カンジダ菌は肺炎を引き起こすことがある?!

2018/4/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「カンジダ」と聞くと、腟や外陰部の病気や皮膚炎などをイメージすると思います。でも、実は肺に侵入して肺炎を引き起こすことがあります。この記事では、カンジダ菌による肺炎(肺カンジダ症)について解説します。

カンジダ菌が肺炎の原因になることはある?

カンジダ菌は真菌のひとつで、カビの仲間です。カンジダ菌は体内に存在する常在菌なので、健康なときにも体内に存在していますが、ホルモンバランスや免疫力が低下すると菌が増殖してカンジダ腟炎やカンジダ性皮膚炎といった症状が出てきます。

このカンジダ菌が何らかの原因で肺の中に侵入すると、カンジダ菌が原因の肺炎(肺カンジダ症)を発症することがあるとされています。肺カンジダ症は、健康な人が発症するのはまれで、ステロイド剤や免疫抑制剤を服用している人や、白血病や抗がん剤で白血球が減っている人などが発症しやすいといわれています。ただし、カンジタ菌は皮膚などの常在菌であるため、肺炎を起こした方の肺からカンジタ菌が検出されても必ずしもそれが原因菌であるとは限りません。したがってカンジタ肺炎というものは存在しないという意見も多くあります。

「肺カンジダ症」は肺真菌症のひとつ

肺カンジダ症は、肺真菌症のひとつです。肺真菌症は、肺に真菌が感染して炎症を起こし、肺にさまざまな症状を引き起こす病気の総称です。肺真菌症の原因となる真菌として、カンジダのほかにアスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなどがあります。

肺アスペルギルス症

アスペルギルスは、大気中や土壌、水の中などに存在している真菌のひとつです。
肺アスペルギルス症の中には、ぜんそく症状やせき、たんといった症状があらわれる「アレルギー性気管支肺アスペルギルス」や、肺に存在する空洞に菌が繁殖した結果発症する「肺アスペルギローマ」といったものがあります。

 

肺クリプトコッカス症

クリプトコッカスは、ハトのフンなどに含まれる真菌で、何らかのきっかけで吸入してしまうことで、肺に病巣を作ります。

自覚症状がほとんどない場合が多いのですが、進行すると咳やたん、微熱、胸の痛みや体のだるさ、体重減少といった症状がみられます。

肺真菌症の治療法

肺真菌症の治療には、抗真菌薬を使います。病巣の範囲が小さい場合は、直接もしくは吸入によって薬剤を投与しますが、病巣が大きかったり、症状が重いときは、注射によって薬剤を全身に行き渡らせる治療を行います。また、病巣が小さくても、咳と一緒に血を吐いてしまう状態が続いているときは、手術で病巣を切除することもあります。

肺真菌症は、症状がかるければ通院治療ができますが、血たん症状が出ているときや、症状が悪化しているときは、入院する必要があります。

おわりに:免疫力が低下していると、カンジダ菌が肺で増殖して肺真菌症を発症することも

一般的に、カンジダ菌は腟や皮膚に付着してカンジダ腟炎やカンジダ性皮膚炎といった症状を発症しますが、病気などで免疫力が低下している人の場合、肺に侵入して肺カンジダ症を発症することが非常に稀ながらあるとされています。抗真菌剤の投与で治療しますが、病巣の範囲や症状の程度によっては入院することもあります。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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