海外旅行に行く前にうけておくべき黄熱病の予防接種

2017/3/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

黄熱病とはウイルスにより起こる病気で、感染の危険性が高い国では、予防接種を受けていないとスムーズに入国できないというところも多数あります。この記事では、海外旅行を控えている方に向けて、どんな場合に黄熱病の予防接種をうけるべきかを解説していきます。

黄熱病の予防接種はどんなときに必要?

黄熱に感染する危険性が高い地域への旅行を計画している場合は、旅行前に必ず予防接種を受けるようにしてください。

黄熱病の予防接種について

黄熱病の予防接種は1回の注射で投与されます。身体が黄熱感染に対する免疫を十分につけるためには10日間の時間を要するため、遅くても旅行の10日前には予防接種を受けましょう。黄熱病の予防接種を受けたという証明書は接種を受けた10日後から有効になります。
この予防接種を受ければ、黄熱感染を95~100%予防することができます。この免疫は最低でも10年間続き、生涯続くこともあります。黄熱病の予防接種は指定された施設でのみ受けることができます。

黄熱病の予防接種の証明書

黄熱感染の危険性がある国の中には、黄熱病に対する予防接種を受けたかを確認するために、当局者が入国を許可する前に証明書の提示を求める国もあります。このような国、あるいは他の国でも、黄熱感染の危険性が高い国からやってきた場合には、当局者から証明書の作成を要求されます。
この証明書は「予防接種又は予防薬の国際証明書(ICVP)」として知られています。旅行会社は、顧客が休暇旅行や飛行機を予約する際に、この証明書が必要であるかどうか伝えなければなりません。
証明書を失くしてしまった場合、予防接種を受けた機関で再発行することが可能です。

黄熱病の予防接種が危険な人

潜在的な副作用や合併症を起こす危険性のある人には、黄熱病の予防接種は推奨されていません。以下のような人が対象です。
・生後9ヵ月以下の乳児。6~9ヵ月の乳児は予防接種を受けることがありますが、旅行中に黄熱に感染する危険を避けることができないときにのみ実施されます。
・妊娠中、あるいは母乳育児中の女性
・60歳以上の人
・免疫系の弱い人(HIV感染者や放射療法を受けている人など)
・ワクチンに含まれる成分のいずれかに対してアレルギー反応がある人(ワクチンには少量の卵が含まれているため、卵アレルギーの人も対象となります)
上記のような理由で黄熱病の予防接種が受けられない場合は、禁忌証明書が発行されますが、これで入国可能な国なのかは事前に確認する必要があります。
予防接種を受けていない場合、旅行中には虫除けスプレーや蚊帳を使うことなどによって、蚊に刺されることを特に用心して予防しなければなりません。

黄熱ワクチンの副作用

黄熱ワクチンを投与された後、3人に1人が以下のような軽度の副作用を生じます。
・頭痛
・筋肉痛
・軽度の発熱
・注射を打った部分の痛み
通常、注射を打った部分への副作用は、予防接種を行ってから1~5日後に現れます。ほかの副作用は2週間ほど症状が続くこともあります。
<まれな黄熱ワクチンの副作用>
以下のようなめったに起こらない、しかし深刻なものになる可能性のある副作用が生じることもあります。
・ワクチンに対するアレルギー反応:130,000回のワクチン投与の中でおよそ1度だけという割合で起こります。
・黄熱ワクチン由来の神経向性疾患(YEL-AND):脳や神経系に影響を与え、精神錯乱や動作、筋肉運動の協調がうまくいかなくなるなどの症状を引き起こします。250,000回のワクチン投与の中でおよそ1度だけという割合で起こります。
・黄熱ワクチン由来の内臓向性疾患(YEL-AVD):内臓に影響を与え、臓器機能停止に繋がる場合もあります。330,000回のワクチン投与の中でおよそ1度だけという割合で起こります。
生まれたばかりの乳児や高齢者はYEL-ANDやYEL-AVDになる危険性がより高くなっています。このために、これらの年代の人には常に予防接種が推奨されていません。

黄熱ワクチンの追加接種について

以前は、黄熱感染が確認されている地域へ再び渡航しようとしている人全員に、10年ごとの黄熱ワクチンの追加接種が推奨されており、予防接種証明書の有効期限は10年でした。
しかし最近になって、世界保健機構(WHO)が追加接種は不要ということを示唆して、2016年7月11日より、予防接種証明書は生涯有効のものになっています。

おわりに:黄熱病の予防接種が必要かを事前に確認しましょう

これから海外旅行を予定されている場合は、目的の国が黄熱病の予防接種が必要な国かを確認しておきましょう。そして、まだ予防接種を受けたことがないという人は、早めにお近くの検疫所等で予約してください。一度証明書が発行されれば、それは生涯有効になるため大事に保管しましょう。

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