記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/2 記事改定日: 2019/1/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠を促す効果があるといわれる「メラトニン」ですが、メラトニンは「アンチエイジング」の効果が期待できるともいわれています。
果たしてそれは本当なのでしょうか?
メラトニンの作用やメラトニンの増やし方とあわせて解説していきます。
メラトニンは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモンです。
メラトニンの分泌量が増えると体温が低下し、体は眠りへの準備を始め、メラトニンが減少すると体温が上がり、身体が覚醒へと向かいます。
つまり、メラトニンの分泌のバランスが整っていれば睡眠リズムも整いやすくなるということです。
また、メラトニンには抗酸化作用があることも報告されています。
人間の体内は、酸化によって細胞が損傷されることで老化していきます。
抗酸化作用のあるメラトニンが十分に分泌されることは細胞の損傷を防いで老化を遅れさせる「アンチエイジングへの効果」が期待できるといわれています。
良い睡眠がアンチエイジングに大切な点は、成長ホルモンの分泌が睡眠中に行われるということが関わっています。
成長ホルモンは、その名前から若い世代だけに必要と思われがちですが、病気やケガの治癒にも関わっていますので、年代を問わずに必要なホルモンです。
成長ホルモンが十分に分泌されることで
などの美容的な効果が期待できます。
ただ、成長ホルモンは30歳前後からは自然と減少することがわかっています。成長ホルモンを少しでも多く分泌させるには、「質の高い睡眠をとる」ことが大切になってくるのです。
上記でも説明したようにメラトニンは睡眠のリズムに大きく関わっています。そして睡眠の質を高めるためには、睡眠リズムを整えることが大切です。
つまり、メラトニンは、メラトニン自身が持つ抗酸化作用に加え、睡眠の質を高めるという点にも美容的なメリットが期待できるといえるでしょう。
メラトニンは、海外ではサプリメントとして販売されていますが、日本では認可されていません。メラトニン受容体作動薬という薬が使われることがありますが、医師の処方が必要な薬のため、美容目的で入手すること難しいでしょう。
メラトニンそのものは食品には極少量しか含まれていませんので、体内のメラトニンを増やすにはメラトニンの材料となるトリプトファンを摂取しましょう。
トリプトファンは、人間の身体では合成ができない必須アミノ酸のひとつで、乳製品や大豆、ナッツ類に豊富に含まれています。
トリプトファンは過剰に摂りすぎると、好酸球と呼ばれる白血球の一種が増加して筋肉に炎症を引き起こす「好酸球増加筋肉痛症候群」を発症することがあります。
また、近年ではトリプトファンが含まれた海外製品のサプリメントが安価で手に入るようになり、手ごろなため愛用している人も多いでしょう。しかし、海外製のサプリメントには品質に差があり、中には人体に危険な成分が含まれているものもあります。
思わぬ健康被害を受けることもありますので、安易にトリプトファンのサプリメントに頼らないようにしましょう。また、どうしても服用したいという場合は、医師や薬剤師に相談してみると安心です。
十分にトリプトファンを摂取したら、メラトニンを増やすための生活を心がけましょう。メラトニンを増やすためには、規則正しい生活が大切です。なぜなら、メラトニンは光がきっかけとなって生成が始まるホルモンだからです。
メラトニンの分泌量は朝目覚めて光を浴びてから、約14時間後に増加し始め、夜中に最大量になるとも言われています。一方で、いつまでも光を浴び続けていると、メラトニンの生成は阻害をされてしまいます。そのため、夜遅くまで明るい場所に出入りをしていたり、スマートフォンやパソコンの光を浴びたりといったことは避けるのをおすすめします。
メラトニンは睡眠リズムとの関わりがあると共に、その抗酸化作用などによってアンチエイジング効果が期待されています。食事や生活習慣などを整え、メラトニンが分泌されやすくなるような生活環境を整えていきましょう。