帯状疱疹が顔にできると、どんな合併症を引き起こすの?

2018/5/8 記事改定日: 2019/4/23
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

帯状疱疹は、子供の頃などに感染した水ぼうそうのウイルスが引き起こす病気です。こちらの記事では、帯状疱疹の症状や原因、顔にできた場合の合併症のリスク、治療法について詳しく解説します。

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帯状疱疹の症状にはどんなものがある?

帯状疱疹では、主に皮膚の紅斑や炎症、神経痛や痒みといった症状が現れます。疱疹は胸やお腹、背中だけでなく、顔や全身に生じることがあります。

また、末梢神経に沿って、「針でつつかれるよう」「ぴりぴりする」「ちくちくする」などと称される痛みや痒みが生じることもあり、痛みの強さには個人差があります。

帯状疱疹が顔にできてしまう原因は?

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で起こる病気です。50歳以上の人に多く見られますが、20代の人が発症することもまれではありません。

このウイルスは水ぼうそうを引き起こすものと同じであり、幼少期などに感染した水ぼうそうのウイルスが、何らかのきっかけで免疫力が低下した際に再び活性化することによって発症します。

水痘・帯状疱疹ウイルスは、たとえ子供の頃に感染・発症・治癒したとしても、消滅せずに顔面の三叉神経や脊髄の神経、坐骨神経などの神経細胞に潜伏し続けます。

以下は、潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスの活性化のきっかけになり得る要因です。

  • 加齢
  • ストレス
  • 疲労
  • 悪性腫瘍
  • 紫外線への曝露
  • 感染症
  • 免疫疾患
  • アトピー性皮膚炎(皮膚のバリア機能が低下している場合)

こうした要因で免疫力が低下すると、帯状疱疹が引き起こされやすくなります。

顔にできた帯状疱疹で、どんな合併症が起こるの?

水ぼうそうのウイルスは顔面の三叉神経にも潜伏するため、帯状疱疹の症状はしばしば顔にも見られます。顔に疱疹が生じた場合には以下のような疾患を引き起こすことがあり、注意が必要です。

角膜炎、網膜炎

疱疹が目の周りにできると、角膜や網膜に炎症が起こることがあります。目の痛みや充血、まぶしさ、涙が出るといった症状が現れ、悪化すると視力低下や失明につながることも考えられます。

顔面神経麻痺

帯状疱疹が顔面神経に沿ってできると表情筋が麻痺して痛みを生じ、顔がこわばったりまぶたが閉じられなかったりします。顔面神経麻痺の症状は疱疹が生じる部位によって様々です。顔面には味覚を伝える神経も走っているため、これが侵されると味覚障害が起こることもあります。

難聴

内耳を通る神経に沿って帯状疱疹が現れると、人の声などが聞こえにくくなる難聴になるおそれがあります。耳の痛みや頭痛に続いてめまいが起こるケースも見受けられます。

顔の帯状疱疹はどうすれば治る?

顔に帯状疱疹ができた場合でも、基本的に治療法は他部位の治療と変わりなく、ゾビラックス®などの抗ウイルス薬の飲み薬や塗り薬が使用されます。また、痛みが強い場合には一般的な鎮痛薬や抗痙攣薬などが使用されることもあります。

また、自宅での過ごし方としては、なるべく水疱をつぶさないように患部を保護して化粧は控え、家族への感染を拡げないために手洗い・手指消毒を徹底して行うようにしましょう。

おわりに:帯状疱疹が顔にできると深刻な合併症になることも。帯状疱疹だと思ったらすぐに病院へ

帯状疱疹では体の片側に水ぶくれが現れるだけでなく、眠ることもできないほどの痛みを生じることがあります。合併症が引き起こされる可能性もあるため、帯状疱疹が疑われる場合にはすぐに皮膚科を受診し、適切な治療を受けてください。

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