低血圧で頭痛が起こる原因とは!?予防する方法はある?

2018/4/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

低血圧の方によく見られる症状に「頭痛」がありますが、なぜ血圧が低いと頭痛が起こるのでしょうか?以降ではその原因や、低血圧を改善・予防する方法についてご紹介していきます。

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低血圧の頭痛は脳への血流不足が原因

低血圧の人によく見られる症状の1つに頭痛があります。低血圧が原因の頭痛は、午前中に多くみられ、寝ている時には痛くならないことがほとんどです。なぜ低血圧の人に頭痛が起こりやすいのかははっきりとわかっていません。しかし、低血圧が原因で首から上の血液循環が悪くなっていることで、脳への血流が少なくなり血管を広げて血流量を増やそうとして頭痛が引き起こされている可能性が高いと言われています。

また、頭痛が頻繁に起こるからと言って、その原因の全てが低血圧というわけではありません。頭痛は色々なことが原因となって引き起こされるので、症状が長く続く場合には低血圧だからと自己判断せず、病院を受診するようにしましょう。

頭痛だけじゃない。低血圧のその他の症状とは!?

低血圧の人には頭痛だけでなく、色々な症状が見られます。低血圧の人に多い症状は以下の通りです。

・いつも体がだるい
・胃もたれや吐き気などの胃腸症状
・めまいや立ちくらみ
・肩こり
・耳鳴り
・不整脈
・イライラしやすい

この中でも注意が必要なのは、めまいや立ちくらみです。急に立ち上がったり起き上がった時に血圧が下がる起立性低血圧の人によく見られる症状です。めまいや立ちくらみを感じるだけでなく、一時的に目の前が暗くなったり、気が遠くなる人もいるでしょう。ひどい場合には失神してしまう人もいます。

また、食後に血圧が低くなり、心臓や胃が一時的に血液不足になった結果、胃もたれや吐き気を感じる人もいます。食べ過ぎた場合には、吐き気だけでなく下痢をしやすいといった症状がみられることもあるでしょう。

低血圧はどうしたら改善できる?

低血圧の改善には、バランスの良い食事を心がけることが大切です。低血圧の人は朝食が抜けやすいので、まずは1日3食規則正しく食べるようにしましょう。そのうえで、塩分やたんぱく質を取るように心がけるようにします。ただし、塩分は取り過ぎると腎機能に負担をかけるので、塩辛いものではなく、ミネラルや植物性たんぱく質の豊富なみそを積極的に取り入れると良いでしょう。また、たんぱく質では、血圧をあげる「チラミン」という物質を含んでいるチェダーチーズがおすすめです。

次に、お酒は控えた方がよいでしょう。なぜなら、アルコールには血管を広げる作用があるため、お酒を飲んで血液中にアルコールがあると、血圧が低くなってしまうからです。また、普段から血圧が低めの人がお酒を飲むと、起立性低血圧による失神を起こす可能性があります。

更に大切なのは、規則正しい生活を送ることです。低血圧の人の多くは朝が苦手なため、生活が不規則になりがちです。まずは、普段の生活サイクルを少しだけ前倒しして、早寝早起きを心がけましょう。目覚めに太陽の光を浴びると、交感神経が活発になります。また、ウォーキングなどの有酸素運動も自律神経の働きを高め、血圧の上昇に役立ちます。

それでも、めまいや立ちくらみなどの辛い症状が続いている場合には、病院を受診しましょう。

漢方薬で治せる?

低血圧には生活の改善が効果的であるため、体質改善を目的とした漢方薬も上手に使うと低血圧に効果を発揮することがあります。漢方の考えでは、低血圧は虚弱体質の人に多くみられ、漢方薬を飲むことで免疫力がアップし、冷え性が治ったことで血圧が上がることもあるでしょう。

低血圧に効果があるとされる漢方の中でも代表的なものは「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんしょうとう)」です。体が弱く加齢やストレス、肩こりやめまいが見られる人に向いており、飲み続けることで気の流れが良い方向に整えられるので、低血圧の症状も良くなっていくでしょう。

妊娠中の低血圧にも注意!

妊娠中は普段よりも血圧が下がりやすくなります。特に妊娠後期になるほど症状が強くなります。後期には赤ちゃんも大きくなるため、母体の心臓にも負担がかかったり、胃が圧迫して食欲がなくなり、血圧が上がりにくくなることも原因の1つと言えるでしょう。また、長時間同じ姿勢をとったり、長風呂をすると低血圧になりやすいので、注意が必要です。普段から無理をせず、調子が悪い時には横になると症状が落ち着きますが、気になる場合には主治医に相談しましょう。

妊娠中の低血圧を予防する方法は、すでに紹介した低血圧の予防法と同じです。体調によっては3食規則正しく取ることが難しいこともありますが、毎日同じ時間に食事を摂るようにすると、血圧も上がりやすくなるので、できるだけ決まった時間に少量でもいいので取るようにしましょう。

おわりに:生活を改善して低血圧による頭痛を予防しよう

頭痛の原因にもなる低血圧は、生活習慣を見直すことで改善することができます。規則正しい生活を心がけ、1日3食ともバランスのとれた食事にし、定期的に体を動かすことで、徐々に血圧を上がりやすくしていきましょう。

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