糖尿病の血液検査の項目って?セルフ診断キットはどこで手に入る?

2018/5/1 記事改定日: 2020/9/1
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

会社など健康診断の血液検査で糖尿病かどうか調べることができますよね。基準となる項目の種類や数値はどのようになっているのでしょう。また、自宅で糖尿病の検査ができる診断キットや「ゆびさきセルフ測定室」について紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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糖尿病発症は気づきにくい?血液検査でわかるのはどうして?

糖尿病は、主に血液検査でわかる病気です。採血によるHbA1c(グリコヘモグロビン)や空腹時血糖値などの数値を診断基準とします。また、血液検査の他に尿を尿検査薬にかける「尿糖検査」も基準の一つとなります。

糖尿病は自覚症状がほとんどないの?

糖尿病は、たとえ発症したとしても初期段階では自覚症状がほとんどありません。
ただ、血糖値が高い状態が続くことで血液の濃度が濃くなり、のどが乾きやすい・トイレが近くなるといった症状が現れることもあります。また、体重減少や倦怠感などが現れる人もいますが、これらの症状から糖尿病の可能性を疑って検査を受ける人はあまり多くないでしょう。

一方で、糖尿病を放置すると全身のさまざまな部位の血管に動脈硬化を引き起こし、網膜症・腎症・末梢神経障害などの合併症が生じることがあります。
視力が落ちた、視野が狭くなった、むくみが気になる、手足がしびれる、といった症状は合併症を発症したサインかもしれません。できるだけ早めに病院で相談するようにしましょう。

糖尿病を発見するための血液検査の項目と数値は?

糖尿病の判断基準となる血液検査の項目と数値は、以下の通りです。

HbA1c(グリコヘモグロビン)

高血糖状態が続くと、ブドウ糖はたんぱく質と結合します。その中で赤血球のたんぱく質であるヘモグロビンと結合してできたものがHbA1cです。つまり、このHbA1cの数値によって直近(過去1〜2ヶ月)の平均血糖値を把握することができます。

HbA1cの基準範囲は4.6〜6.2%と幅広いですが、日本糖尿病学会では、5.6%以上であれば糖尿病発症のリスクが高く、6.0%以上であれば糖尿病の疑いがあるとしています。

早朝空腹時血糖値

検査当日の朝食を抜いた状態で採血し、血糖値を測ります。126mg/dL以上の場合は糖尿病型と診断されます。

75OGTT(ブドウ糖負荷試験)

検査当日の朝、絶食した状態で採血し、血糖値を測定します。その後75gのブドウ糖液を摂取し、30分、1時間、2時間後にそれぞれ採血し、血糖値を測ります。2時間後の数値が200mg/dL以上の場合は糖尿病型と診断されます。

なお、75OGTTと同時に血中インスリン活性(血中のインスリン濃度の変化)も調べるのが一般的です。

随時血糖値

食後時間を決めずに採血し、血糖値を測定します。200mg/dL以上の場合、糖尿病型と診断されます。

グリコアルブミン

ブドウ糖とアルブミン(たんぱく質の一種)と結合してできたものがグリコアルブミンです。このグリコアルブミンの数値で、HbA1cよりさらに直近の平均血糖値がわかります。基準値は11〜16%で、これより高い場合は糖尿病の疑いがあります。

糖尿病の血液検査、食事は何時間前までに済ませればいい?

早朝空腹時血糖検査や75OGTTでは、検査当日の朝の10時間前から食事をしてはいけません。これより遅い時間に食事をとってしまうと、血糖値に影響が出るおそれがあります。

なお、10時間前までの食事であれば、検査時点での血糖値に影響を与える可能性はほぼありませんが、時間内だとしても糖質(炭水化物やお菓子)の過剰摂取は控えましょう。前日の夕食は野菜や魚、豆腐を中心として和食がおすすめです。

病院での検査以外のセルフ診断キットや市販の検査キットはある?

上で述べたような病院で行う検査以外にも、セルフ診断キットや市販の尿糖検査キットなど、血糖値の異常や糖尿病に罹患している可能性を知ることができる検査があります。

いずれもインターネット販売やドラッグストアなどで手軽に購入できるものなので、血糖値が気になる人は健康診断以外にも定期的にセルフチェックしてみましょう。
また、病院に行かなくても「ゆびさきセルフ測定室」で血糖値を測ることができます。

ゆびさきセルフ測定室とは?

ゆびさきセルフ測定室では、薬局や公共機関などに併設されているスペースで指先から採取したごく少量の血液から健康状態を調べることができます。正式名称は検体測定室といい、主に血糖や血中脂質、肝機能の状態が、ゆびさきセルフ測定室の検査対象です。

セルフ診断キットなどは手軽に健康状態を確認できる便利な方法です。ただし、万が一異常が見られた場合は、できるだけ早めに病院を受診して適切な検査を受けることが大切です。

ゆびさきセルフ測定室ナビ

おわりに:血液検査で糖尿病や糖尿病予備軍はわかる!異常がみられたら詳しい検査を

糖尿病や糖尿病予備軍は、血液検査のHbA1cや血糖値の数値によってわかることがあります。基準よりも数値が高かった場合は、専門外来で再検査を受け、治療と生活習慣の改善を進めていきましょう。

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