手足口病のかゆみはいつまで続く?対処法はある?

2018/5/7 記事改定日: 2019/11/25
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

口の中や手足に水ぶくれができる「手足口病」では、皮膚のかゆみを伴う場合があります。このかゆみはいつまで続くのでしょうか?
この記事では、手足口病のかゆみが続く期間とかゆみを抑える対策について解説していきます。

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手足口病のかゆみはどのくらい続く?

患者の年齢や体質などによって個人差もありますが、一般的には、手足口病によるかゆみは発疹が出てから1週間以内に治まるケースが多いです

手足口病によるかゆみの症状の出方と期間については、以下のようになります。

子供が発症した場合
  • 発疹が出始めてから3日までにかゆみと痛みが強くなる
  • 発疹が出て4日目くらいにかゆみと痛みのピークを迎え、水疱がつぶれ始める
  • 5日目以降を目安に新たな発疹は出なくなり、1週間ほどで回復する
大人が発症した場合
  • 発疹が出始めてから3〜4日目までに、痛みとかゆみがピークを迎える
  • 子供に比べ大人の方が症状の出方が強く、かゆみのため眠れない人もいる
  • 5日目以降になると新たな発疹も出なくなり、痛みとかゆみの症状も軽減される
  • 発疹が出始めてから1週間後には症状も軽減され、発疹も出なくなる

※上記は一般的な例で、症状の重さや出方には個人差があります。

手足口病のかゆみ対策としてやっていいこと・ダメなことは?

手足口病の治療法は、薬物を使って症状を抑える対症療法が中心になりますが、手足口病のかゆみが強い場合には、「やっていいこと」と「ダメなこと」があります。

手足口病のかゆみ対策として、やっていいこと
  • タオルで巻いた氷や保冷剤を使って、発疹を冷やす
  • 抗ヒスタミン薬や虫さされ用の薬剤など、市販のかゆみ止め薬を塗る
  • 医療機関で診断してもらい、症状と体質にあわせたかゆみ止め薬を処方してもらう
手足口病のかゆみ対策として、やってはダメなこと
  • 暖房や入浴によって身体を温めて、皮膚への血流を良くすること
  • 直射日光を浴び、皮膚に熱などの刺激を与えること
  • 熱いものや辛いものなど、血行を促進するような食事を摂ること

市販薬の選び方

手足口病によるかゆみを軽減するためには、ジフェンヒドラミンが含まれた新レスタミンコーワ軟膏®やアゼラスチンが含まれたムヒAZ錠®などの内服薬が有用です。

皮膚のかゆみに対しては、ステロイドの含まれる塗り薬を使用する人もいますが、手足口病の時にステロイドを使用すると、ウイルスの活性を高めて症状を悪化させることがありますので控えましょう。

ただし、市販薬で症状を軽減できる場合でも、かゆみが漫然と長引くような場合には病院を受診して適切な検査・治療を受けるようにしてください。

手足口病の症状は、かゆみ以外にどんなものがある?

手足口病のかゆみ以外の症状で代表的なものは

  • 手のひら・足の裏・甲・口の中にできる赤い水疱
  • 水疱の痛み
  • 発熱

などです。

水疱の出方、かゆみ・痛み・発熱の程度など症状には個人差が大きいですが、特に口の中の水疱は口内炎になりやすいため、痛みが強くなる傾向があります。

5〜7月ごろの夏季に流行しやすく、5歳未満の幼児がかかりやすい感染症であることから、ヘルパンギーナや咽頭結膜炎と並び、子供がかかりやすい夏風邪の代表格とされます。

人によっては水疱が背中に出たり、発症から1〜2か月後に手足の爪がはがれ、生え変わるという症状も報告されています。
またごくまれに、重症化するとウイルスが脳や髄膜にまで入り込み、髄膜炎や脳炎などの合併症を引き起こすこともあります。

大人が発症すると重症化しやすい

手足口病はウイルス性の感染症であるため、一度感染・発症すると体内に抗体ができて耐性がつくため、大人が感染・発症することは少ないといわれています。
実際に、手足口病の患者のおよそ80%は5歳未満の幼児と報告されていますが、以下のような条件を満たす場合は、大人への感染も起こり得ることがわかっています。

  • これまでに一度も、手足口病に感染した経験のない人
  • 過去に感染したことのない種類のウイルスがある人

大人が発症した場合も基本的な症状は同じですが、発疹の出方や出る場所が子供と異なるケースもあり、手足口病だと気づけないケースも多いです。

また、子供に比べて高熱や悪寒、のどの痛みなどの重い風邪のような症状や、脳炎など重篤な症状に進行しやすいともいわれていますので、注意が必要です。

大人から大人への感染は?

手足口病はウイルスによる感染症です。一度感染すると免疫ができるため再び感染することありません。しかし、手足口病の原因となるウイルスは数が多いため、別のウイルスに感染した場合は再び手足口病を発症することがあります。

手足口病は子供の間で流行しやすい感染症ですが、そのウイルスに対して免疫を持っていない場合は大人から大人に感染して手足口病を発症することもあるのです

職場復帰する際は次のことに十分注意して周りに感染を拡げないようにしましょう。

  • 症状がよくなった後も2~3週間ほどはマスクを着用する
  • ウイルスは症状が治まった後も2~4週間は便に排出されるため用便後の手洗いを徹底する
  • 皮疹がある間は出勤を控える
  • 手洗いのタオルなどは共用しない
  • 職場でスリッパを履く場合は共用しない

おわりに:手足口病のかゆみは発症から4日目くらいまでがピーク!

発疹・発熱・悪寒などの辛い症状が出る手足口病ですが、発疹によるかゆみと痛みのピークは、発症から4日目くらいまでと言われています。この4日目を超えるまでは、身体を冷やしたり、かゆみ止め・痛み止めの薬を上手に活用して症状を緩和するしかありません。

ただし医療機関を受診すれば、症状と体質に合ったかゆみ止め薬を処方してもらえますので、手足口病が疑われる症状が出たら、年齢にかかわらずすぐに病院に行ってくださいね。

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