記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/2 記事改定日: 2019/6/18
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病のサインとして、「尿から甘い臭いがする」「尿が泡立つ」という話は非常に有名ですが、果たしてこれは本当なのでしょうか?糖尿病の尿の特徴について解説します。
糖尿病は文字どおり尿に「糖(ブドウ糖)」が排出される病気なので、尿から甘い臭いがします。
これは、健康な状態であればブドウ糖は膀胱に溜まる前に体内へ再吸収されますが、血糖値が高い状態だと体内に再吸収しきれなくなり、尿にブドウ糖が排出されるようになるからです。
糖尿病が進行した状態になると、尿から果物が腐ったような甘酸っぱい臭いがすることがあります。
この臭いの元は「ケトン体」という物質です。糖尿病によってブドウ糖をエネルギー源として使用できなくなると、体は脂肪酸やアミノ酸を代わりに使用するようになるのですが、その際ケトン体が産出され、血中に流れることでpHが酸性になることで、酸っぱい臭いを発するようになるのです。
「糖尿病の尿は泡立つ」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは一つの指標に過ぎません。尿には泡を立てやすいウロビリノーゲンという成分が含まれているため、排尿の角度によっては健康な人でも尿が泡立つことはあるからです。
ただ、泡が長い時間残っている場合には注意が必要です。これは尿に糖分がたくさん含まれていると、尿の表面張力が強くなるため、時間が経っても泡が残るという特徴があるからです。
糖尿病の他にも腎機能の低下によって、たんぱく質がろ過できずに尿として排出されたことで、泡立ちが残りやすくなることがありますので、尿の泡立ちが消えにくい、長い時間残ったままでいるという場合は、念のため病院で検査を受けましょう。
糖尿病になると血糖値を下げるインスリンの分泌が減少するため、体内では血糖濃度を薄めようとして水分を欲するようになります。また、糖尿病の合併症の一つである神経障害が起こると、膀胱の自律神経が障害され、尿が溜まりきっていない状態でも尿意を感じるようになります。
このため、1日10回以上の頻度でトイレに行く「頻尿」も糖尿病のサインの可能性があります。
また、大量に水分をとった影響で尿が薄まり、無色透明に近い色になるのも特徴の一つです。
尿の変化以外にも糖尿病には次のようなサインが現れることがあります。糖尿病は自覚症状が現れにくい病気ですが、当てはまる項目が多い場合は糖尿病の可能性を考え、病院で血液検査を受けるようにしましょう。
ただし、糖尿病はこれらのサインがない場合も多いため、血糖の状態をチェックするためにも定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
糖尿病になると、尿から甘い臭いがしたり、排尿の頻度が増えたりしますが、これらはいずれも糖尿病がある程度進行すると出る症状です。尿の所見だけでは糖尿病の診断はできませんので「もしかして?」と思ったら病院で検査を受けるようにしてください。