カロリーが気になって食べられないのは拒食症ではありませんか?

2017/3/23 記事改定日: 2019/1/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

精神的な問題が原因で起こることが多いのが、拒食症をはじめとする摂食障害です。自分が太りすぎていると思い込んで、食事を制限したりしてしまうことですが、深刻になると栄養失調や死にいたるケースがあります。ここでは、拒食症の兆候と治療方法、注意すべきことを解説します。

拒食症(神経因性食思不振症)とは

拒食症とは、摂食障害に陥り、できるだけ体重が少ない状態を維持しようとする深刻な精神状態のことです。この状態は、体型に対する不安(太りすぎている、もっと痩せたい、など)が原因で起こり、食事の摂取量を減らしたり、わざわざ吐いたり、過激な運動をしたりすることで低体重を維持しようとします。

自分自身に対するイメージが歪曲されているため、実際は太っていないのに「私は太っている」と思い込んでいます。一般的には女性に多くみられる症状ですが、近年では男性にも拒食症がみられるようになっています。この状態は、平均的には16~17歳であらわれ始めます。

拒食症の兆候・症状

拒食症の人は、家族や友人に自分の行動を隠します。たとえば、何も食べていないのに「食べた」とうそをついたり、早めに食事を摂ったといったことがみられます。

拒食症をはじめとする摂食障害を抱えている人の行動には、以下のような傾向がみられます。

  • 食事を抜く、または非常に少食、あるいは脂肪を含む食事を摂らない
  • 異常なまでに食事のカロリーを計算する
  • 速やかに食卓を離れる(嘔吐するために)
  • 食欲抑止剤、緩下剤、利尿薬などを服用している
  • 何度も体重計に乗ったり、鏡で体をチェックする
  • 体に異変がある(めまい、抜け毛、乾燥肌など)

拒食症は、うつ病、不安障害、自尊心の低下、アルコール中毒、自傷行為など別の心理状態が関係している場合があります。

拒食症を治すには?

拒食症の人は、そもそも自分に問題があることに気づいていないことが多いため、人に助けを求めることはほとんどありません。したがてt、拒食症を抱える人自身が、支援が必要ということに気づき、状況を改善したいと思うことが最も重要で、これが最初の一歩です。

家族や知人が拒食症を抱えている可能性があれば、治療をうけるように後押ししましょう。ただ、拒食症の人は自分に問題があるという事実を受け入れない可能性があるので、話をするのは難しいかもしれません。しかし、ここで相手を非難したり、治療を強要したりするのはかえって事態を悪化させかねないので注意が必要です。このような心配があるときは、まず摂食障害の人を支援する団体に相談することから始めるのもよいかもしれません。

拒食症の治療

拒食症の治療をはじめる前に、まずは患者の肉体面、心理面、社会面に関するニーズ調査を行う必要があります。これは、医師らからの最適な治療法を受ける上で重要です。

多くの場合、拒食症の治療は心理療法によるものと、安全に体重を回復させるための、患者個人にあわせた食事・栄養面のアドバイスがされます。大抵の人は通院しながら治療を受けることができますが、深刻な拒食症の場合は入院による治療が必要になることもあります。

治療の重要性

拒食症の完治には数年を要する場合もあり、再発も珍しくありません。たとえば、女性が妊娠中に増えた体重を減量しようとすれば再発の可能性があります。

拒食症の半数以上は、治療後も摂食障害を抱えることになります。拒食症の治療をしないまま長期間過ごしてしまうと、別の問題(たとえば骨粗鬆症、不妊、動悸などの心臓疾患)が生じる可能性もあります。また、拒食症は栄養失調や自殺に至ることもあり、拒食症が精神病関連の死亡者数を増やしている要因にもなっています。

おわりに:身近な人の拒食症のサインに注意しよう

拒食症の人は、症状に問題があることに気づいていません。そのため、周囲の人が「おかしいな」と気づいてあげることが重要になります。もし、自分が拒食症ではないかと少しでも不安に思う場合は、できるだけ早く治療を受けましょう。家族や友人など、信頼の置ける人に打ち明けるところから始めてもいいですし、最初から専門の医師に相談してもよいでしょう。

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