インフルエンザのときに使っちゃいけない市販薬はあるの?

2018/4/27 記事改定日: 2019/4/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

なかなか忙しくて病院を受診できないときにインフルエンザを発症した場合、市販薬で治療しても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、インフルエンザのときに市販薬を使うリスクと注意点についてご紹介していきます。

子供や乳幼児のインフルエンザで、市販薬を使うのは危険?

インフルエンザにかかった場合、熱や頭痛などの症状が起こることから、市販薬の使用を検討する方もいるのではないかと思います。
しかし、インフルエンザのときに安易に市販薬を使用することはおすすめしません。

乳幼児や子供の場合、インフルエンザの合併症としてライ症候群を引き起こすことがあります。ライ症候群とは、18歳以下に多い急性脳症のことです。突然激しい吐き気や嘔吐が現れ、見当識障害や錯乱を起こして興奮したり、重症になると昏睡状態になって死に至ることもあります。

このライ症候群は、インフルエンザウイルスのほか、水痘(水ぼうそう)ウイルスに感染したあとにも発症することがあります。アスピリンやアスピリンに近い成分の解熱鎮痛剤を使った場合に発症しやすくなることが知られており、子供や乳幼児に市販薬を使うことが危険なのは、このためです。

ロキソニン®にもリスクがある?

解熱鎮痛剤としてよく知られているロキソニン®も、インフルエンザのときの使用にはちゅ注意が必要です。

ロキソニン®などのNSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛剤は、インフルエンザ脳症との関連が指摘されています。これもライ症候群と同様に子供に多いといわれており、成人に対しては病院でも処方されることがあります。

病院によっては、安全性の観点からインフルエンザの場合にはロキソニン®を処方しない、という方針で診療を行っているところもあります。使用する際には医師に相談し、自己判断で服用することは避けるようにしましょう。

インフルエンザのときに使える市販薬はある?

インフルエンザで病院を受診すると抗インフルエンザ薬が処方されることが多いと思いますが、症状そのものは抗インフルエンザ薬を使用しなくても治癒していきます。

ただ、市販薬を使用する場合は、先ほどご説明したアスピリンやNSAIDs(ロキソニン®など)の解熱鎮痛剤は避ける必要があります。
市販の解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェンがおすすめです。アセトアミノフェンは副作用が比較的少なく、子供でも使用することができます。

アセトアミノフェンを使用している代表的な市販薬は、

  • タイレノールA®
  • ラックル®
  • 小児用バファリンチュアブル®

などが知られています。

大人はイブ®やルル®も使用可能

成人であれば、イブ®やルル®などの市販薬も使用することができます。イブ®やルル®に含まれているのは、イブプロフェンという成分です。アセトアミノフェンよりも作用が強く、より高い解熱鎮痛効果が期待できます。

イブ®にはイブプロフェンのみ、ルル®には種類によってイブプロフェンまたはアセトアミノフェンが含まれています。これらの市販薬と抗インフルエンザ薬の併用は可能です。

そのほかにも、イブプロフェンやアセトアミノフェンが含まれている市販薬はあります。購入の際に薬剤師に相談してみるとよいでしょう。

市販の咳止めを使っても大丈夫?

インフルエンザは喉に炎症が生じるため、頑固な咳が出ることもあります。また、咳が強く夜間の熟眠が妨げられるケースも少なくありません。

このため、市販の咳止めを服用する人も多いですが、咳止め薬はあくまでも一時的な効果しかなく、インフルエンザの根本的な治療にはなりません。また、咳の症状が目立たなくなることで肺炎など重篤な合併症の発症を見過ごしてしまう可能性もありますので、自己判断で市販の咳止めを使用するのはおすすめできません。
また、服用した場合でも2~3日ほど経っても改善しない場合には漫然と使用を続けず、病院で相談するようにしましょう。

インフルエンザ治療薬は、花粉症の薬と併用できる?

インフルエンザは春先まで流行している場合もあり、インフルエンザ治療薬と花粉症の薬との併用が気になる方もいるかもしれません。

タミフル®やリレンザ®、イナビル®といったインフルエンザ治療薬のみを使用しているのであれば、アレグラ®やアレロック®、ザイザル®など花粉症の薬は併用しても大丈夫です。

ただし、インフルエンザ治療薬以外のものを内服している場合は、注意しなければならない場合もあります。事前に医師や薬剤師に相談してから、内服するようにしましょう。

おわりに:インフルエンザで市販薬を使う場合は注意が必要

市販薬をインフルエンザの症状緩和に使う場合、合併症などに注意する必要があります。併用してはいけない薬がある場合もありますので、自己判断で使用せず、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

子供(199) インフルエンザ(85) 花粉症(58) アセトアミノフェン(33) イブプロフェン(25) 乳幼児(7) タイレノール(5) 市販薬(34) インフルエンザ脳症(10) ロキソニン(28) アレグラ(7) ライ症候群(3) ラックル(1) バファリンチュアブル(1) イブ(5) ルル(1)