記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
インターネット通販などで、海外製の「ハマビシ」のサプリメントが購入できますが、このハマビシの効果や摂取に関しては注意点があります。購入を検討されている方は、ぜひご一読ください。
ハマビシ(別名:トリビュラス)は、黄色い花と硬いとげがある果実が特徴のハマビシ科の植物です。温帯から熱帯にかけての温かい地域に広く生息しています。また、近年では環境庁により絶滅危惧種に指定され、大変貴重な植物となりました。
ハマビシは、さまざまな効能をもつ植物として、古代ギリシャやインドで用いられてきた歴史があります。果実部分は「疾黎子 (しつりし) 」と呼ばれ、利尿・消炎作用を持つ生薬として使われていました。
ちなみに、日本では医薬品成分に分類されています。
ハマビシの働きとして最も良く知られているのは、男性ホルモンであるテストステロンへの働きです。テストステロンは、たくましい体づくりに作用するホルモンで、男性の体や心を前向きに、エネルギッシュにしてくれます。このため、筋トレの効果を上げたい方に注目されている成分です。また、女性にも性欲を高める効果や活力を与える効果があるともいわれ、妊活サポートとしての役割も期待されています。
現在、ハマビシ成分を含むサプリメントがインターネットなどで販売されていますが、それは海外製のものです。というのも、ハマビシの果実は日本においては医薬品成分に分類されており、サプリメントなどの健康食品や食品に配合して販売することは禁止されているからです。
また、内閣府の食品安全委員会では、上記に加えて「ハマビシには、神経系、筋肉、肝臓及び腎臓への影響が報告されている」「ハマビシの草木部分についても、一部のEU加盟国は食品サプリメントへの使用は安全でないとして流通を禁止している」という告知を出しています。
そのため、ハマビシのどの部分を使った食品サプリメントであっても、1日あたりの最大摂取量は薬としての使用量を超えないよう呼びかけています。日本の食品安全委員会によると、ハマビシの効果を保証できるようなデータも乏しく、ハマビシの効果に懐疑的な立場をとっています。また、妊娠中の方が摂取すると胎児に悪い影響を及ぼす恐れもしてきされています。授乳中の方も避けた方がよいでしょう。