記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
漢方薬は安全という印象を持っている方も多いでしょうが、中には妊娠中には服用してはいけない漢方薬もあります。
妊娠中に避けたほうが良いのはどのような漢方薬なのか、この記事でみていきましょう。
妊娠中に服用を避けたほうが良い漢方薬は大きく分けて下記の3種類です。
このタイプの漢方薬は清熱系とよばれ、体の熱を冷ます働きがあります。一般的には皮膚炎や炎症性の胃腸炎の改善に使われることが多いです。
妊娠中の女性は特に体を冷やすとさまざまな不調につながりやすいので、上記のような作用のある漢方薬を選ばないよう注意しましょう。
このタイプの薬剤を駆瘀血剤(くおけつざい)といいます。
漢方医学では血流れの滞りや汚れを瘀血(おけつ)とあらわしますが、駆瘀血剤は瘀血の症状を改善させるための漢方薬です。
駆瘀血剤の作用によって流産を引き起こす可能性があるため、妊娠中は服用しないよう注意してください。(※かなり高い濃度の駆瘀血剤でなければ流産のリスクはそれほどないといわれますが、念のため妊娠中の服用は避けましょう)
このタイプの漢方薬は解表剤(げひょうざい)とよばれます。
代表的な漢方薬は、葛根湯(かっこんとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄湯(まおうとう)などです。
妊娠中の風邪を改善するという漢方薬には下記のようなものがあります。
・香蘇散(こうそさん)、桂枝湯(けいしとう)→ 風邪のひきはじめの症状
・麦門冬湯(ばくもんどうとう)→ 乾いた咳
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう)→ 鼻水
・桔梗湯(ききょうとう)→ 喉の痛み
漢方薬は赤ちゃんに与える影響がほとんどないといわれていますが、症状や妊婦さんの体質に応じて適切に使う必要があるので、市販品は使わずに必ず医師に処方してもらうようにしましょう。
消化機能の活性化・食欲増進の効果がある漢方薬や吐き気・嘔吐を抑える効果のある漢方薬を飲むと、つわりの症状が落ち着くことがあります。
つわりを緩和する漢方薬はいくつかありますが、今回はその中でも代表的な五苓散(ゴレイサン)と当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)の効果をお伝えします。
五苓散はつわりの緩和に処方されることが多い漢方薬で、つわりの他には脱水症状が見られるときにも使われるため、安全性が高いと考えられています。
つわりが原因の嘔吐や吐き気の症状改善が期待できますが、桂皮(ケイヒ:シナモンのこと)が配合されているため、その香りが受け付けないのであれば無理をして飲まず、医師に相談して違う漢方薬を処方してもらいましょう。
当帰芍薬散は五苓散にいくつかの生薬を加えた漢方薬で、つわりの他にも流産の予防のために処方されることもあります。
ただし、当帰芍薬散を服用すると胃もたれを起こすことがあるので注意しましょう。
妊娠中はさまざまな薬に注意する必要がありますが、漢方薬もまた同様です。
妊娠中の服用を避けたほうが良いものや、妊婦さんの体質に合わないものを服用すると症状が悪化したり、お腹の赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるので、妊娠中に漢方薬の使用を考えている場合は必ず医師に処方してもらうようにしてください。