記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
抹茶をはじめとするお茶には、「テアニン」といううまみ成分が含まれています。今回の記事では、このテアニンの持つ健康効果や、効果的な摂取方法についてご紹介していきます。
テアニンは、お茶や椿、さざんかなどの植物に含まれるアミノ酸の一種で、一般的にお茶に含まれるうまみ・甘みの成分として知られているものです。
煎茶、番茶、紅茶、抹茶、ウーロン茶など、茶葉の加工方法によってさまざまな種類のお茶がありますが、テアニンはすべての種類のお茶に含まれています。ただし、茶葉の育て方や収穫の時期によって、含まれるテアニン量には大きな差が出ます。
お茶の木の場合、テアニンは根の部分でつくられ、茶葉となる葉に移動していきます。こうして葉に蓄積され、日光を浴びたテアニンは、お茶の渋み成分のもととなるカテキンというポリフェノールに変質する特性があります。このため、長く日光を浴びて育った茶葉や二番茶はカテキンが生成されて渋みが強く、遮光して育てたり、早摘みした一番茶はテアニンが多くなるため、甘み・うまみが強くなります。
乾燥茶葉の平均的なテアニン含有量は1〜2%とされていますが、抹茶は番茶のおよそ12倍ものテアニン含有量と言われています。
テアニンは、うまみ成分として知られるグルタミン酸に似た化学構造をしているため、グルタミン酸と同じような心身のリラックス、健康への効果が示唆されています。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
・興奮を抑え、緊張を和らげてくれる「リラックス効果」
・脳や中枢神経への異物侵入を防ぐ「バリア(脳関門)効果」
・記憶力の向上や認知症予防に役立つ「神経保護効果」
上記の他にも、高血圧への有効性や、抗がん剤とあわせて摂取することで薬の効果を高める作用があるとする報告もされています。
ここでは、お茶のなかでも豊富なテアニン含有量を誇る抹茶の健康効果について、ご紹介していきます。
抹茶は、碾茶(てんちゃ)と呼ばれる茶葉を臼でひいて粉末状にしたものの総称です。抹茶の原料である碾茶は、収穫前に20日以上の長期にわたってシートやワラで茶葉を覆い、日光を遮光して栽培した茶葉から作られています。
この栽培方法で作られた茶葉はうまみが強く、やわらかい味わいになるのが特徴で、これを蒸して、もまずに乾燥させた茶葉が「碾茶」と呼ばれる茶葉になります。碾茶と、碾茶を粉末にした抹茶は主に京都府で生産されていて、上等で鮮度の高いものほど、鮮やかな黄緑色をしています。
抹茶は、粉末状にした茶葉をお湯に溶いて飲むため、お湯で茶葉を煮出す一般的な飲み方のお茶に比べて、茶葉に含まれる栄養成分を余すことなく摂取できます。
抹茶に含まれる代表的な栄養成分には、以下のようなものがあります。
・アミノ酸の一種であるテアニン
・ポリフェノールの一種であるカテキン、サポニン
・ビタミン群のうち、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE
・ミネラル成分であるカリウム、カルシウム
抹茶を摂取することで得られる代表的な健康効果としては、テアニンの効果による認知機能の向上や、ポリフェノール類の働きによる抗酸化作用が挙げられます。この他にも、肝臓の働きを助ける作用も認められていて、これによる血糖値のコントロールや脂質の代謝促進の効果も期待されています。
テアニンを毎日効率的に、長期にわたって摂取し続けるには、毎日の飲料をお茶にするのが最も効果的です。ただし、1日あたりの目標摂取量である200mgのテアニンを普通の緑茶や番茶などから摂取しようと思うと、毎日10杯以上飲まなければならない計算になります。
さらに、お茶に含まれるテアニンの量はお茶の種類によっても変わりますので、毎日安定して目標摂取量程度のテアニンを摂取するには、サプリメントを利用するのが良いでしょう。
近年、テアニン含有をうたったサプリメントは多数販売されています。以下に、効率的にテアニンを摂取できて、かつ続けやすいサプリメントを選ぶためのポイントを紹介しますので、参考にしてください。
まず、自分が普段の生活でお茶などから摂取できるテアニン量を加味して、1日当たりの用量で目標とするテアニン量が摂取できるのかどうか、確認してください。あわせて、一緒に配合されている栄養成分を確認して、テアニンと摂取することで相乗効果を発揮するカフェインやGABA配合のものを選ぶのが良いでしょう。
サプリメントは、継続的に摂取することでその効果を発揮します。このため、長期間飲み続けられる価格であることは、重要な選択基準になります。
毎日摂取するサプリメントなので、できるだけ安全性の高いものを選びましょう。同じような成分・価格で選択に迷ったら、安全基準がしっかりしている日本産のものがおすすめです。
茶葉、特に碾茶を原料とした抹茶に豊富に含まれるテアニンは、記憶力の向上や中枢神経の保護、心身のリラックスに効果的です。また、日本人になじみ深いお茶に含まれているため、日々の生活で摂取しやすい栄養素でもあります。テアニンの健康効果を得たいなら、サプリメントも上手に利用し、効果的に摂取してくださいね。