記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/5/28 記事改定日: 2019/10/1
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
薬を服用していると、いつまで飲み続けるのかな、と不安に思ったことがあるかもしれません。この記事では、子宮内膜症の薬物治療(偽閉経療法、低用量ピル、黄体ホルモン療法)について、どのくらい服用できるのかや、副作用はないのかなどを解説していきます。
子宮内膜症の薬物治療として、偽閉経療法、低用量ピル、黄体ホルモン療法の3種類あり、治療期間も違ってきます。
偽閉経療法は、女性ホルモンの働きを完全に抑えて、体内を閉経と同じ状態にする治療法です。閉経状態によって月経が止まると、月経痛も過多月経もなくなるため、病変組織を小さくする効果が期待できます。
ただし、更年期と同じ症状(のぼせ、ほてり)が出たり、骨密度が下がったりする影響があるため、連続して服用できるのは6カ月間までです。
偽閉経療法の副作用として、のぼせやほてりといった更年期症状や、骨密度の減少といった副作用があります。
低用量ピルを服用し続けると、子宮内膜症による月経痛や過多月経の改善が期待できます。また、症状の進行を抑える効果もあります。
ピルは、妊娠を検討し始める頃まで服用し続けることができます。
低用量ピルの副作用として、飲み始めてから最初の1、2カ月で吐き気や不正出血といった症状が出ることがあります(副作用があるかどうかは個人差があります)。
また、ごくまれに血栓症という重い副作用が出ることがあります。
黄体ホルモン療法では、黄体ホルモンだけを服用することで、卵巣から分泌される女性ホルモンを抑えることで、病変組織を小さくする効果が期待できます。
黄体ホルモン療法も低用量ピルと同じく、長期にわたって続けることができる治療法です。
黄体ホルモン療法の主な副作用として、少量の不正出血が続くことがあります。
飲み始めてから最初の3カ月から6カ月間に多く、次第に減少することが多いですが、人によってはずっと性器出血が続くこともあります。
子宮内膜症治療薬として、黄体ホルモン製剤の「ディナゲスト®」があります。2017年にこの薬のジェネリック医薬品「ジエノゲスト」が使えるようになりました。
ディナゲスト®は、2種類の女性ホルモンのうち、プロゲステロン(黄体ホルモン)と同様の働きをする薬剤です。
子宮内膜の増殖はもう一方の女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)によって促されています。プロゲステロンが活発に作用することでエストロゲンの産生や働きを抑制し、子宮内膜症の症状を改善することができます。
子宮内膜症による諸症状を根本的に解決するため、高い治療効果が期待できるのが特徴です。
しかし、ディナゲスト®には排卵を抑制する効果もあるため、妊娠を希望する女性には使用することができません。また、不正出血やそれに伴う貧血などの副作用や、エストロゲンの分泌量が低下することでほてりやめまい、動悸、発汗、抑うつ気分など更年期障害と似た症状が現れることもあります。
服用を開始する際はこれらのデメリットをしっかり把握し、副作用による体調不良が強いときはすぐに医師に相談しましょう。
子宮内膜症の薬物治療として、偽閉経療法、低用量ピル、黄体ホルモン療法の3種類があります。このうち、偽閉経療法のみ連続して服用できる期間が6カ月間と決まっています。
低用量ピルや黄体ホルモン療法は長期間服用することができますが、低用量ピルは妊娠を検討する時期になったら服用をやめる必要があります。