子供でもカンジダ症を発症することがあるって本当?

2018/4/24

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

カンジダ症と聞くと、大人の女性に特有の病気と思うかもしれません。しかし、実は子供もカンジダ症を発症することがあります。この記事では、子供が発症するカンジダ症としてどのようなものがあるかを解説します。

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子供もカンジダ症になることがあるの?

カンジダ症は大人の女性の病気と思いがちですが、実は子供もカンジダ症(カンジダ性皮膚炎)になることがあります。

子供のカンジダ症(カンジダ性皮膚炎)は、皮膚がこすれるところにできやすいのが特徴です。たとえば、赤ちゃんがカンジダ性皮膚炎を発症した場合は、おむつかぶれが起こりやすいところにできることが多いです。

また、風邪を引いて抗生物質(抗菌薬)を服用したときもカンジダ性皮膚炎を発症することがあります。発症すると、あせものような症状が出て、ひどいかゆみを訴えることが多いです。

カンジダ性皮膚炎の原因となる菌は真菌なので、真菌を殺す効能がないおむつかぶれの薬やステロイド剤を塗っても症状は改善しません。子供がカンジダ性皮膚炎を発症している疑いがあるときは、小児科もしくは皮膚科で診てもらってください。

子供もカンジダ腟炎になる?

子供がカンジダ腟炎になることはほとんどありません。もし、カンジダ腟炎のような症状(外陰部のかゆみ、にごった色のおりもの、おむつもしくは下着の汚れなど)がみられるときは、外陰腟炎(非特異性腟炎)の可能性があります。

大人に比べて、子供の腟は自浄作用が働かないため、雑菌によって炎症が出やすい傾向があります。また、かきむしって二次感染を起こすこともあります。

もし、子供が外陰腟炎になっている場合は、外陰部をお湯で丁寧に洗いましょう。症状がひどいときは、お風呂に入らない時間帯でも洗面器などにお湯を入れ、おしりをつけて洗ってあげてください。その後、抗生物質のクリームを塗ったり、内服薬を飲ませたりが必要になることがあります。

男の子の場合は?

成人男性の場合、カンジダ菌が皮膚や傷口に付着すると亀頭包皮炎を発症します。亀頭包皮炎を発症すると、かゆみや軽い痛みが出たり、白いカスのようなものがポロポロ出てきたり、膿(うみ)が出たりします。

男の子の場合も腫れや痛み、白い膿が出てくるなど、男性の亀頭包皮炎と似たような症状がみられることがあります。ただ、子どもの場合はカンジダ菌が原因ではなく、細菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌など)が原因で発症しているため、厳密に言うと細菌性亀頭包皮炎となります。こちらはクリームもしくは内服タイプの抗生物質を使ったり、シャワーなどで患部を1日数回洗ったりして治療します。

子供の口腔カンジダ症

子供の口の中でカンジダ菌が増えると、カンジダ性口内炎になることがあります。これは、栄養不足で免疫力が低下したり、口の中が不潔な状態が続いたりすると発症することがあります。

また、カンジダ腟炎が完治しないまま出産した場合、赤ちゃんにカンジダ菌が感染して、口腔カンジダ症とも呼ばれる「鵞口瘡(がこうそう)」が発症することがあります。鵞口瘡を発症すると、舌や口の中にこすっても取れない白いこけのような塊ができる症状がみられます。

ほとんどの場合、鵞口瘡は口の中を清潔に保つようにして様子を見ていると自然に治ります。しかし、ミルクを飲みたがらなくなったり、機嫌が悪くなったりするようでしたら、抗真菌剤を患部に塗って治療します。

他の子供にうつることはある?

カンジダ症はほかの人にうつりにくい感染症のため、もし両親など、身内にカンジダ症を発症している人がいても、子供にうつる可能性は低いです。ただし、子供の免疫力が低い場合、カンジダ症がうつってしまう可能性があります。

したがって、万が一に備えて感染を防ぐよう心がけることが大切です。もし、カンジダ症を発症している人と子どもが一緒にお風呂に入るときは、湯船から上がったあとシャワーで体をしっかり洗い流したり、タオルや衣類を共有したりしないようにしてください。

おわりに:カンジダ性皮膚炎や口腔カンジダは子どもも発症する可能性がある

子供が発症する可能性があるカンジダ症として、カンジダ性皮膚炎や口腔カンジダがあります。もし、この記事で紹介したような症状が出てきたら、小児科もしくは皮膚科で診てもらいましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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