記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27 記事改定日: 2019/5/16
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
レバーや卵、緑黄色野菜などに含まれる「ビタミンA」。このビタミンAが不足すると、身体にどんな影響が出るのでしょうか?ビタミンA欠乏症の話と併せて解説していきます。
ビタミンAは、わたしたちの生命を維持するために大切な役割を担っている成分です。
ビタミンAの主要な成分はレチノールで、レチノールには目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めるという働きがあります。
また、レチノールは、視細胞での光刺激反応に関与する物質の合成に必要となることから、薄暗いところで視力を保つ働きもしています。
ビタミンAが不足すると、最初に視覚の障害が起こります。目の角膜や粘膜がダメージを受け、症状が悪化すると視力が落ち、子供では失明する場合もあります。
大人の場合は暗順応(あんじゅんのう:視野が暗いところに来てから、目が慣れて見えるようになる現象)の作用が衰え、夜盲症となることが多いです。
また、神経系や皮膚に対しても悪い影響を及ぼします。具体的な内容については、ビタミンA欠乏症の項で詳しくご紹介していきます。
ビタミンA欠乏症は、ビタミンAが不足することによってさまざまな症状が出現する病気です。緑黄色野菜や卵、レバーなどをあまり食べない食文化の地域でみられることがあります。
また、慢性的な下痢やセリアック病などの持病のある方や、腸や膵臓の手術をした方も発症リスクがあります。
ビタミンA欠乏症の主な症状は以下の通りです。
問診と血液検査、網膜電図検査(目の病変を調べる検査)によって診断します。また、血中のビタミンA濃度が低い場合、ビタミンA欠乏症が疑われます。
治療は高用量のビタミンAの投与を始め、視覚異常や皮膚の病変が改善されるまで、用量を減らしながら投与を続けていきます。なお、患者が乳児の場合は、副作用の恐れがあるため、高用量のビタミンAを持続的に投与することはできません。
ビタミンAの1日の摂取量は、成人の場合、男性では900㎍、女性では700㎍と推奨されています。ビタミンAはうなぎやレバー、さつまいも、カボチャなど思いのほか多く含まれる食材も多々あり、場合によっては一食で1日の推奨量を上回ることもあります。
毎日大幅に上回る量のビタミンAの摂取を続けると、肝臓に蓄積して様々な健康被害をもたらすことが分かっています。吐き気や頭痛、関節痛、皮膚炎などの症状が代表的ですが、中には頭蓋内圧が上昇して昏睡状態になったり、死に至る可能性も生じます。
ビタミンAは適度な摂取を心がけ、食事に注意するだけでなくビタミンAが含まれたサプリメントなどは使用方法を良く守って過剰摂取を控えるようにしましょう。
ビタミンA欠乏症は、一般的な食生活をしていれば、発症する可能性は低いです。そのため、ビタミンA欠乏症になった場合は、食生活の乱れ以外に何か重要な病気が隠れている恐れがあります。また、ビタミンA欠乏症によって失明など今後の生活に影響を及ぼしてしまう可能性もあるので、気になる症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。