糖尿病治療で血糖値が下がらない!血糖値を下げるのに役立つ食品って?

2018/5/7 記事改定日: 2020/9/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

インスリン注射などの糖尿病治療を行っていても、なかなか血糖値が下がらないのはなぜでしょうか。今回の記事ではその理由や血糖値を下げる方法を中心にご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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糖尿病治療をしても血糖値が下がらないのには理由がある

「糖尿病の薬を飲んでいても血糖値が下がらない…」という悩みを抱える方は多いでしょうが、治療薬に頼るだけで血糖値を下げることは難しいです。糖尿病になるとインスリンの分泌量は、健康な人と比べ非常に下がるため、食生活の改善など生活レベルの見直しをしなければ、血糖値を安定させることはできません。
血糖値が下がらない具体的な理由としては、以下のことが挙げられます。

食事制限が不十分

毎日おやつを食べていたり、炭水化物(糖質)を過剰摂取していたり、夜遅い時間に食事を摂っていたりすると血糖値は上がってしまいます。おやつは少量でも毎日食べるよりも、週1回に抑えてみましょう。毎日の食事は、規則正しくバランスの良い内容を心がけてください。

運動不足

運動量や筋肉量の少ない人、体脂肪の多い人、メタボリックシンドロームの人はインスリンが効きにくい体になってしまっています。こういった体の人はインスリンの必要量が多いため、インスリン注射や薬の内服だけでは血糖値コントロールを十分行うことができません。適度な運動を心がけ、筋肉量を増やし、インスリンの効きやすい体にしていきましょう。

薬の時間・摂取法に改善点あり

血糖値は食事中から上がりはじめ、食後30〜60分後にはピークを迎えます。このため、食後の早い時間にインスリンを十分に供給することが重要です。しかしインスリンの注射時間や薬を飲む時間にばらつきがあったり、回数や量が不足していたりすると、血糖値は下がりにくくなってしまいます。

注射箇所がいつも同じ

毎日同じ場所ばかりインスリン注射を打っていると、その部位が固くなってインスリンの吸収が悪くなったりすることがあります。

疾患の影響

慢性肝炎などの肝臓病を併発している場合、ブドウ糖の調整能力が低下しているため、食後は高血糖になりやすくなっています。また、糖尿病の合併症の一つである神経障害のうち、糖尿病性胃腸症を発症している場合は、腸からのブドウ糖吸収が不安定になるため血糖値のコントロールが不安定になることがあります。

他にも甲状腺機能異常やステロイド薬の影響によって、血糖値が不安定になるケースがあります。

血糖値が300、500を超えると出る症状は?

糖尿病の診断では、空腹時か食後2時間の血糖値を検査しますが、はっきりしない場合は75gOGTTによって検査をします。ブドウ糖負荷試験では、75gのブドウ糖液を摂取し、負荷前と負荷後30分、1時間、2時間後に採血し、血糖値を測ります。
このとき血糖値が200mg/dL以上なら糖尿病型と呼ばれ、後日検査でも同じ数値であれば糖尿病と診断されます。

血糖値が少し高い程度(200mg/dL前後)では目立った自覚症状はありません。しかし、300〜400mg/dLになると、喉の渇きや尿量の増加、倦怠感、体重の減少といった症状が現れます。そして500mg/dLを超えると、吐き気や嘔吐、意識障害、昏睡状態などの危険な状態に陥るようになります。

糖尿病の血糖値を下げるには?おすすめの食品を紹介

先述の通り、糖尿病の血糖値を下げるには、生活習慣の見直しが欠かせません。
また、血糖値を下げるには食事内容の改善が大切ですが、血糖値を下げる食べ物を取り入れることも重要です。具体的には以下のものがあります。

納豆

納豆に含まれるサポニンには血糖値を下げる効果があり、コレステロール値の改善や血流の改善などの効果も見込めるとされています。

大豆製品

豆腐などの大豆製品に含まれるイソフラボンには、血糖値を下げる効果があるといわれています。

キャベツ

キャベツには食物繊維が豊富に含まれており、糖分の吸収を緩和する効果があります。このため、血糖値の急上昇を抑制する効果が見込めます。また、咀嚼効果で満腹感が得やすいため、どか食い防止の効果もあります。

タマネギ

タマネギに含まれるイソアリインという物質は、インスリンの作用を向上させ、血糖値を下げやすくするといわれています。イソアリインは水につけると成分が溶けてしまうので、生か加熱調理で食べることをおすすめします。

きのこ

きのこはインスリンの受容体を高める効果があるとされます。さらに食物繊維が含まれているために、血糖値の上昇を抑制する効果があると考えられています。

有酸素運動は血糖値のコントロールにおすすめ

血糖値を下げるには、血糖値の減少効果のある有酸素運動を継続的に行いましょう。

血糖値の減少が期待できる有酸素運動の種類

ウォーキングやジョギング、水泳などの全身を使う有酸素運動を継続的に行うことが良いとされています。また、仕事などで運動するまとまった時間が取れない場合は、階段を使うなど日常生活の中でできるだけ歩く習慣をつけることが大切です。
そのほか、ヨガや太極拳、ストレッチなどゆっくりとした動作を行う運動も血糖値を下げる効果があることがわかっています。

ただし、食後すぐに運動をすると体調を崩す恐れがあるので、食後1時間が経ってから行うのがおすすめです。また、運動をすると汗をかきますので、有酸素運動前後は十分に水分補給して脱水にならないように気をつけましょう。

糖尿病は重症度によって運動に制限があるケースもあります。自己判断での運動は危険なため、運動をする際には医師や理学療法士などと自身に適した運動の仕方を相談するようにしましょう。

おわりに:糖尿病の血糖値を下げるには、生活習慣の改善が欠かせない!

糖尿病になるとインスリンの分泌量はガクッと下がります。血糖値を下げるには、薬だけに頼るのではなく、食事の見直しや定期的な運動が欠かせません。ご紹介した食べ物を積極的に取り入れ、安定した血糖コントロールができるようにしていきましょう。

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