記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
“摂食障害”は、多くの若い女性が悩んでいる「心の病」ともいえます。
原因は人それぞれですが、思春期の発症が圧倒的に多いことから、
過剰な美意識、ストレス、不安、家庭環境などから来る心の病気だとされています。
5人に1人は潜在的に摂食障害に陥る危険性を抱えているとも言われ、
誰にも相談できず、深刻に一人で悩みを抱え込んでいるケースも少なくありません。
厚生労働省は、摂食障害を完治が難しい心の病気「難治性疾患」と定め、
医療の現場では、投薬と心理カウンセリングを組み合わせ、治癒を図っています。
友人や家族に摂食障害を持つ人がいる場合、症状を悪化させないために、医師や専門家のサポートが必要になります。自分一人で対処することは極めて困難だからです。
友人や家族に、拒食症、過食症、過食障害などの摂食障害のある人がいたら、誰かに相談したほうがいいと言ってあげてください。サポートを受けられる場所に付き添ってほしいと言われたら、付き添うようにしましょう。
「そばにいる」ことこそが重要なのです。アドバイスや協力を拒絶していると感じても、そばにいてあげてください。心を開くカギは、やはり、人なのです。
摂食障害は、食事量を増やしたり、体重を増やすことだけでは症状は改善しない場合がほとんどです。
そのため治療方法は、まず、摂食障害を引き起こすこととなった原因を探るため、積極的に患者と対話し、同時に、身体的な問題、健康面、食習慣を調べます。
そして、カウンセリングと投薬で、精神面と肉体面の両方に働きかけ、患者が適応できるように治療を行っていきます。
治療は開始するのが早ければ早いほど、また、真剣に向き合えば向き合うほど、より良い回復が期待できます。
摂食障害の患者は、ほとんどが通院患者です。定期的に医師の診療を受けながら、症状の改善を目指します。しかし、症状が重度で深刻な場合は、集中ケアや専門治療を受けるために入院する場合もあります。
患者の体重が大幅に減少し、餓死や深刻な合併症の危険に晒されている場合、医師は、患者と話し合い、同意を得たうえで専門的な治療を受けさせるべく入院させます。
患者のことを気にかけていて、会いに行きたいということを伝えてください。会えないとしても、電話やメールをしたり、手紙を書いたりして、いつもそばにいるということを伝えてください。患者にとって、それ以上の心強い励みは存在しません。
摂食障害からの回復は簡単ではなく、時間もかかります。治りたい想いとは裏腹に、自分が信じてきた食習慣を変えることに対する恐怖心も生じます。
「絶対に太りたくない」という思いは、容易には消えません。一方的なアドバイスや、批判は絶対にしないでください。より心を閉ざす危険があります。
摂食障害を治すためには、適切な治療、そして何よりも家族の理解が必要です。