タウリンを摂取するにはどんな食べものを食べればいいの?

2018/5/9 記事改定日: 2019/6/5
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

滋養強壮などが期待され栄養ドリンクにも配合されている「タウリン」ですが、タウリンはどんな食べ物に含まれているのでしょうか?具体的な食材と、おすすめの調理法も併せてご紹介します。

タウリンにはどのような作用があるの?

アミノ酸の一種であるタウリンには、体内での「ホメオスタシス作用」が認められています。

ヒトの身体には本来、外部刺激や食事などによる体温や血圧の変化から身を守るために「身体の状態・機能を生命維持に最適な状態に保とうとする機能」があります。この機能を「ホメオスタシス(恒常性維持)作用」と言い、何らかの原因でこの作用バランスが崩れると、病気の誘因となってしまいます。

タウリンには、このホメオスタシス作用を助ける働きがあるため、摂取すると体内の各部位が正常な範囲で働くよう、制御する作用が確認されています。また、他のアミノ酸とは異なり、筋肉、臓器、網膜、骨など体内のあらゆる場所に存在しているため、それぞれの部位の働きも調整してくれています。

なお、タウリンは体内での合成量が少ない成分であるため、食品等で積極的に摂取する必要があります。

タウリンを多く含む食べものにはどのようなものがある?

タウリンは主に動物性の食品、特に魚介類に多く含まれています。ここからは、タウリンが特に豊富に含まれている5つの魚介類について、100gあたりの含有量と1日あたりの摂取量の目安とともにご紹介していきます。

牡蠣

二枚貝の一種である牡蠣は、良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラル等とともに、タウリンも豊富に含んでいます。

100gあたりのタウリン含有量目安は1170mgなので、牡蠣のみからタウリンを摂取するなら、1日あたり100〜500g程度の量を食べると良いでしょう。

比較的高価なため、毎日摂取することは難しいですが、貝類のなかでも特にタウリン含有量が多いので、積極的に摂りたい食材です。

ヤリイカ

イカのなかでも、特にヤリイカはタウリン含有量の高い食材です。

100gあたりのタウリン含有量目安は670mgなので、ヤリイカのみからタウリンを摂取する場合は1日あたり100〜800g程度の量を摂取するのが望ましいでしょう。

牡蠣に比べ安価で手に入りやすく、食べ方のバリエーションも豊富なのが魅力です。

タコ

イカと同じく軟体動物であるタコも、タウリン含有量の多い食品の1つです。

100gあたりのタウリン含有量の目安は1670mgなので、タコのみからタウリンを摂取する場合は、1日あたり100~500g程度を目安に摂取しましょう。

カロリーが低いので、ダイエット中のタウリン補給にもおすすめの食材です。

ホタテ貝

旬を迎えた冬季のホタテ貝は、牡蠣と同程度のタウリン含有量を誇っています。

100gあたりのタウリン含有量目安は、夏は40mg程度なのに対し、旬である冬のホタテ貝では1000mgにもなると言われています。

ホタテ貝からタウリンを摂取する場合は、冬場のタウリン豊富なものであれば1日あたり100〜500g程度の量を食べると良いでしょう。

あさり

牡蠣やホタテ貝に比べると、100gあたりのタウリン含有量目安は421mgと少ないですが、年間を通して安価で手に入りやすいあさりもおすすめの食材です。

100gあたりのタウリン含有量が少ない分、継続して多めに摂取することをおすすめします。

タウリンを含む食材のおすすめの調理法とは?

