記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/23 記事改定日: 2019/9/25
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
拒食症は自分が太りすぎていると思い込んでしまい、食事を極端に制限してしまうことです。深刻な状態になると著しく栄養が不足し治らない病気を抱えてしまったり、ひどいときには死にいたることもあります。
ここでは、拒食症の特徴や兆候、治療で注意することなどを解説します。
拒食症とは、できるだけ体重が少ない状態を維持しようとして摂食障害に陥る、深刻な精神状態のことです。
この状態は、体型に対する不安(太りすぎている、もっと痩せたい、など)が原因で起こり、食事の摂取量を減らしたり、わざわざ吐いたり、過激な運動をしたりすることで低体重を維持しようとします。
自分自身に対するイメージが歪曲されているため、実際は太っていないのに「私は太っている」と思い込むようになって発症しますが、うつ病、不安障害、自尊心の低下、アルコール中毒、自傷行為など別の心理状態が関係している場合があります。
16〜17歳くらいの女性に多くみられますが、近年では男性の拒食症も増えてきています。
拒食症の人は、家族や友人に自分の行動を隠します。たとえば、何も食べていないのに「食べた」とうそをついたり、早めに食事を摂ったといったことがみられます。
拒食症をはじめとする摂食障害を抱えている人の行動には、以下のような傾向がみられます。
拒食症の多くは自分に問題があることに気づいていないため、人に助けを求めることはほとんどありません。
拒食症を抱えている人自身が「支援が必要」ということに気づき、状況を改善したいと思うことが改善の第一歩です。
もし家族や知人が拒食症を抱えている可能性があれば、治療をうけるように後押ししましょう。
ただ、拒食症の人は自分に問題があるという事実を受け入れないことが多いので、納得してもらうのは難しいかもしれません。
このようなときは、摂食障害の人を支援する団体に相談することから始めてみましょう。
拒食症の根本的な治療は、食行動の改善や自己の体型・容姿などに対する誤った認識を正すための認知行動療法を始めとした心理療法が主体となります。
医師や臨床心理士とのカウンセリングなどを重ねていくことになりますが、場合によっては患者本人だけでなく家族も含めて治療を行っていくケースもあります。
また、拒食症の人は抑うつ傾向や極度な不安を感じるなど精神的に病的な状態に陥ることも多く、症状に合わせて向精神薬や抗不安薬などによる薬物療法を行うこともあります。
多くは通院で治療を続けていきますが、極端に体重が減少して生命に危険を及ぼす可能性がある場合には入院して点滴や経管栄養などを行いながら栄養管理をする必要があります。
拒食症の完治には数年間かかることもあり、再発も珍しくありません。
また、拒食症が治ったあとに何らかの摂食障害を抱える人も多く、拒食症の治療をしないまま長期間放置してしまい、別の問題(たとえば骨粗鬆症、不妊、動悸などの心臓疾患)を抱えることになってしまうこともあります。
拒食症を治し、再発や重症化を防ぐためには。
が大切です。
拒食症の人は、症状に問題があることに気づいていません。そのため、周囲の人が「おかしいな」と気づいてあげることが重要になります。
少しでもおかしいと思うことがあれば、早めに専門医に診てもらうように説得しましょう。もし説得が難しいというときは、拒食症の人を対象にした支援団体もあるので、どうしたらいいか相談してみてください。