記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
帯状疱疹の症状として代表的なのが水ぶくれや皮膚の痛みですが、皮膚のかゆみを感じる方も少なくありません。思わずかきむしりたくなりますが、この帯状疱疹によるかゆみはいつまで続くのでしょうか?また、どんな薬での治療が有効なのでしょうか?
帯状疱疹の代表的な症状は、身体の左右どちらかに痛みがあらわれることと、皮膚に赤い発疹や水ぶくれがあらわれることです。しかし、その他にも頭痛や発熱、そしてかゆみを伴うこともあります。かゆみの程度も持続期間も、人それぞれであるため一概には言えませんが、約2週間くらいを目安に落ち着いてくるとも言われています。そのため、2週間以上経過しても、かゆみが落ち着く気配がないようであれば、再度病院を受診することをおすすめします。
帯状疱疹の治療は抗ヘルペスウイルス薬の服用が中心となります。抗ヘルペスウイルスは、ウイルスの増殖を抑えて症状を緩和し、早期の回復をうながします。また、必要に応じて消炎鎮痛薬や、痛みに対して神経ブロック注射が用いられることもあります。かゆみに対しては、補助的な役割として塗り薬が処方されることがあります。
抗ヘルペスウイルス薬は、服用して即日に効果が期待できる薬ではありません。効果が実感できないからと自己判断で中止はせず、医師や薬剤師の指示どおりにしっかりと服用しましょう。
抗ウイルス薬はドラッグストアでは手に入りません。帯状疱疹では、体内のウイルスの増殖を抑えることが必要なため、できるだけ早く医療機関を受診して適切な治療を開始することが大切です。しかし、受診するまでの間に著しい痛みや赤み、腫れがあっては、身体を動かすことも辛いこともあります。あくまでも応急処置的に使える市販薬はあります。店頭の薬剤師に相談をして、いっしょに適切な薬を選んでもらうと良いでしょう。
以下に挙げる薬は、かゆみではなく、痛みの緩和に用いられる薬です。帯状疱疹のかゆみに対しては、ここで使って良いと言えるものはありません。
主成分はロキソプロフェンです。強い痛みの緩和が期待されます。
主成分はイブプロフェンです。軽度〜中程度の痛みの緩和が期待されます。
アセトアミノフェン系で胃にも優しい薬です。
また、市販薬の中でも使ってはいけない薬があります。以下の2点は家庭にも常備されていることがある薬ですが、帯状疱疹が疑われる際は安易な服用や使用は止めましょう。
ウイルス性の病気に対しては重度の障害を引き起こすリスクがあり、禁忌とされています。
ステロイドが含まれているため、帯状疱疹が疑われる際のかゆみには使ってはいけません。
帯状疱疹の際に、特に使ってはいけない薬として「リンデロン」が挙げられます。リンデロンは塗り薬で、炎症を抑えるステロイドと抗菌作用のある抗生物質が配合されています、細菌による皮膚症状に処方される薬で、ウイルスに対しては用いられません。また、ステロイド剤は、その強い効能の反面、副作用の可能性もある薬です。過去に似たような症状で処方されたとしても、帯状疱疹が疑われる際には症状を重篤になることがあります。安易な使用はやめましょう。
帯状疱疹は、疲れやストレスがたまっているときに起こりやすいといわれています。過去に感染した水疱瘡のウイルスが体内に潜んでいて、身体が弱っている時に暴れだしてしまうためです。そのため帯状疱疹の治療には、しっかりと休養をとり体調を整えることが大切です。
現代の忙しい生活の中では休養をとることは難しいことかもしれません。しかし、帯状疱疹は悪化すると、不快な痛みが残存する帯状疱疹後神経痛を残存してしまうこともあります。また、顔面神経で症状があれば、顔面神経麻痺や、難聴などの障害をのこすこともあります。睡眠をしっかりとり、回復に努めましょう。
日々の食事が不規則になっている人もいるかもしれませんが、できるだけバランス良い食事を心がけましょう。特にビタミンB12やビタミンEは、神経炎に良いという報告もあります。ビタミンB12は魚介類やレバーといった動物性食品に含まれています。またビタミンEは、ナッツ類や植物オイルに豊富です。また、たらこなどの魚介類にも含まれています。
帯状疱疹は、痛みや発疹、水ぶくれが主症状ですが、かゆみを伴うこともあります。自己判断での薬の使用は避け、適切な治療を開始すれば2週間程度でおさまっていくものです。しっかりと休養をとり、早い回復につなげましょう。