糖尿病患者の吐き気や頭痛はなぜ起こる? 原因と対処法を解説

2018/4/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

糖尿病の患者さんは、突発的な吐き気や頭痛、めまいなどに襲われることがあります。これらの症状の原因は何なのでしょうか?対処法と併せて解説します。

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糖尿病患者の吐き気や頭痛、原因は?

糖尿病患者の吐き気や頭痛の原因としては、インスリンが効きすぎたことによる低血糖(血糖値が低くなりすぎた状態)が考えられます。頭痛や吐き気は一般的な症状なので発見が遅れがちですが、眠気やあくび、空腹感など他の症状も見られる場合は低血糖の可能性が高いです。

低血糖を招く具体的な原因としては、以下のものが挙げられます。

薬の投与量が多い

規定量よりも多くインスリンを投与すると、低血糖になることがあります。

食事量の変化

普段よりも食事の量が少なかったり、食事の間隔が空きすぎたりすると、想定よりも血糖値が上がらなかったために薬が効きすぎて、低血糖になることがあります。

運動

長時間の運動や激しい運動、あるいは空腹時の運動によって血糖値が下がりすぎるケースがあります。

体調不良

風邪やインフルエンザなどの感染症にかかっていたり、怪我をしているときは血糖値が乱高下しやすいです。

吐き気に加えめまいも…原因は?

低血糖の症状が進行すると、吐き気だけでなくめまいや手の震え、動悸、冷や汗、頻脈が出始め、深刻な状態になると意識障害から昏睡に陥ることもあります。また他の原因としては、低血糖による吐き気とは逆に、高血糖による糖尿病性ケトアシドーシスが考えられます。

糖尿病性ケトアシドーシスとは、インスリン注射の打ち忘れや投与量不足、清涼飲料水の飲み過ぎが原因で起こる現象で、血糖値が下がらず、インスリン量が不足することによって糖代謝ができなくなり、代わりに筋肉や脂肪をエネルギーとして使う緊急事態です。そして、筋肉や脂肪が分解されるときにケトン体という物質が発生するのですが、ケトン体が増えると血液は酸性に傾き、重度の脱水に陥ります。これによって、急激なのどの渇きや多尿、吐き気、腹痛、めまい、倦怠感などの症状が見られるのが特徴です。

糖尿病性ケトアシドーシスも放置すると、重度の低血糖と同様に、昏睡状態に陥ることがあります。

糖尿病による吐き気に対処するには?

糖尿病による吐き気の原因が低血糖か、それとも高血糖による糖尿病性ケトアシドーシスかによって対処法は異なります。

低血糖の場合

激しい運動の後やインスリン注射の後で、吐き気や頭痛、空腹感、手の震えなど低血糖の症状が見られたら、すぐにブドウ糖を摂取してください。糖分入りのジュースや飴でも代用可能です。

高血糖の場合

吐き気やめまい、多尿、喉の渇きなど、糖尿病性ケトアシドーシスの疑いがある症状が見られたらすぐに病院を受診してください。インスリン注射や、輸液や電解質の補給などでの早急な治療が重要です。

おわりに:糖尿病患者の吐き気の主要因は低血糖か高血糖。状況や症状を踏まえ、原因を把握しよう

糖尿病患者の吐き気の主な原因としては、低血糖か高血糖が考えられます。食事の量やインスリンの投与量、吐き気が起こる前の行動などによって、どちらの可能性が高いかは違ってくるので、吐き気以外の症状にも注目しつつ、適切な対処をしましょう。

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