記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
会社の健康診断で行う、血液検査や尿検査。この結果で糖尿病かどうかはわかるのでしょうか?
この記事では、糖尿病の検査の種類と基準となる数値について解説していきます。
糖尿病は健康診断の血液検査でわかることの多い病気です。目安となるのはまず血糖値ですが、その他にも血液検査でわかるHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)の値やBMI値(体重(kg)÷身長(m)の2乗)も参考にします。特にBMIが27以上の場合は糖尿病の発症率が2倍になることがわかっており、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症などを併発しているメタボリックシンドロームの人は糖尿病の発症リスクが非常に高いので注意しましょう。
血液検査では、以下の項目に注目してください。
糖尿病は血中のブドウ糖が増えてしまう病気なので、その濃度を見ることで糖尿病の可能性を判断します。健康診断では、朝食を摂らずに採血する空腹時血糖値を測定するのが主流ですが、検査によっては食事からの時間を決めずに採血する随時血糖値を測定する場合があります。それぞれ基準となる数値は以下の通りです。
糖尿病により高血糖の状態が続くと、血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した「HbA1c」の割合が増えます。HbA1cは一度結合して糖化すると、赤血球の寿命まで元に戻ることはありません。つまり、HbA1cの測定をすれば過去4〜8週間の血糖値の変化を調べることができます。基準となる数値は以下の通りです。
糖尿病によって高血糖の状態が続くと、それを抑制するためにインスリンが多く分泌される「高インスリン血症」になることがあります。インスリンには尿酸の排出を抑制する作用があるため、高血糖だと尿酸値が高い傾向にあり、このことから尿酸も糖尿病の基準の一つとなります。基準となる数値は以下の通りです。
糖尿病は健康診断の血液検査でわかることが多いですが、いわゆる「隠れ糖尿病」の場合はわからないケースがあります。
これは糖尿病であれば空腹時血糖値が高くなりますが、隠れ糖尿病(軽度の糖尿病)では食後2〜3時間経ってから血糖値が上昇するという特徴があるためです。
この隠れ糖尿病を早期発見するには、血糖値の検査と、先述の尿糖の検査が有効です。血糖値の検査は採血や専用の血糖測定器が必要ですが、尿糖検査は自宅のトイレで食後(夕食後2時間)の尿を試験紙にかけるだけで判定できます。尿糖検査で陽性判定だった場合は、すぐに専門外来で糖尿病の検査を受けましょう。また陰性だった場合も、月に1度は尿糖検査をすることをおすすめします。
一般的な健康診断では、糖尿病の有無をスクリーニングするための検査が行われます。
血液検査では血糖とヘモグロビンA1cと呼ばれる項目が調べられます。血糖は血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示した値で、食事に影響されやすいため検査は空腹時に行うのがポイントです。一方、ヘモグロビンA1cは過去1~2カ月の血糖の状態を示したものです。
また、尿検査で尿糖や尿たんぱくの有無などが調べられることもあります。
いずれも糖尿病の早期発見に適した検査ですので、健康診断を受ける際にはどの項目が含まれているか確認しておきましょう。
ただし、健康診断での糖尿病検査はあくまで糖尿病の可能性をスクリーニングするためのものであり、異常が発見された場合にはできるだけ早く精密検査を受けて治療や生活改善を始めることが大切です。
糖尿病は、健康診断の血液検査でわかることが多いです。健康診断の結果が郵送されたら、血糖値やHbA1cなどの数値をまずはチェックしましょう。また、BMI値や尿糖の検出によっては、隠れ糖尿病の可能性が高いこともあるので、血液検査の結果が良好でも油断せず、健康的な生活習慣を心がけましょう。