記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/3/29 記事改定日: 2019/8/1
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
膀胱炎はもともと女性がかかりやすい病気であり、妊娠中は特になりやすいといわれています。妊娠初期には頻尿になりやすく、「もしかして膀胱炎になっちゃった?」と不安を感じてしまう妊婦さんも意外と多いです。この記事では、膀胱炎と生理(月経)、妊娠との関係性について解説しています。
膀胱炎が原因で、生理(月経)が遅れることはありません。ただ、妊娠すると頻尿でトイレに行く回数が増えるため、これを膀胱炎と勘違いしてしまう可能性はあります。
妊娠すると頻尿になるのは、子宮が大きくなって膀胱が圧迫されることやホルモンバランスが変化したこと、また、血流量が増えて腎臓でつくられる尿の量が増えたことで起こるものです。これらは妊娠後の自然な体の変化なので、特に異常というわけではありません。頻尿だからといって、必ずしも膀胱炎を発症したわけではないことを覚えておきましょう。
妊娠初期症状にしろ、膀胱炎にしろ、頻尿の症状が現れること自体は珍しいことではありません。妊娠の可能性があり、かつ、症状が頻尿だけならば、妊娠初期症状である可能性が高いといえます。
ただ、もし頻尿に加えて残尿感(トイレに行ったのに尿が残っているような感じ)や排尿時の痛み、尿の濁りや血尿などがあるようでしたら、膀胱炎を疑ったほうがいいかもしれません。気になる症状が現れたときは、早めに病院で診てもらいましょう。
膀胱炎は女性が発症しやすいと言われていますが、妊娠するとさらに発症しやすくなります。その原因として、以下のようなことが挙げられます。
妊娠中は、自律神経やホルモンバランスが乱れやすい状態になっています。そのため、膀胱炎などの感染症を起こしやすくなります。
妊娠すると膀胱が圧迫されるため、尿意を感じやすくなりますが、排尿時に尿をすべて出しづらくなります。また、トイレに行ってもあまり出ないから…と、トイレを我慢しがちです。このため膀胱内に尿がたまりやすくなり、結果的に膀胱炎を発症しやすい状態になります。
妊娠中に以下のような症状が現れた場合、膀胱炎をおこしている可能性があります。
頻尿だけなら初期妊娠症状の可能性もありますが、自己判断で放置することは危険です。膀胱炎が悪化して、腎盂腎炎などの症状を引き起こしてしまうこともあります。気になる症状が現れたときは、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
妊娠中に膀胱炎になった場合も、基本的に抗生物質を服用して治療します。妊娠中でも安全に飲める薬がありますので、かかりつけの医師に相談してみてください。また、症状が治まったからと途中で薬の服用をやめてしまうと、菌が残ってしまい、膀胱炎を繰り返す可能性があります。自己判断でやめたりせず、医師の指示通りに薬を飲んでください。
妊娠中の膀胱炎を予防するためには、日頃から生活習慣に気をつけることが大切です。
トイレに行ってもあまり出ないからと、我慢するのは良くありません。こまめにトイレに行って、尿を出すようにしましょう。
トイレが近くなるからと水分を控えると、膀胱炎になりやすくなってしまいます。水を多めに飲んで排尿を促し、菌を外に出すようにしましょう。
妊娠中は免疫力が低下し、体調を崩しやすくなります。十分な睡眠と休養、栄養バランスのとれた食事をとり、ストレスをためないよう心がけましょう。
妊娠中はおりものが増えて、いつもより不潔になりがちです。おりものシートをこまめに変えたり、排便後は前から後ろに拭いたりするようにして、陰部を清潔に保ちましょう。
女性はもともと膀胱炎を発症しやすいですが、妊娠中は特に注意が必要です。日ごろから膀胱炎になりやすい生活習慣は控えるとともに、気になる症状が出たら早めに病院へ行くようにしましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。