妊娠初期にカフェインを飲んだけど大丈夫?どの位なら飲んでもいい?

2018/4/18

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

妊娠初期は、お腹の赤ちゃんへの影響だけでなく、母体の影響も考慮して食事を摂る必要があります。妊娠中に控えた方がいいものとしてカフェインが挙げられますが、なぜ控えた方がいいのでしょうか。
この記事では、妊娠初期のカフェイン摂取について説明しています。普段コーヒーや紅茶を楽しむ人で妊娠した人や、妊娠を予定している人は参考にしてください。

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妊娠初期にはカフェインを摂らない方が良い?

カフェインには、中枢神経や骨格筋に作用して精神や運動機能を高め、覚醒や疲労回復、利尿や胃酸の分泌を促し、基礎代謝を増加させるほか、リラックス効果もあるといわれています。しかし、大量に摂取すると、不眠や精神の興奮、筋緊張、頻脈や呼吸促進などが起こることがあります。

そのため、妊娠中のカフェインの摂取については、なるべく控えることが推奨されています。妊婦には多くの栄養素が必要とされますが、特に胎児の発育に深く関わるカルシウムや鉄分がカフェインに含まれる「タンニン」と結合して尿とともに排出されてしまい、母体が慢性的なカルシウム不足になったり貧血を起こしやすくなることがあるといわれています。
また、妊娠中はカフェインを分解、排泄するのに時間がかかり、妊婦の身体に長く残ることになるので、妊婦や胎児ともに影響を受ける可能性が高くなります。
妊娠初期からカフェインの量には注意を払うようにしましょう。

妊娠初期にカフェインを摂りすぎたら赤ちゃんに影響する?

妊娠初期は胎盤や胎児の重要な器官をつくる大切な時期ですが、カフェインは血管を収縮させ胎盤を作るための血液を減少させてしまうため、胎盤の形成に影響が出たり、胎児への酸素や栄養素が十分に行き渡らなくなる場合があります。
また、妊婦が取ったカフェインは、胎盤を簡単に通過して胎児の中に入りますが、胎児は肝臓機能が未熟でカフェインを排泄できないため、体内に高濃度のカフェインを蓄積することになってしまいます。胎児の発育との関連性については明確になっていませんが、取り過ぎると流産のリスクは高くなると考えられています。
カフェイン摂取量が1日150mg未満の妊婦に比べて300mg以上摂取する妊婦では流産のリスクが2倍になるといわれ、コーヒー1日8杯以上で死産のリスクが高まるとの報告もあります。

妊娠初期のカフェイン、どれくらいなら良い?

どのくらいのカフェインが胎児にどのように影響するのかは、はっきりとはわかっていません。しかし、低体重や流産、将来の健康リスクが懸念されていることから、各国の保健機関から目安として1日あたりの最大摂取量が提示されています。

世界保健機構(WHO)では、妊婦はコーヒーの摂取量を1日3~4杯にすべきとしています。英国食品基準庁(FSA)は1日あたりカフェイン摂取量を200mg(マグカップ2杯程度)、カナダ保健省は300mg(カップ4~6杯)、オーストリア保健・食品安全局(AGES)も300mgとしています。なお、概ねコーヒー200mlでカフェイン80mg、玉露200mlで160mg、煎茶200mlで40mg、コーラ340mlで33mgとなっています。

コーヒーや煎茶を1日1杯飲む程度であれば神経質になる必要はありませんが、気になるようであればカフェインを含まない飲み物を選ぶようにしましょう。

紅茶やお茶も飲まないほうが良いの?

日本では上限を定めていませんが、1日のカフェイン摂取量が100mgを超えると自然流産率が高まるというデータがあります。コーヒーであれば1日1~2杯が上限となりますが、カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶や緑茶、ウーロン茶などにも多く含まれています。同じ緑茶でも、玉露には煎茶の4倍のカフェインが含まれています。淹れ方にもよりますが、コーヒー同様、飲み過ぎないようにし、1日あたり100mgを超えないようにしましょう。

また、カフェインはコーラやエナジードリンク、チョコレート、ココアなど、幅広い飲料や食品にも添加されていますので注意が必要です。妊娠前からカフェイン飲料を愛飲しており、無理にやめるとストレスを溜めてしまう、偏頭痛を起こしやすくなるという場合でも、まずは医師に相談し、1日1回のリラックスタイムを決めて適量を楽しむようにしましょう。

カフェインが含まれないお茶

何か飲み物がないと落ち着かないという人は、カフェインを含まないお茶を利用すると良いでしょう。麦茶やたんぽぽ茶、ゆず茶、小豆茶のほか、リラックス効果や妊婦特有の悩みをやわらげる効果のあるハーブティーなども楽しむことができます。
特に、鉄分が豊富なルイボスティーやビタミンCが豊富でむくみの解消にも良いとされるローズヒップティーなどはおすすめです。

ただし、ハーブティーの中には子宮収縮作用があるものなど、妊婦には不向きなものもあります。ハーブティーを選ぶ際には、専門店のスタッフに聞いたり、しっかり説明書きを読むようにしましょう。判断が難しい場合には、購入前に必ず医師に確認するようにして下さい。

おわりに:カフェインは母体にも胎児にも影響します。1日100mgを超えないよう注意しましょう

妊娠中のカフェインの摂取は、なるべく控えた方が良いとされています。特に妊娠初期では、胎盤を作るための血液を減少させるなどして流産のリスクを高めるといわれています。カフェインは1日100mgを超えないように気をつけて摂るようにしましょう。

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