帯状疱疹後神経痛ってどんな病気?どうやって治療するの?

2018/5/2 記事改定日: 2019/4/24
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

帯状疱疹の水疱が治ったとしても、帯状疱疹後神経痛が起こることがあります。こちらの記事では、帯状疱疹後神経痛の症状や原因、治療法、自分でできる対処法などについて解説します。

そもそも帯状疱疹後神経痛(PHN)ってどんな病気?

帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の発症・治癒の後にぴりぴり・ひりひりとした痛みが継続することです。通常、帯状疱疹の痛みは紅斑の後に生じた水疱(みずぶくれ)が消えると同時に消失するものですが、神経が損傷することで、帯状疱疹が治ってから3ヶ月以上経過しても痛みが残ったままになってしまいます。

帯状疱疹後神経痛の特徴には、以下のようなものが挙げられます。

  • ぴりぴりする
  • 針で刺されているように感じられる
  • 肌が焼かれているような感じがする
  • 締め付けられるように痛い
  • 電気が走っているように感じられる
  • 何かが触れるだけで痛い(アロディニア・ほんの少しの刺激で激痛が走ること)

このほかにも、帯状疱疹では以下のような症状が見られることがあります。

  • 何かが張り付いているように感じる
  • 温冷覚や触覚の低下(温かさや冷たさ、痛みを感じにくくなる)

どんな人がなりやすいの?

日本皮膚科学会によれば、帯状疱疹後神経痛を発症する確率は3%と決して高くはありません。ただし、以下のような人は特に帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛に移行しやすいとされているため、注意する必要があります。

高齢者
帯状疱疹後神経痛は高齢者によく見られ、症状が10年以上長引くケースも少なくありません。
帯状疱疹の初期症状が重度だった人
帯状疱疹を発症した際に痛みや水疱が重度だった場合には、神経の損傷が大きいと考えられ、帯状疱疹後神経痛に移行する確率も高いとされています。
免疫力が低下している人
免疫疾患を持っている人だけでなく、がんなどで免疫を低下させる治療を受けている人も含まれます。

上記のような人が帯状疱疹後神経痛を発症すると難治化するケースが多く、治療を重ねても痛みがなくならないことがしばしばあります。

帯状疱疹後神経痛を発症する原因は?

帯状疱疹後神経痛はその名の通り帯状疱疹の後に起こります。帯状疱疹は、幼少期などに感染した水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の活性化によって発症するものです。一度人に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうが完治しても体外に排出されずに顔面の三叉神経や脊髄の神経、坐骨神経などの神経細胞に潜伏し続け、加齢やストレスなどによって体力が低下した際に再度活性化し、帯状疱疹を引き起こします。

水痘・帯状疱疹ウイルスは活性化すると神経を傷つけてしまい、これが帯状疱疹後神経痛の原因になると考えられています。神経の損傷によって異常が起こり、結果的に痛みにつながるとされています。

帯状疱疹後神経痛はどうやって治療するの?

帯状疱疹後神経痛の痛みの改善のためには、以下のような方法がとられます。

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬などの鎮痛剤が効きにくいため、アミトリプチン・デュロキセチン・ノルトリプチンなどの抗うつ薬や、プレガバリン・ガバペンチンなどの抗けいれん薬、カプサイシン・リドカインなどの外用薬、モルヒネなどのオピオイド系鎮痛薬が主に用いられます。

漢方薬

帯状疱疹後神経痛に対して、漢方薬が有用なことがあります。
一般的に広く使用されるのは、抑肝散や麻黄附子細辛湯などで神経の痛みを軽減する効果が期待できます。また、長時間神経痛が続いてその他の神経のバランスも乱れているような場合には、四逆散や柴胡疏肝湯、桂枝湯などが用いられることもあります。

しかし、漢方薬の効果には個人差がありますので、効果が実感できない場合は服用を中止して、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

神経ブロック療法

神経や神経の周りに局所麻酔薬を注射し、神経の興奮伝導を遮断することで痛みをなくす治療法です。首の付け根にある交感神経系の神経節に注射する「星状神経節ブロック」、脊椎管内の硬膜外腔に注入する「硬膜外ブロック」、痛みの引き金となる部位に注射する「トリガーブロック」などがあります。

このほか、温熱療法(体を温める)や、運動療法(ストレッチや筋力トレーニング)、電気刺激療法などが行われることもあります。

日常生活で気をつけることはある?

人によっては、帯状神経後神経痛は長引くことがあり、医療機関で治療を受けてもなかなか治らないことがあります。特に難治化している場合には、日常的に工夫をしながら痛みと付き合っていくことも重要だと言えるでしょう。普段から以下のようなことを心がけることで、痛みが改善されることがあります。

体を温める

寒さや冷たさは痛みを増大させるため、体を冷やさないように気をつけることが大切です。ゆっくりと全身浴をすることも勧められています。

好きなことをする時間を持つ

仕事や趣味などに没頭している間は痛みを忘れやすいものです。外出したり趣味の時間を作ったりと、痛み以外のことに気を向ける時間を設けると良いでしょう。

ストレスを溜めない

ストレスや疲労は痛みを感じやすくさせるため、休息や睡眠を十分に取ってください。

患部への刺激を避ける

衣服で患部が擦れると痛みが起こりやすくなります。さらしや包帯などで患部を保護してから服を着ると良いとされています。

おわりに:帯状疱疹になったら帯状疱疹後神経痛にも注意しよう

帯状疱疹の皮膚症状が治まったとしても3ヶ月以上ぴりぴりとした痛みが続く場合には、帯状疱疹後神経痛が疑われます。帯状疱疹後神経痛はなかなか治らなかったり夜も眠れないほどひどかったりすることがあるため、痛みが続くのであれば我慢せずに受診してください。

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