記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
口内炎というとアフタ性口内炎が有名ですが、カンジダ・アルビカンスという真菌が原因で起こる「カンジダ性口内炎」という口内炎もあります。
今回は、カンジダ性口内炎と普通の口内炎の違いをお伝えします。
カンジダ性口内炎はカンジダ・アルビカンスという真菌(カビ)が通常よりも増えることで発症します。
一方で、口内炎の中でもっとも一般的なアフタ性口内炎は、〈ストレス、疲労、睡眠不足、栄養不足、胃や腸の不調〉などが原因で免疫力が低下した場合や、誤って唇の内側を噛んでしまった場合などにできることが多いいです。
円形で白っぽい形が特徴で比較的軽い症状で済みますが、治療の際は口内炎を引き起こす原因を解消することが大切です。
急性型である偽膜性(ぎまくせい)カンジダ症の場合は、舌や口の中の粘膜の表面に「灰白色または乳白色の点状、線状、あるいは斑紋状の白苔」がみられます。
白苔はガーゼなどでぬぐうと剥がすことができますが、剥がした後の粘膜面は赤くなったりただれたりする可能性があるので、できるだけいじらないようにしましょう。
白苔が認められない萎縮性(いしゅくせい)あるいは紅斑性(こうはんせい)カンジダ症の場合は、〈舌乳頭の萎縮、粘膜の紅斑、ヒリヒリとした強い痛み〉などの症状がみられます。
また、〈口角の赤み、ただれ、亀裂がみられる口角炎〉などもカンジダ性口内炎が原因になっていることが多いです。
さらに、病変が慢性に経過して「肥厚性(ひこうせい)カンジダ症」になると、白苔が剥がしにくく、上皮の分厚く変容していきます。
基本的に、カンジダ性口内炎はうつることはありません。
それは、カンジダ菌はもともと人の口内にある菌で外から感染する菌とは異なるからです。
カンジダ性口内炎は寝不足や風邪、糖尿病やHIVなどの病気が原因で免疫力が低下していたり、抗生物質を常用して体内の菌のバランスが崩れることが原因で起こります。
そのため、他人に移る可能性は低いです。
口腔用の抗真菌剤は市販されていないので、病院で診察を受けて処方してもらう必要があります。
また、カンジダ性口内炎であるかどうかを検査する薬品も市販されていないので、疑わしい症状がみられる場合は早めに病院を受診しましょう。
病院では口腔内の清掃や抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬を使用した治療が行われます。
また、場合によっては抗真菌薬の服用を指示されることもあります。
塗り薬を塗布するときは患部が程よく乾燥している状態が理想なので、薬を塗る前にティッシュを使って患部の水分を優しく拭き取ってください。また、食事をすると患部に塗布した薬が取れやすいので、塗り薬は食事の30分以上前に塗るようにしてください。
カンジダ性口内炎は、原因も症状も治療法も普通の口内炎とは異なります。
現在のところカンジダ性口内炎の口内症状の治療に使える市販薬はなく、また、原因に適した治療を行う必要があるので、疑わしい症状がある場合は早めに病院を受診してください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。