記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心臓が速く鼓動することを「動悸」と呼びます。運動やほかの身体活動をするとき、心臓が速く脈を打つにつれて心臓がどきどきするような音を聞いたり、感じたりするのは普通です。しかし、動悸は静かに座っているときやまたはゆっくりと動いているときでも起こります。
この記事では、動悸の原因についてくわしく解説していきます。
動悸を引き起こす原因として、以下のようなものが挙げられます。
不規則に心臓が拍動する人や不整脈を有する人は動悸を起こすことがあります。大半の動悸や不整脈は害を及ぼすものではありませんが、心臓の鼓動が停止することがある場合には深刻な状況に陥ることがあります。また、心臓弁膜症など心臓の弁に問題がある場合にも動悸が起こるため注意が必要です。
特定のハーブや漢方薬、違法なドラッグは、心臓の鼓動を速くさせ動悸を引き起こすことがあります。また、喘息吸入器や充血除去薬などの治療薬の副反応として動悸が現れることもあります。カフェイン(コーヒー、紅茶、ソーダに含まれる)、アルコール、タバコも動悸を引き起こす可能性があるので、日常的に飲酒喫煙する人や、多量にカフェインを摂取する人は注意が必要です。
その他、パニック障害を抱えている人はパニック発作のときに心臓が痛むように感じますし、甲状腺疾患や貧血といった症状がある場合も動悸を引き起こす可能性があります。
動悸がある人のうち、7人中1人は原因不明とされていますが、このような動悸の場合は、通常大きな問題になることはないとされています。
過剰なストレスは、交感神経を刺激し、一時的に心拍数が上昇することがあります。心拍数の上昇は動悸のように感じられることもあり、器質的な異常がなくてもストレスなどの精神的な要因で動悸が生じることがあります。
20代の動悸は心臓そのものの異常よりも、自律神経のバランスが乱れたり、過度なダイエットや過多月経による貧血によって引き起こされることが多いです。また、過換気症候群やパニック障害などの精神的な要因でも動悸が起こりやすい年代であり、一般的には女性の方が起こりやすいといわれています。
また、動悸が起こりやすい病気としてバセドウ病が有名ですが、バセドウ病は甲状腺の病気であり20代以降の女性に多く見られます。
重篤な病気が原因になることは少ないですが、精神的な要因が大きいため、治療が難しくなかなか改善しないという特徴があります。
30代は男女ともに家庭や社会の中での役割が大きく変わる時期であり、今まで感じたことのないストレスを抱えやすくなります。ストレスは動悸を引き起こすことがあり、30代の動悸はストレスによるものが多いといわれています。
ただし、30代後半ころからは心臓の病気になったり、ホルモンバランスの変化し始めるため、これが動悸の原因となることもあります。
40代は、更年期障害を迎える時期であり、ホルモンバランスの変化によって様々な症状が現れます。その中でも動悸は代表的な症状であり、多くの人が経験するものです。一般的な認知度は低いですが、男性にも更年期障害があり、男性ホルモンの減少によって動悸が生じることがあります。
また、心房細動などの不整脈や弁膜症も40代頃から起こり始めるため、これらの心臓の病気が原因になることも考えられます。
50代半ばを過ぎると更年期障害は終わりを迎え、ホルモンバランスの変化による動悸は治まってくるでしょう。しかし、50代では、心臓病など身体的な病気が増え、それらが原因の動悸が多くなります。また、がんや子宮筋腫などの貧血になりやすい病気でも動悸が生じ、動悸を主訴に病院を受診したところ、がんと診断されることもまれではありません。
問診時に服用している薬や食事、パニック発作があるかどうかについて確認され、心臓以外の原因がないかを確認し、あわせて安静時の心電図検査を受けることもあるでしょう。心電図検査は一定期間にわたって行われることもあります。また、血液検査が行われることもあるでしょう。
これらの検査で動悸の原因が見つからない場合は、1~14日間心臓モニタを装着して検査を続けていく場合があります。検査の結果次第では、必要に応じて心臓専門医(心臓医師)が紹介され、より専門的な治療を受けることになります。
動悸の原因はいくつかあり、中には特別な治療が必要な場合もあります。そのため、予防のためには病院での検査で動悸の原因をはっきりさせることが重要です。治療が必要な原因がない場合には、以下のようなことに気をつけましょう。
・カフェイン、アルコール、タバコは避ける
・薬やハーブを服用している場合や、頻繁に飲酒している場合、喫煙習慣がある場合は、改善する必要があるかを医師に確認する
・動悸が起こったときの状態を細かく記録し、きっかけとなるものがないかを医師に確認する
動悸の大半は問題がないものですが、心臓の病気など深刻な病気が原因になっているときは特別な治療が必要になる場合があります。
長い期間動悸が続いていたり頻繁に動悸が起こるときは、早めに病院で検査してもらい原因を特定しましょう。
また、動悸は普段の生活習慣が原因になっていることも少なくありません。過度な飲酒やカフェインの摂取は止め、可能なら禁煙し、規則正しい生活を送るようにしてください。