記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/17
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期に起こる症状として「つわり」は広く知られていますが、つわりにはどんな種類があるのでしょうか。また、そもそもつわりが起こらない場合もあるのでしょうか?以降で解説します。
つわりは、妊娠初期のおよそ50~80%の女性が経験する生理現象のひとつです。早ければ妊娠5週頃から始まり、このつわりは症状によって大きく5種類に分けられます。
つわりのなかでも多くの妊婦さんが経験するもので、船酔いや二日酔いの状態がずっと続くと表現されます。吐いても楽にならず、症状が重い場合には栄養失調や脱水状態になる人がいるほどです。
原因ははっきりとわかっていませんが、妊娠してホルモンバランスが大きく変わることと言われています。
特定のものだけを食べたくなったり、常に何かを食べていたいと感じたりして、空腹になると吐き気を感じるつわりです。
吐きつわりと併発することも多く、1日中吐き気に襲われながらも空腹になるとさらに吐き気があります。
1日中眠気があり、だるさや集中力の低下を引き起こします。
原因は、主にプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるホルモンが妊娠によって増えることや、胎盤を作ることにエネルギーを使うため、その活動を抑える目的で起こると考えられています。
よだれの分泌量が増え、不快に感じ、飲み込めないという症状が特徴です。
一般的に妊娠するとよだれは減るのですが、よだれの殺菌作用に対し身体の防衛反応がはたらいていたり、自律神経の乱れがよだれを増やしたりする説があると言われています。
あらゆるにおいに敏感になって不快に感じ、においをきっかけに吐いてしまい、吐きつわりと合併する人も多くいます。
動物は妊娠すると天敵から身を守るためにおいに敏感になると言われていますが、人間も同じようにホルモンの影響が関係していると考えられています。
妊娠期間は大きく分けて、妊娠初期(14週未満)、妊娠中期(14~27週)、妊娠後期(28週以降)の3つに分けられます。
妊娠中期に入ると頭痛の症状に悩まされる人も多くおり、つらい頭痛ですがなるべく薬の使用は避けましょう。妊娠中にも使える薬はありますが、100%安全と言い切れません。赤ちゃんへの影響を考え、とくに妊娠4~7週は薬の使用を避けたほうがよいでしょう。
だいたいつわりの症状は妊娠5~6週目頃から始まり、12~14週頃には治まります。症状の出方やピークには個人差があり、妊娠7~11週目頃にピークとなる人が多いようです。
しかしなかには妊娠中ずっとつわりがある人もいるため、つわりの期間には個人差が激しいと言えます。
約20%の女性はつわりがないと言い、つわりがない人にはいくつかの特徴があげられます。胃腸が強い人は気持ち悪さを感じにくかったり、ストレスに鈍感だったりするとつわりを感じにくいと言います。
他にも運動をしていて体を鍛えていた人はつわりと闘う体力があったり、冷え性でない人はあらゆる不調を感じにくかったりするようです。
吐きつわりの対策は一度に食べる量を少なくし、複数回に分けて食べることがポイントです。野菜スープや経口補水液は比較的飲みやすく、必要な栄養やミネラルが摂れます。
空腹状態を避けるため、すぐに食べられるものを用意しておくと良いでしょう。外出時には飴やクッキーなどの持ち運びやすいものをバッグに入れ、寝る前におにぎりなどを置いておくと起きたときにすぐ食べられます。食べたいのに吐き気もあるときは、スープがおすすめです。
適度な昼寝をとることです。無理に起きていようとすると、めまいや気持ち悪さを引き起こすことがあります。眠れない環境にいる場合には、飴やガムを噛んで眠気を紛らわすと良いでしょう。
分泌し続けるよだれを拭くためのタオルやティッシュが欠かせません。清涼感のある飴やガムを食べて、よだれを飲み込みやすくするのも効果的です。
においをシャットアウトすることが大切です。まずはマスクをして、香料が使われているものを避けるなどすると症状を抑えることができます。
つわりがある場合は体調の良いときだけ活動するなどの工夫が必要です。また、無理に自分だけで乗り越えようとせず、医師に相談することも大切です。症状をやわらげるためにリラックスを心がけ、上手につわりを乗り切りましょう。