妊娠中にビタミンAを摂取するときの注意点とは?

2018/3/12 記事改定日: 2019/5/16
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

ビタミンAは視覚や聴覚、成長に働きかける重要な栄養です。しかし、摂りすぎてしまうと体に不調が起こってしまうことがあり、妊婦はお腹の赤ちゃんに影響が出る可能性があります。この記事では、妊娠中のビタミンAの摂取について解説しています。

妊娠初期にビタミンAを過剰摂取するリスクとは?

現在の日本人の食生活ではビタミンAが不足することはほとんどないとされ、普通の量であれば、食事だけで摂取量が過剰になってしまうこともないといわれています。
ただし、ビタミンAのサプリメントを用量以上に摂取すると、過剰摂取になってしまいさまざまな症状が現れることがあります。

ビタミンAを過剰摂取すると、一般的には腹痛、めまい、嘔吐などの急性症状、関節痛や皮膚乾燥などの慢性症状、その他、催奇形性、骨粗鬆症が出現するといわれています。

とくに赤ちゃんの器官を形成する大切な時期ともいわれる妊娠3か月以内の女性や妊娠を希望する女性は、ビタミンAの摂取量は推奨量を超えないようしなければいけません。

それではなぜ、妊娠中のビタミンA過剰摂取はよくないのでしょうか。

ビタミンAは過剰に摂取してしまうと頭蓋内圧が高まります。すると、その圧によって脳の実質が圧迫されることで、頭痛、嘔気、嘔吐、めまい、目のかすみなどさまざまな症状が起こります。
また、妊娠中のビタミンA過剰摂取は、お腹の赤ちゃんに影響(耳の奇形など)が出てしまう可能性があると考えられています。

βカロテンなら多めに摂っても大丈夫?

ビタミンは水溶性と脂溶性に分類されます。水溶性ビタミンは水に溶けやすいという性質を持っているため体内で蓄積されずに尿として排泄されてしまうので体内に過剰に溜まってしまうということはほとんどありません。

一方、脂溶性ビタミンは脂に溶けやすいという性質を持っています。そのため、脂肪細胞や肝臓の細胞などに溜まりやすいという特徴があります。
ビタミンAは脂溶性で体内に溜まりやすく、過剰に摂取すれば過剰症となってしまう可能性があります。

ただ、ビタミンAにはレチノールとβカロテンの2種類があり、ビタミンAで摂りすぎが問題になるのは、この中でもレチノールだけとされています。βカロテンは体内で必要な分だけしかビタミンAに変換されず、残ったものは抗酸化物質として作用するので、体内で過剰に吸収されないのです。

前述した催奇形性をもつのはビタミンAの代謝産物である、レチノイン酸によることが解明されています。

ビタミンA(レチノール)が多い食べ物

ビタミンA(レチノール)が多い食品は以下のようなものが挙げられます。

  • レバー
  • ウナギ
  • 卵黄
  • 小松菜
  • ほうれん草
  • にら
  • かぼちゃ
  • マーガリン

とくにレバーやウナギは含有量が多く、一食のみでも1日の推奨量を上回ることがありますので、過剰な摂取は控えましょう。

妊娠初期はつわりの影響で特定の食品を偏食しがちな妊婦さんが多いですが、妊娠初期は胎児への影響も多い時期ですのでビタミンAの含まれる食品ばかり口にするのは控える必要があります。

また、ビタミンや葉酸のサプリメントにはビタミンAが含まれるものもありますので、服用している妊婦さんは成分に注意してビタミンAが含まれていないものを選んだり、ビタミンAが豊富な食事を摂ったときはサプリメントの服用を中止するなどの対策を行いましょう。

過剰摂取を気にしすぎて不足してしまうのもNG!?

ビタミンAは過剰に摂取するのもよろしくありませんが、逆に不足することもよくありません。
ビタミンAが不足すると妊婦さんの場合は胎児の発達異常につながります。これはお腹の中の赤ちゃんの発育の不良だけでなく、早産を招くおそれがあるのです。

また、母体も免疫系や造血機能が障害される場合や、眼球乾燥症や夜盲症などの目の粘膜に影響が現れることがあります。ビタミンA欠乏症は年齢が若ければ若いほど重症化しやすいとされています。

上記でも触れたように、普通の食生活をしていればビタミンAが不足することはあまりありません。

妊娠初期ではつわりなどによって食事が摂れない、食べてもすぐに吐いてしまうということもあるでしょうが、妊娠初期でつわりがつらいときも食べられそうなものを食べて栄養を補給することが大切です。

どうしても食べられないという場合はかかりつけの産婦人科を受診して点滴などで栄養を注入してもらうことをお勧めします。

妊娠中はバランスの取れた食生活を心がけよう

妊娠中は、妊娠前以上にバランスの取れた食生活を心掛けましょう。
一汁三菜、主食を中心とした食生活にして、エネルギーもしっかりと補給するようにしてください。

主菜を必ず毎食つけて、不足しがちなビタミンやミネラルは副菜を活用して補いましょう。緑黄色野菜はビタミンAの一種であるカロテンも多く含んでおり妊娠中にはぴったりの野菜といえるでしょう。

また、葉酸は胎児の二分脊椎症を防ぐための大切な栄養素ですので積極的に取るようにしましょう。そして果物もビタミンCやカリウム、食物繊維などを体に必要な栄養を多く含んでいる食物です。積極的に摂るようにしてください。

もちろん、これらの食材だけ摂ればいいということではありません。なんでもバランスよく食べるようにし、基本的な栄養は3食の食事からとるように心掛け、サプリメントの乱用は控えましょう。

おわりに:妊娠中は特に食生活に気遣いが必要。今までの栄養バランスを見直そう

妊娠していないときはあまり食生活を気にせず食べたいものを食べるという生活をしていた方も多いのではないでしょうか。しかし、妊娠中に食べたものはおなかの赤ちゃんへ影響します。特に妊娠初期の器官形成の時期は過剰な摂取も摂取不足もNGです。
バランスの良い食事をとり、母体と胎児の健康を維持できるように今までの食生活を見直し、バランスの整った食事を心がけるようにしましょう。

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