最後に、タウリンを効率的に摂取するためにおすすめの調理法を、「貝類」「タコ」「その他」の3つのカテゴリに分けてご紹介していきます。

貝類

貝類は生食するとノロウイルス等への感染の危険性が高くなるため、以下のような方法で十分に加熱調理してから食べるようにしてください。

牡蠣、ホタテ貝など大ぶりの貝類のおすすめ調理法

牡蠣やホタテ貝は、殻付きのまま焼きものにしてエキスと一緒に食べるか、相性の良いクリームソースやバターなど乳製品をあわせてオーブン焼きにするのもおすすめです。

また、生のものが手に入らない場合は、ホタテの干し貝柱などをそのまま食べたり、炊き込みご飯やスープにして、戻し汁ごと一緒に摂るのも効果的です。

あさりなど、小ぶりな貝類のおすすめ調理法

100gあたりのタウリン含有量が少なく、小ぶりなあさりなどの貝類は、量を摂りやすい汁物や酒蒸しなどにして食べるのがおすすめです。また、タウリンは水に溶けやすい水溶性のアミノ酸なので、汁物にする場合はタウリンが溶け出した汁まですべて食べるようにしましょう。

タコ

タコは、刺身や寿司として生食でも、加熱して食べてもOKです。加熱する場合は、栄養素を閉じ込められる天ぷら等の揚げ物や、加熱によって溶け出した栄養もすべて摂取できるタコ飯、パエリヤ、汁物などがおすすめです。

加熱調理する場合は、栄養価の高い緑黄色野菜や油揚げ、ひじきなど海藻類とあわせて調理すれば、ビタミンやカリウムなど他の栄養成分も効率的に摂取できます。

その他の調理法

上記でご紹介した他にも、イカなら生食、揚げ物、炒め物、スルメのような乾物を使っただし汁など、さまざまな調理法のバリエーションがあります。

また、これらのタウリン豊富な食材を、微量なタウリンが含まれる卵やチーズ、牛乳とあわせて、グラタンやキッシュなどにして楽しむ方法もあります。

いずれの食材・調理法でも、タウリンを効率的に摂取するためのポイントは「加熱によって溶け出した栄養成分まで余さず摂取すること」です。おいしく、そして効率的なタウリン摂取のために、ぜひ参考にしてください。

タウリンをたっぷり摂れるおすすめレシピ

タウンリンは食事から効率的に摂るのがおススメです。ここでは、タウリンをたっぷり摂れるおススメのレシピを3つご紹介します。

ぶり大根

タウリンは水に溶けやすいため、煮物にして煮汁を良く絡めて食べるようにしましょう。また、魚類では血合いに多く含まれているので積極的に摂取するのがポイントです。

大根は皮をむいて適当な厚みに切り、熱湯で20分ほど茹でておきます。ぶりの切り身は両面に塩をふりかけ、10~20分放置後に良く洗い流し、フライパンで両面の焦げ目がつくまでしっかり焼きます。
そこに、だし汁、しょうゆ、砂糖、酒、みりん、生姜の千切りをお好みの味付けになるよう投入。下ごしらえ済みの大根を入れて落し蓋をし、20分ほど煮詰めれば完成です。

たこときゅうりのサラダ

たこはタウリンの宝庫です。冷たくさっぱりしたサラダに仕上げて、暑い夏を乗り切りましょう。

きゅうりは適当な大きさにカットし、軽く塩もみして水気を取っておきます。
一口大に切ったたこと下ごしらえ済みのきゅうりを器に入れ、サラダ油、レモン汁、酢、塩コショウなどでお好みに味付けしたドレッシングを回し入れてよく冷やせば完成です。

あさりと大根炒め

タウリンが豊富なあさりのうまみを大根にしみこませ、低下カロリーながら十分な栄養が摂れるレシピに挑戦してみましょう。

あさりは十分に砂抜きし、大根は皮をむいて適当な大きさにカットしておきます。オリーブオイルを良く熱した鍋に下ごしらえ済みの大根、アサリを投入し、十分に火が通るまで良く炒めます。
そこに、コンソメ―スープを少々入れて蒸し焼きにすれば完成です。タウリンを効率よく摂取するには、煮汁もしっかりいただくようにしましょう。

おわりに:タウリンは特に魚介類に豊富に含まれている。積極的に摂取しよう

身体を健康な状態に保ってくれる作用のあるタウリンは、貝類、イカ、タコなど、特に魚介類に豊富に含まれているアミノ酸の一種です。日本人になじみ深く、さらにおいしい食材ばかりですので、この記事でご紹介した摂取量の目安やおすすめの調理法を参考に、毎日おいしく、積極的に摂取するようにしてください。

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