記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/11
記事監修医師
前田 裕斗 先生
子宮内膜症の治療法には、手術のほかに薬を服用する方法があります。薬を服用する場合、対症療法として鎮痛薬を使うこともあれば、ホルモン療法としてピルを服用することもあります。この記事では、子宮内膜症の治療でピルを服用する場合について解説します。
ピルは、エストロゲンとプロゲステロンを合成して作られたホルモン剤です。子宮内膜症の治療にピルを処方するのは、ピルの作用で子宮内膜様組織を小さくすること、卵巣から分泌されるエストロゲンを抑えることで進行を抑え、遅らせるためです。
ピルにもエストロゲンが含まれますが、これは自然分泌と比べてごく少量であり、エストロゲンと拮抗作用のあるプロゲステロンを含むため子宮内膜症の治療に有効なのです。
ピルはホルモンの配合量によっていくつか種類がありますが、子宮内膜症の治療で使われるものは低用量ピルと呼ばれるものです。低用量ピルは、もともと体内にあるホルモンを配合しているものなので、副作用は少ないと言われていますが、体が慣れるまでは吐き気や胸の張り、頭痛といった症状が出てくる可能性があります。
一般的には服用から1、2カ月ぐらい経つと体が慣れてきて副作用が落ち着いてきますが、症状がひどかったり、長引いたりしている場合は、かかりつけの医師に相談してみてください。
ピルを服用すると、体が妊娠と同じ状態になるため、むくみやすくなったり、食欲が増したりすることがあります。このため、ピルが原因で太ったと考えてしまいやすいのですが、ピルと太ったこととの間に直接の関係はありません。
以下に、ピルを使って子宮内膜症を治療する場合のメリットとデメリットを紹介します。
・副作用が少ない
・月経痛を和らげることができる
・症状の進行を抑える可能性がある
・経血量を抑えることができる
・長期間服用できる
・避妊効果もあるので、妊娠を希望する場合は利用できない
・タバコを吸っている場合は処方できない
・1カ月のうち、3~4週間服用しなければならない
子宮内膜症の治療のためにピルを服用すると、痛みの改善や病巣の進行を遅らせることができます。副作用として、服用を始めてからしばらくの間、吐き気や頭痛などがみられますが、体が慣れてくると落ち着いてくると言われています。ただし、しばらく経っても症状が落ち着かない場合や、悪化している場合は、かかりつけの医師に相談してください。