記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/4/16 記事改定日: 2019/10/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中に行う検査ときくと、エコー検査で赤ちゃんが動いている様子などを確認する場面をイメージする方も多いと思います。では、妊娠初期のエコー検査ではどのようなことがわかるのでしょうか?
今回は妊娠初期のエコー検査について解説していきます。
妊娠初期(妊娠5週くらい~15週)には正常妊娠かどうかや妊娠週数などを確認する目的でエコー検査が行われます。
エコー検査で性別が判定できるようになるのは、妊娠中期といわれる18~30週を迎えてからです。ですが、一般的には妊娠初期といわれる12週ごろになると、外性器の突起がみられ、その形から性別を判定できることがあります。
ただし、このころはまだ外性器の形が整っていないため、医師が性別を伝えることはほとんどありません。
妊娠5週ごろになると小さな黒い豆粒のような胎嚢が見え、妊娠8週ごろになると赤ちゃんは胎児と呼ばれ、頭から手足のようなものが出ているのが見えます。
妊娠11週ごろになると手足の区別がつくようになり、目や口などの顔のパーツが発達して人間らしい顔つきになってきます。
妊娠15週ごろになると、頭、首、胴体の区別がつき、腕を曲げた様子などもエコー写真で確認できるようになります。
エコー写真に記載されている英語や数字の意味を紹介します。
エコー写真を見るときの参考にしてください。
妊娠5~6週の段階で胎嚢が確認できない場合には
の3つの理由が考えられます。
この項目では②と③について解説します。
化学的流産とは、一度は妊娠したものの、超音波で確認できるようになる前に胎芽の発育が止まってしまった状態です。
妊娠検査薬は陽性反応を示したにもかかわらず、妊娠5~6週になっても胎嚢が見えない場合は化学的流産が起きている可能性があります。
子宮の中ではなく卵管や腹膜など子宮の外に胎嚢が確認された場合は異所性妊娠と診断されます。
異所性妊娠の場合は胎芽が発育するにつれて性器出血や下腹部痛などの症状がみられたり、母体が危険な状態になるリスクが高いので、発見され次第できるだけ早く治療を始める必要があります。
妊娠検査薬で陽性反応が出ているものの、胎嚢が確認できない理由としては、排卵の遅れなどで予想している妊娠週数よりも遅れていることが考えられます。
通常、胎嚢は妊娠5週目頃に確認できるようになりますので、1~2週間後に再検査を行います。
一方、明らかに妊娠5週目を過ぎていても胎嚢が確認できない場合は流産や子宮外妊娠の可能性が考えられます。流産の場合は、遅れた生理のように出血が起こり、再び元の生理周期に戻りますので母体に関してはとくに心配する必要はありません。
しかし、子宮外妊娠は卵管や腹腔内などで胎嚢が大きく育つと破裂し、大量出血を来たすことがあります。
胎嚢が確認できず、経過観察となっている間でも急な下腹部痛や出血がある場合はできるだけ早く病院を受診するようにし、激しい運動などは控えましょう。
妊娠初期のエコー検査は正常妊娠であるかどうかを確認する目的で行われます。
性別や顔つき、手足の様子などがわかるのはもう少し先なので、赤ちゃんの成長を待ちましょう。