手足口病で喉(のど)の痛みが出ることはある?

2018/4/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

主に夏などの暑い時期、子供を中心に流行する手足口病。手足や口の中にできる水ぶくれが主症状ですが、喉の痛みが生じることもあるのでしょうか?別の病気の可能性について解説します。

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子供の手足口病で喉(のど)の痛みが出ることはある?

手足口病は、ウイルスが原因で起こる感染症で、口の中や手のひら、足の甲や裏に水ぶくれのような発疹ができるのが特徴です。口の中にできる発疹は潰瘍を形成することもあり、痛みを伴います。そのため、食事や水分が十分に取れなくなることが多いです。

発疹が喉の粘膜までできてしまうと、喉の痛みを訴えることもあります。発疹はかさぶたになることはなく、1週間程度でなくなります。そのため、口の中や喉の痛みもそれに伴って消失していきます。

大人が手足口病になると、喉が痛くなることも・・・

大人が手足口病にかかった場合、発熱や喉の痛みといった、風邪のような症状が初期症状として起こることがあります。その後、発疹や全身の筋肉痛や関節痛といった症状が起こることが多いようです。

大人の場合、発疹による痛みも小児より強く出ることが多いです。そのため、初期の風邪のような喉の痛みだけでなく、発疹による喉の痛みも強く現れます。発疹が出てから喉の痛みが消失するまでには10日ほど、発疹が消失するまでには2週間ほどかかります。

喉の痛みが強いときには食事や水分をとりにくくなってしまうので、脱水症状を起こさないように注意する必要があります。

喉の発疹に加えて高熱が出ているときは、別の病気の可能性も

手足口病と同様に口の中の発疹が起きる病気に、ヘルパンギーナという病気があります。ヘルパンギーナと手足口病は、同じエンテロウイルスが原因で起こる感染症です。どちらも夏に流行する傾向にあり、まれに大人も感染することがあります。

ヘルパンギーナの特徴は、39℃以上の発熱が突然起こることです。それに続いて喉の痛みも出現し、小さな水疱もたくさんできてきます。手足口病の場合は、発熱してもそこまでの高熱にならないことが多いです。そのため、喉の痛みに加えて高熱が出た場合は、手足口病ではなくヘルパンギーナである可能性もあります。

喉の痛みはヘルパンギーナの方が強いことが多く、食事や水分を受け付けなくなることも多いです。

ヘルパンギーナだった場合の対処法は?

ヘルパンギーナも手足口病と同様に、特効薬や予防のためのワクチンはありません。そのため、症状に合わせた治療を行いながら、経過観察していくことになります。発熱や頭痛に対しては解熱鎮痛薬が処方されたり、発疹に対しては粘膜を保護するための軟膏が使われたりすることもあります。

水分が不足している場合には、点滴で必要な水分を補ったりすることもあります。まれに、合併症として無菌性髄膜炎や急性心筋炎を起こすことがあり、その場合にはそれに必要な治療を行うことになります。

ウイルス感染を予防するために

手足口病やヘルパンギーナの発症を予防するための薬やワクチンはありません。そのため、予防するためには手洗いをしっかり行うことと、排泄物の処理をきちんとすることが大切です。

手足口病・ヘルパンギーナの感染経路のひとつは、接触感染です。手に付着したウイルスが口から体内に侵入することによって感染します。特に、おむつ交換後の手洗いが不十分だったときに起こりやすいので注意が必要です。感染源となるウイルスは、症状が回復したあとも、2〜4週間くらいは排泄物に潜んでいることが多いです。排泄物はきちんと処理し、子供のおむつ交換をしたあとにはしっかりと手洗いをするようにしましょう。

おわりに:手足口病もヘルパンギーナも、感染予防が重要

口の中に発疹が起こることが特徴的な手足口病とヘルパンギーナですが、どちらも予防のためのワクチンや治療薬がないため、日頃から感染予防をすることが大切です。手洗いや排泄物の処理など、感染を拡大させないためにも注意するようにしましょう。

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