片頭痛とは、どんな頭痛?原因や対処法にはどんなものがある?

2018/3/23 記事改定日: 2019/2/27
記事改定回数:1回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

突然ズキズキとした痛みが始まったかと思ったら、胃のむかつきや吐き気、目がまぶしくなってきた・・・。片頭痛になると、このようなつらい症状に悩まされます。
この記事では、片頭痛の症状や原因とともに、痛みに効く薬や対処法をご紹介します。

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片頭痛の症状の特徴は?

片頭痛は、特に女性に多くみられる発作性の頭痛です。主な症状として、以下のようなものがあります。

  • 年数回~月数回の発作的な頭痛に悩まされる
  • 目がチカチカしたり、視野の一部が欠けたりといった前兆が出ることもある
  • 痛みは左右どちらか一方にだけ出ることもあるが、両側が痛むこともある
  • ズキズキ、ガンガンと脈を打つような痛みが4時間~3日間ほど続く
  • 姿勢を変えたり、頭を動かしたりすると痛みがひどくなる
  • 痛みがひどくなると、仕事や家事などが手につかなくなってしまう。痛みがひどいときは横になってしまう
  • 胃がむかむかする
  • 吐き気をもよおしたり、実際に嘔吐してしまったりする
  • 光や音、においに対して敏感に反応してしまう

片頭痛の原因は?

現在のところ、片頭痛の原因はまだはっきりとわかっていません。ただ、脳の太い血管を取り巻く三叉(さんさ)神経が、なんらかの原因で刺激されることが原因で痛みが起こるのではないかと考えられています。

脳の太い血管のまわりには、三叉神経から伸びた神経が張り巡らされています。この血管がなんらかの原因で広がってしまうと、周辺にある三叉神経が圧迫されて刺激を受けます。この刺激により、痛みの原因となる神経伝達物質が血中に放出されて血管の周りに炎症が起こります。
この炎症によって、血管がさらに広がって三叉神経を刺激し、脈打つたびにズキズキとした痛みが起こると考えられています。

この三叉神経からの刺激が視覚や聴覚、嗅覚に伝わると光や音、においに敏感になり、吐き気をコントロールする神経(嘔吐中枢)に伝わると吐き気や嘔吐といった症状が出てきます。

また、セロトニンのが過剰に放出されることも、血管が拡張する原因のひとつと考えられています。過度のストレスで脳が刺激を受けると、血小板(血液に含まれる細胞成分の一種)からセロトニンが大量に放出されます。セロトニンには血管を収縮させる働きがあるため、大量放出によって脳の血管も収縮するのです。

その後、時間が経つにつれてセロトニンの量が減ってくると、今度は収縮していた血管が反動で急激に広がるため、頭痛が起こると考えられています。

なお、片頭痛は遺伝も関係しています。このため、家族に片頭痛の人がいる場合は、自分の頭痛も片頭痛である可能性が高くなります。

片頭痛かどうかはどうやって診断される?

片頭痛かどうかは、頭痛の種類や症状、前兆があるかどうか、発作のきっかけがあるか、などの問診・身体診察で行われます。もし、他の病気(たとえば脳卒中など)を否定したいときには、頭部CTスキャンやMRIなどの検査が行われることもあります。

片頭痛の治療法は?

片頭痛の発作が起きたら、まずロキソニン®︎やカロナール®︎といった鎮痛剤を使います。それらが効かない場合は、トリプタン製剤を服用すると症状が改善することが多いです。

トリプタン製剤にはイミグラン®、レルパックス®、マクサルト®、アマージ®、ゾーミッグ®があり、あるトリプタン製剤が効かなかった場合も別のトリプタン製剤が効く可能性があるので、薬の種類を変更しながら自分にあう薬を探すこともあります。

なお、吐き気や嘔吐に対しては、プリンペラン®など吐き気止めの薬が使われることがあります。。

日常生活のなかに片頭痛のきっかけが隠れている?

片頭痛では人によって、発作が起きるきっかけがある場合もあります。

きっかけとして多いのは、精神的なストレスや緊張、寝不足、疲れ、寝すぎ、月経前、雨、におい、アルコール(特に赤ワイン)、食品(チョコレートなど)、空腹などです。

特に、女性の場合は月経(生理)が関係していることも多いので、月経と痛みの発作を記録しておくと、発作が起きやすいタイミングがわかることもあります。自分の片頭痛発作を起こすきっかけをつかんで、それを避けることが大切です。

自分でできる片頭痛の予防対策とは?

片頭痛は適切な予防対策を講じることで、頭痛発作を予防したり頭痛の程度を軽減できることがあります。自分でできる対策としては以下のようなものが有用です。

  • 騒音やまぶしい光など片頭痛を引き起こす原因を避けるようにする
  • 日頃から「頭痛日誌」をつけ、頭痛の周期を把握し、頭痛が起こりそうな場合には無理せずゆっくり休むようにする。
  • ストレスを溜めない生活を心がける
  • 睡眠時間をしっかり確保し、疲れを溜めない
  • 食生活に注意し、ビタミンの多い野菜を積極的に摂取する
  • 治療薬を持ち歩き、何らかの前兆症状があるときは予防的に内服する

おわりに:痛みが頻繁に起こるときは、専門の病院で診察を

片頭痛の発作が始まると、目や耳、においに敏感になりすぎるあまり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。鎮痛剤をたくさん飲んでも痛みがおさまらなかったり、頻繁に発作が起こるようでしたら、一度専門の病院(頭痛外来や脳神経外科、神経内科があるところ)で診てもらいましょう。

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