糖尿病によるめまいや吐き気の原因と対処法

2018/5/1 記事改定日: 2019/2/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病患者さんにしばしば起こる症状に、めまいや吐き気、ふらつきなどがあります。これらの症状はなぜ起きるのでしょうか?
この記事では、糖尿病の人に起きるめまいの原因と対策について解説しています。

糖尿病でめまいやふらつきが起こる原因は?

糖尿病の人がめまいやふらつきを感じる原因として、以下のことが挙げられます。

血流の障害

めまいやふらつきは体の平衡感覚に異常が出たときに生じる症状ですが、普段、平衡感覚は耳の内側にある「内耳」が司っています。
しかし糖尿病による高血糖で血流が悪い状態だと、この内耳への血流が阻害され、めまいやふらつきが起こることがあるのです。

自律神経の障害

高血糖の状態が続くと、体内でソルビトールという物質が生み出されるのですが、それが神経細胞内に蓄積されることで、自律神経が障害されるようになります。自律神経は心拍や血圧などを司っているため、障害されることでめまいやふらつきが起こりやすくなると考えられています。

対策

血流や自律神経の障害は、いずれも高血糖状態が続くことで起こるものなので、日頃から食事療法と運動療法を徹底し、血糖値コントロールを続けていくことが大切です。

糖尿病の人は食後低血圧にも注意!

糖尿病で血糖降下薬やインスリン自己注射をしている人は、食事量が少なくなった場合や激しい運動をした場合や薬の量を間違えた場合などに、薬の作用が強くなりすぎて低血糖発作を生じることがあります。
低血糖発作では、手の震えや冷や汗、動悸などが生じ、めまいを引き起こすことも少なくありません。

糖尿病の人が食後低血糖を予防するには以下ような対策をとりましょう。

  • 食事は規則正しく3食摂るようにする
  • 過度な運動は控えるようにする
  • 薬は厳重に管理し、間違えのないようにする
  • 薬を飲んだり、インスリン注射をした後に気分が悪くなった場合はジュースやブドウ糖の飴などを口にして糖分を素早く補給する
  • 空腹感が強い時は薬の使用を中止し、病院を受診する

糖尿病ケトアシドーシスによるめまいや吐き気

糖尿病患者さんで、めまいだけでなく吐き気も見られる場合は、「糖尿病ケトアシドーシス」を発症している可能性があります。

糖尿病ケトアシドーシスとは、インスリン注射の打ち忘れなどによってインスリン不足になり血糖値が下がらないことで起こります。
この時体内では糖分をエネルギー源として活用できなくなり、代わりに脂肪を分解し始めるのですが、その際にケトン体という物質が血中で増えることで血液が酸性に傾き、脱水状態となります。
このために急激に喉が渇いたり、倦怠感や吐き気、腹痛を感じたりするようになります。

なお、2型糖尿病患者さんの場合は、清涼飲料水の過剰摂取によって血糖値が急上昇し、糖尿病ケトアシドーシスが引き起こされることがあります。重度の場合は昏睡状態に陥ることもあるので注意しましょう。

対策

糖尿病ケトアシドーシスは昏睡状態に陥ると生命の危険を伴うこともあるので、すぐに病院を受診し、点滴やインスリン注射による治療を受けることが重要です。

低血糖によるめまい、動悸、頭痛はすぐに対処を

めまいだけでなく動悸や頭痛、頻脈などが見られる場合は、低血糖が原因の可能性があります。
糖尿病の人はインスリン分泌がうまくいかないため、血糖コントロールが自然にできない状態です。

食事の時間がいつもより遅れていたり、過度な運動をしていたり、インスリン注射や飲み薬の量が多かったりして血糖値が急激に下がると

  • 動悸
  • 手指の震え
  • 頻脈
  • 発汗
  • 顔面蒼白

などの症状がみられるようになります。

なお、血糖値が50mg/dL程度まで低下すると、頭痛やめまい、かすみ目、生あくびなどの中枢神経症状が出始め、さらに血糖値が低下すると意識障害や昏睡状態に陥ることがあります。

対策

低血糖の症状が出たら、ブドウ糖5〜10gかブドウ糖を含むジュース150〜200mLをすぐに摂取してください。摂取後も症状が改善しない場合は、すぐに病院を受診しましょう。

なお、意識障害を起こしている場合は、ご家族など周囲の人にグルカゴン注射を打ってもらったり、ブドウ糖を唇や歯肉に塗布してもらったりなどの応急処置をしてもらった上で、救急車を呼んでもらう必要があります。

おわりに:症状や状況にあわせた対処ができるよう、事前に対処法を医師から聞いておこう

めまいや吐き気、ふらつき、動悸をもたらす原因としてはさまざまなものが考えられます。症状や状況によって考えられる原因は異なるので、慌てず対処するようにしてください。
また、低血糖の場合は意識障害に陥り命に危険がおよぶこともあるので、ご家族や職場の人などに応急処置の方法を伝えておきましょう。

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