漢方は本当に高血圧に効果があるの?どんな薬がある?

2018/4/27 記事改定日: 2019/4/4
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高血圧の治療薬といえば病院で処方される降圧剤が広く知られていますが、実は漢方薬にも高血圧を改善する効果があることをご存知ですか?
今回は高血圧の改善に効果的といわれる漢方薬についての情報をお伝えします。

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高血圧に効く漢方って、釣藤散以外に何がある?

高血圧の治療に使われる主な漢方薬は7種類あります。
中でも釣藤散(チョウトウサン)とよばれる漢方薬は血管を拡張する働きがある生薬が配合されているため、動脈硬化の進行が疑われるときや、高血圧が原因の頭痛やめまいを緩和する目的で使われます。
その他の漢方薬と効果は以下の通りです。

大柴胡湯(ダイサイコトウ)

大柴胡湯は高血圧によって引き起こされる〈肩こり、頭痛、動悸、のぼせ、便秘〉などを改善し、さらに血圧に直接アプローチして血圧の低下を助ける働きをします。
漢方薬の中で唯一の厚生労働省から認可された漢方薬で、病院で処方してもらうこともできます。

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

肥満による高血圧の改善に効果的で、肥満が原因となる便秘やむくみ、肩こりなどを解消することで、血圧を低下させていきます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)

高血圧によって引き起こされる〈動悸、不眠、不安などの精神症状、神経症、更年期神経性、便秘〉などの症状を緩和する働きがあります。

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)

清熱剤とよばれる、体の熱を下げる働きのある漢方薬なので、ほてりやのぼせ、イライラや興奮を鎮める効果があります。イライラや興奮した状態を落ち着けることで、血圧が上昇しにくくなるように改善していきます。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散は高血圧がもたらす〈頭痛、耳鳴り、倦怠感〉などの症状を改善します。
血行を改善したり、ホルモンバランスを整える効果があるので、月経不順や月経困難の改善にも効果があるとされています。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

桃核承気湯は血流の滞りを改善することで頭痛やめまいを緩和する効果のある漢方薬です。
漢方医学では、血圧があがるのは血の巡りが悪いからであると考えられているので、血の流れを改善することによって血圧が下がるよう働きかけます。

漢方は血圧をどのように下げていくの?

漢方薬は血圧そのものを下げるのではなく、直接的な血管拡張作用や自律神経を介した降圧作用、血管内皮障害の原因となる活性酸素を除去する作用によって血圧を改善していきます。

漢方薬自体に血圧を下げる効果はないので、高血圧の治療をしている場合は、降圧剤と組み合わせて使用すると良いでしょう。ただし降圧剤によっては飲み合わせに注意が必要なため、降圧剤と併用してもよいかどうかを必ず医師に確認してください。

漢方薬と一緒に取り入れたい高血圧対策は?

漢方薬は効果が現れるまでに時間がかかり、効果自体にも個人差があります。漢方薬の服用を開始した場合でも、日常の生活習慣を整えて高血圧対策をすることが大切です。具体的には以下のような点に注意しましょう。

  • 塩分を控えめにする(1日6~7gほどに抑える)
  • 脂質を控えめにして、DHAやEPAなどの魚油を積極的に取り入れる
  • 適正カロリーを守って、適正体重を維持する
  • 有酸素運動を中心の運動習慣を身に付ける
  • 過度な飲酒を控える
  • 禁煙する

おわりに:漢方薬の作用は穏やかなので、漢方薬以外の高血圧対策も忘れずに

漢方薬は高血圧が原因となっている症状を改善することで、血圧の上昇が緩やかになるよう手助けするような役割があります。血圧そのものを下げる効果はないので、食事や運動などのそのほかの高血圧対策も必要になります。
また、すでに降圧薬などの治療薬を飲んでいる人は、漢方薬を併用してもいいか確認をとってから服用するようにしてください。

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