カンジダは肺炎を引き起こすことがある?!

2018/4/26 記事改定日: 2020/9/16
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「カンジダ」と聞くと、腟や外陰部の病気や皮膚炎など性病がイメージされませんか?実は肺にカンジダという真菌が侵入して肺炎を引き起こすことがあるのです。この記事では、カンジダによる肺炎(肺カンジダ症)や肺真菌症の種類、治療法などについて解説します。

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カンジダが肺炎の原因に?肺カンジダ症とは?

カンジダは真菌のひとつで、カビの仲間です。カンジダは体内に存在する常在菌なので、健康なときにも体内に存在しています。しかし、ホルモンバランスや免疫力が低下すると菌が増殖してカンジダ腟炎やカンジダ性皮膚炎といった症状が出てきます。

このカンジダが何らかの原因で肺の中に侵入すると、カンジダが原因の肺炎(肺カンジダ症)を発症することがあるとされています。

肺カンジダ症を発症しやすい人とは?

健康な人が肺カンジダ症を発症するのはまれで、次の人が発症しやすいと考えられています。

  • ステロイド剤や免疫抑制剤を服用している人
  • 白血病や抗がん剤で白血球が減っている人 など

ただし、カンジタ菌は皮膚などの常在菌であるため、肺炎を起こした方の肺からカンジタ菌が検出されても、必ずしもそれが原因菌であるとは限りません。したがってカンジタ肺炎というものは存在しないという意見も多くあります。

「肺カンジダ症」と肺真菌症の違いは?

肺真菌症とは、肺に真菌が感染して炎症を起こし、肺にさまざまな症状を引き起こす病気の総称です。肺カンジダ症は、肺真菌症のひとつです。肺真菌症の原因となる真菌として、カンジダのほかにアスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなどがあります。

肺アスペルギルス症

アスペルギルスは、大気中や土壌、水の中などに存在している真菌のひとつです。
肺アスペルギルス症の中には、ぜんそく症状やせき、たんといった症状があらわれる「アレルギー性気管支肺アスペルギルス」や、肺に存在する空洞に菌が繁殖した結果発症する「肺アスペルギローマ」といったものがあります。

肺クリプトコッカス症

クリプトコッカスは、ハトのフンなどに含まれる真菌です。何らかのきっかけで吸入してしまうことで、肺に病巣を作ります。自覚症状がほとんどない場合が多いのですが、進行すると咳やたん、微熱、胸の痛みや体のだるさ、体重減少といった症状がみられます。

ムコール症

ムコール症とは、ムコールと呼ばれるタイプの真菌に感染することによって引き起こされる感染症の一つです。頻度は高くありませんが、エイズなど免疫に異常が出る病気やステロイド・免疫抑制剤などの副作用によって免疫力が著しく低下すると発症することがあります。

感染経路は、空気中に漂うムコールを吸い込むことによるものとされており、鼻から目、脳などに感染が広がるものや肺や消化管に入り込んで感染を起こすものなど、様々な種類があります。多くは、急激に炎症などが進行し、様々な真菌感染の中で最も重症化しやすく、死に至る可能性が極めて高いいといわれています。

肺真菌症の治療法って?手術や入院は必要?

肺真菌症の治療は、抗真菌薬による薬物療法と手術があります。

抗真菌薬の治療

病巣の範囲が小さい場合は、直接もしくは吸入によって薬剤を投与しますが、病巣が大きかったり、症状が重いときは、注射によって薬剤を全身に行き渡らせる治療を行います。

手術療法

病巣が小さくても、咳と一緒に血を吐いてしまう状態が続いているときは、手術で病巣を切除することもあります。

肺真菌症は、症状が軽い場合は通院治療ができますが、血たん症状が出ているときや、症状が悪化しているときは、入院する必要があります。

おわりに:免疫力が低下していると、カンジダが肺で増殖して肺真菌症を発症するおそれあり

一般的に、カンジダは腟や皮膚に付着してカンジダ腟炎やカンジダ性皮膚炎といった症状を発症します。しかし、病気などで免疫力が低下している人の場合、肺に侵入して肺カンジダ症を発症することが、非常に稀ながらあるとされています。抗真菌剤の投与で治療しますが、病巣の範囲や症状の程度によっては手術や入院が必要なこともあります。心配な症状があるときは病院に相談しましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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