記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/28
記事監修医師
前田 裕斗 先生
お手洗いに行ったときやお風呂に入るとき、おりものがやけに臭うと「病気かな・・・」と不安になりますよね。おりものの変化があると、まっ先にカンジダ症を疑ってしまいますが、実際のところ、おりものの臭いもカンジダ症になっているサインになのでしょうか。この記事でみていきたいと思います。
カンジダ症を発症すると、外陰部のかゆみやおりものの変化がみられます。
外陰部のかゆみは、痛がゆかったり、しみるような感じがすることが多く、ひどくなると夜眠れなくなるくらいかゆくなります。そして、おりものは白っぽいもので、カッテージチーズ状のボロボロとしたものだったり、ヨーグルトのようにドロッとしたものが出てきます。
カンジダ症の場合、おりものが臭うことはありません。このため、もしおりものから悪臭がする場合は、細菌性腟炎や淋菌感染症といったほかの病気を発症している可能性があります。
正常なおりものは無色透明、もしくは白色で、臭いもなく、かゆみや痛みもありません。排卵期におりものの質が変わることはありますが、これは女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが排卵期に増加したことが原因なので、異常ではありません。
しかし、おりものの色や質が変わったり、おりものシートを使わないとベタベタして気持ち悪いほど量が増えてしまった場合は、カンジダ症を発症している可能性があります。
おりものが臭うのは腟内で雑菌が増えていることが原因の場合が多いものの、性感染症(トリコモナス、淋菌感染症など)が原因でおりものが臭うことがあります。したがって、病院で検査をして臭いの原因を明らかにすることが大切です。
正常なおりものが臭うことがないのは、腟内に生息する善玉菌のデーデルライン桿菌が腟内を酸性に保って雑菌の繁殖を防いでいるためです。しかし、免疫力の低下やホルモンバランスの低下によってデーデルライン桿菌が少なくなると、腟内のバランスが崩れて雑菌が増えておりものが臭うようになります。
雑菌が原因でおりものが臭う場合は細菌性腟炎の可能性があるため、腟内にクロマイ®腟錠やフラジール®腟錠を1週間ほど入れて治療します。
臭いの原因がトリコモナスだった場合、フラジール®内服薬や腟錠を10日間ほど使って治療します。ただし、妊娠中にトリコモナスを発症した場合は、フラジール®腟錠だけを使います。
そして、淋菌感染症が臭いの原因だった場合は、ロセフィン®という薬を1回注射で投与します。
おりものが臭うなど、おりものの変化があるとカンジダ症を疑ってしまいがちですが、カンジダ症の場合、おりものが臭うことはないため、別の病気の可能性があります。安易に市販の治療薬を使ったりせず、病院で臭いの原因を検査して、適切な治療を受けるようにしましょう。