ちゃんと聞こえていますか? 老化だけが原因ではない難聴とは

2017/3/23

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

難聴とは老化によって起こるものだと思われがちですが、最近では若者の間でも難聴になる人が増えています。ですが、自分が難聴ということをあまり自覚していない(認めたくない)人も多いようです。ここでは、難聴とはどんなものか、そして自分の聴覚の変化を知るための方法を紹介していきます。

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あなたの耳はきちんと聞こえますか?

耳が聞こえにくくなることは、案外ありふれています。聴覚が変化していることに気づくための方法はいくつかあります。

難聴とは何が原因でなる?

難聴の最も一般的な原因は老化です。50歳以上の42%近く、70歳以上の70%の人が何らかの形の難聴を抱えています。年齢が原因の難聴は、だいたい50歳ぐらいからはじまります。しかし、耳が聞こえにくくなるのは高齢者だけではありません。
大音量にさらされることも、難聴になる大きな原因です。耳が聞こえにくくなっている若者の数が増えている背景には、大きな音にさらされる機会が増えたことがあると考えられています。スマートフォンや音楽プレーヤー、そして大音量で音楽を鳴らすクラブやライブハウスなどの人気が難聴の原因になっています。野外の音楽フェスの人気の高まりも、難聴の原因となっています。
大音量の対策には以下のことを気をつけてください。
・何度もくり返し使える耳栓を着用する
・スピーカーのある場所からなるべく離れる
・常に大音量がなり続けている場所からは、ときどき離れて定期的に休憩する

難聴になるとどんな感じ?

ふだんから自分の聴覚を信じてあてにしていることは多いので、最初の段階だと難聴とは気づきにくいです。難聴は段階的に悪化していきます。
まずは、周りの音がが少しぼんやりしはじめ、小さな声を出せなくなり、空港や駅のアナウンスが聞こえなくなります。
次に、周りで話している人がいると、相手がなんと言っているのか聞こえづらくなります。 
そして、話している相手が言っていることに相当な集中を必要とするようになります。周囲がざわざわしていたら、相手の言葉を聞きとるのに注意を払わなければならなくなり、聞きとれなかったことを補うために、相手の唇の動きや表情にも注意を要します。

ちゃんと聞こえているかをチェックしてみる

以下の8つの質問から、自分の耳が聞こえにくくなっているかどうかを判断してください。
・話し相手がはっきりとではなく、ボソボソ話しているように感じることはありますか?
・理解できるまで、何度も繰り返し聞くことはありますか?
・レストランや居酒屋などの騒がしい場所では、相手がちゃんと話そうとしていても言っていることを理解するのは大変なときはありますか?
・複数人のグループで話しているとき、会話についていくのが大変なときはありますか?
・テレビやラジオの音量が大きすぎると周りに言われることはありますか? ボリュームを落とすと聞こえづらくなりますか?
・電話が聞き取りにくいですか?
・「耳が悪くなった?」と周りの人に言われましたか?
・相手の話を集中して聞かなければならないから、あまり会話が好きではないですか? 
これらの質問のほとんどに「はい」と答えた場合は、耳が聞こえにくくなっている可能性があります。聴力検査を受けましょう。

おわりに:難聴とは関係ないと思わずに病院に行きましょう

若い人で聞こえづらくなった場合、難聴とは認めたりせず、自然と治ると思って病院に行かない人も多いようです。ですが、難聴であることで、人とのコミュニケーションや社会生活に支障をきたして、それが原因となり精神的に病んでしまうこともあります。年齢を問わず、耳が聞こえづらいと思ったときは病院で相談してみてください。

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