケルセチンの効果を最大限発揮するためには、ケルセチンを効率よく摂取する必要があります。ケルセチンには、相性の良い成分があります。例えば、ケルセチンは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収率が高まると考えられています。肉や植物油、サバやサンマなどと一緒に摂るのがおすすめです。
ただ一方で、医薬品との同時摂取は控えてください。免疫抑制剤の代謝や抗菌薬の作用を阻害する恐れがあるからです。服薬中の方は、ケルセチンを摂取する前に、医師に相談するようにしましょう。
ケルセチンは、動脈硬化予防や関節痛の緩和など、さまざまな健康効果が期待されます。特に玉ねぎに多く含まれるので、うまく食生活に摂り入れてみましょう。