妊娠初期に動悸や息切れが起こるのはなぜ?いつまで続くの?

2018/4/11

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

妊娠初期になると、動悸や息切れがして息苦しさを感じるという妊婦さんが多いといわれています。
そこでこの記事では、妊娠初期に動悸や息切れが起こる原因と対策をお伝えします。

妊娠初期の動悸や息切れで苦しい・・・原因は?

妊娠初期の動悸や息切れが起こる原因は完全にはわかっていませんが、考えられる代表的な原因は以下の通りです。

〈1〉ホルモンの変化

妊娠すると「プロゲステロン」というホルモンの分泌量が増えます。
プロゲステロンは妊娠を継続するには欠かせないホルモンなのですが、呼吸中枢を刺激することで呼吸数を増やす効果があり、そのため簡単に息が上がるような感覚に襲われることがあります。

〈2〉貧血(鉄欠乏性貧血)

妊婦さんの体は胎児に酸素や栄養を運ぶため、血液量が増加するようになっています。血液全体の量が増え、今までの赤血球の数では足りなくなってきてしまうのです。
そのため、鉄欠乏性貧血を発症することが多くなり、それが原因で動悸や息切れを引き起こすことがあります。

〈3〉出産や育児への不安などのストレス

ストレスがかかると脳が興奮状態になって交感神経が優位になります。
交感神経が活発になると呼吸器の働きを統括している自律神経が乱れやすくなるため、動悸や息切れが起こりやすくなると考えられています。

妊娠初期の動悸が食後に起こりやすいって本当?

食後に動悸が起こりやすくなるのは、消化のために血液を胃に集中させようとして心臓や体内に送られる血液の量が少なくなり、酸素が不足することが原因のひとつです。
体内に酸素が充分に供給されないことで、息苦しさや動悸が起こりやすくなります。

妊娠初期の動悸はいつまで続く?

そもそも妊娠中は胎児に栄養を届ける、体全体の代謝を上げるために心拍数も上昇するのが普通です。そのため妊娠初期の動悸は身体が慣れてきた妊娠中期(妊娠5ヶ月~)に一旦落ち着くこともありますが、出産まで続くことが多いです。また、妊娠後期になると子宮はさらに大きくなって肺を圧迫するため、再び息切れから動悸が起こりやすい状態が続きます。

妊娠中期・妊娠後期の動悸はどんな感じ?

妊娠中期には身体が慣れて動悸や息切れを感じにくくなる人もいれば、子宮増大や貧血の進行に伴い動悸や息切れをより強く感じるようになる人もいます。

また、妊娠後期になると胎児に酸素や栄養を運ぶ働きもますます促進されるため、循環血液量が増加し、心拍数もより上がり心臓に負担がかかります。特に臨月は妊娠前と比べて体重が増加して心臓への負担が大きくなり、子宮増大に伴いさらに横隔膜も挙上するため、動悸・息切れが最もおこりやすくなります。

時期を問わず、少し休んで症状が治まるようであれば心配はいりませんが、安静にしても動悸や息切れが治まらず、〈だるさ、全身のむくみ、咳〉などの症状を伴う場合には早急に産婦人科を受診してください。

妊娠初期の動悸、対策は?

動悸や息切れを感じたら、まずは少しでも休むようにしましょう。
症状がみられたときは、以下のような方法を試してみてください。

座ってしばらく休む

通勤電車や人ごみのなかで動悸・息切れが起こったら、まずは人の少ないところに移動し、駅のホームにあるベンチなどに座りましょう。

足を高くして横になる

「足を上げて寝る」という姿勢は、むくみ防止だけでなく動悸や息切れを抑える効果があります。
職場などでも、可能であればイスを並べて枕やクッションなどを足の下に敷いて、足を高くする姿勢で横になりましょう。
そうすると血液が心臓に送られやすくなるため、呼吸が楽になります。

体の左側を下にして横になる

体の左側を下にした「シムス体位」という姿勢で寝ると、子宮周辺の血液への圧迫が減って血液循環が良くなるため、心臓への負担が軽減されて動悸・息切れが緩和されます。
妊娠週数が進んでお腹の重みで仰向けに寝ることができない時期にもおすすめの姿勢です。

おわりに:妊娠初期の動悸・息切れは出産まで続く

妊娠初期にあらわれやすい動悸・息切れは、妊娠中の体の変化に伴って妊娠初期から出産まで続くことが多いといわれています。
動悸・息切れがあらわれたらまずは座る・横になるなどして、症状が治まるまで休むようにしましょう。

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