記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/24
記事監修医師
前田 裕斗 先生
カンジダ症と聞いてすぐに思い浮かぶのが、外陰部や口腔内にできるものかもしれません。しかし、免疫力が低下すると食道や内臓にもカンジダ症がみられます。この記事では、カンジダ症の種類を紹介するとともに、一般的なカンジダ症の症状や治療法を紹介します。
カンジダ症とは、カンジダ・アルビカンスを始めとするいくつかのカンジダ属の真菌が原因で発症する感染症です。カンジダ症を大きく分けると、以下の4種類に分かれます。
最もよくみられるカンジダ症は、口や腟、皮膚の表面に感染が起きるものです。発症すると、かゆみやヒリヒリとした痛みや、白や赤の斑点がみられます。こうした症状がどちらか一方にだけみられることもあれば、両方とも出てくることもあります。
エイズを発症して免疫機能が低下している人の場合、口や食道にカンジダ症があらわれることがあります。
侵襲性カンジダ症とは、心臓弁、脳、脾臓(ひぞう)、腎臓、眼などに感染が広がる病気です。このカンジダ症は免疫機能が低下した人や、入院患者に多くみられます。病院で最も多い感染症と言われています。
カンジダ血症は、侵襲性カンジダ症の最も一般的な病気です。大掛かりな手術を受けたり、静注ラインまたは点滴チューブ(特に中心静脈カテーテル)を使ったときに発症リスクが高まります。カンジダ血症を発症した場合、迅速に治療しないと命を落とす可能性があります。
カンジダ症の代表的な症状として、以下のようなものがあります。
外陰部のかゆみを引き起こす主な原因には2種類あります。
かぶれは「接触性皮膚炎」と呼ばれるものです。外陰部の蒸れや下着などによる締め付け、あるいは生理用ナプキンの接触などが原因で起こります。
性感染症(STDだが、最近はSTIという名称も使われている)をはじめとする感染症も、外陰部のかゆみの原因となります。カンジダ症もかゆみを引き起こす性感染症のひとつですが、このほかにも性器ヘルペスや性器クラミジア、腟トリコモナス症などにも、かゆみを伴う症状があらわれます。
かゆみがひどい場合や、おりものがカッテージチーズ状になっていたり、臭いがきついおりものが出たりしている場合、もしくは水疱や潰瘍がみられる場合は、カンジダ症やそのほかの感染症の疑いがあります。このような場合は、すぐに医療機関を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
カンジダ症を治療せず放置すると、女性の場合はかゆみがひどくなります。その結果、外陰部をひっかいて外陰炎を引き起こしたり、赤くただれて痛みがひどくなったりすることがあります。
また、男性の場合は、女性と同じくかゆみがひどくなったり、炎症が悪化して水ぶくれができたり、排尿痛を伴う尿道炎を発症したりすることがあります。
男女とも、かゆみがひどくなることで別の症状を引き起こす恐れがあります。疑わしい症状がみられたら、早めに病院へいくことをおすすめします。
カンジダ症は大きく分けると4種類ありますが、いちばん身近なカンジダ症は口や腟などにできるものです。発症すると、おりものが白っぽいボロボロとしたものに変わったり、ひどいかゆみや痛みなどが出てきます。自分ではカンジダ症だと思っていても、実は別の感染症だった、ということもありますので、気になる症状がみられたら早めに医療機関へ行くことをおすすめします。