糖尿病で貧血やめまいが起こる原因は? 血液検査で貧血がわかる?

2018/4/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

あまり知られていませんが、糖尿病患者さんで貧血やめまいにお悩みの方は少なくありません。今回の記事では、糖尿病と貧血の関係性や、検査で気づくためのポイントなどを解説します。

糖尿病で貧血やめまいが起こるメカニズム

糖尿病患者の貧血やめまいの原因は、「糖尿病性腎症」によるものです。普段、腎臓は体に必要なミネラルやタンパク質は体内へ戻し、不必要なものは老廃物として排尿するろ過機能を担っています。しかし糖尿病で高血糖状態が続くと、動脈硬化などの影響で腎臓のろ過機能が低下し、尿タンパクが出たり、老廃物を排出できなくなったりして腎機能が低下するようになります。これが糖尿病性腎症の状態です。

そして糖尿病性腎症になると、腎機能の低下に伴い、腎臓から分泌されるエリスロポエチン(赤血球の産出を促すホルモン)の分泌量が減少することで、貧血やめまいが起こるようになるのです。こうした腎機能低下に伴う貧血を、腎性貧血と呼びます。

検査でHbA1c値が低いのは貧血のサインかも

腎性貧血を起こしている糖尿病患者は、「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値」が低下しやすい傾向にあります。それはなぜかというと、先ほどお伝えしたように、糖尿病性腎症による貧血は赤血球の産出を促すホルモンの分泌量が減少することで起こります。この赤血球の中にはヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質の一種)が存在するのですが、このヘモグロビンとブドウ糖が結合することでHbA1cができます。つまり赤血球の数が少ないと、その分HbA1c値も低くなるのです。

血液検査で「血糖値は改善しなかったのに、HbA1c値だけは低くなった」という場合には、腎性貧血を疑いましょう。

糖尿病による貧血は食事で改善できる?

糖尿病による貧血は腎機能の低下が原因で起こるものなので、鉄欠乏性貧血とは異なり、食事から鉄分を摂取するだけで改善するわけではありません。まずは根本的な原因であるエリスロポエチンの分泌不足を補う、腎性貧血の治療薬による治療が必要です。

ただし、エリスロポエチンは鉄分が不足していると効果が低減するため、レバーやほうれん草、大豆、煮干しなど食事から鉄分を補給することが重要です。また、鉄分の吸収をよくする動物性タンパク質や、鉄分を血液に変化させる葉酸やビタミンB2なども一緒に摂取することをおすすめします。

おわりに:糖尿病患者に多い貧血。HbA1c値の低下に注目を

糖尿病患者は、高血糖によって腎臓の機能が低下することで、貧血やめまいが起こることがあります。血液検査の結果でHbA1c値が低いと、「糖尿病が改善した!」と思う方もいらっしゃいますが、HbA1c値が低くても血糖値が変わらないなら腎性貧血の可能性があるので注意しましょう。

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