炭水化物が原因で太るのはホント? ~炭水化物と体重の関係~

2017/3/23

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

炭水化物といえば何を想像しますか? ご飯やパン、麺などが思い浮かべやすいと思いすが、太りやすいイメージがありますよね? でも、実は炭水化物が原因で太るとはいいきれないというデータがあります。
ここでは、炭水化物がどのように体重と関係していくのかを紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

炭水化物の栄養

炭水化物は、食品中に存在する3大栄養素(食事の大部分を構成する栄養素)の1つ(残りの2つは脂肪とタンパク質)です。これらのうちの1つの栄養素のみで成り立っている食品はほとんどなく、多くの食品は炭水化物、脂肪、タンパク質がさまざまな比率で組み合わさって構成されています。食品中にみられる炭水化物は、糖、デンプン、食物繊維の3種類です。

炭水化物で太らない?

どんな食物であれ、食べ過ぎれば太ります。食事の脂肪の量が多くても、あるいは炭水化物が多くても、身体が使うよりも多くのエネルギーを頻繁に取り込めば体重が増えます。
実際、量当たりで比較した場合、炭水化物のカロリー量は脂肪が含有するカロリーの半分もありません。また、繊維たっぷりの食物は食事の体積を増すので満腹感があります。

しかし糖分を多く含む食物は、カロリー量が高いことが多く、これらを頻繁にとると肥満につながる可能性があります。糖分の多い食物が食事全体のエネルギー量を増大させてしまい、それがいずれ肥満につながる、ということを示すという報告もあります。
炭水化物を減らして減量しているとき、実は炭水化物だけをカットしているのではありません。その食物を構成しているバター、チーズ、クリーム、砂糖、油などの高カロリー成分をもカットしています。カロリーを多量にとれば、炭水化物であれ、あるいは炭水化物や脂肪であれ、肥満につながるのです。

小麦の摂取量を減らせば減量できるか?

パンや麺などの小麦食品を体重を増やす元凶と考える人がいます。
小麦は、パン、パスタ、ピザ、シリアルなど、さまざまな食品に使われています。しかし、小麦がほかの食品に比べて肥満の原因になるという確証は示されていません。
小麦アレルギーや小児脂肪便症(セリアック病)を患っていない限り、食事における小麦などの穀物摂取量を減らすことが健康につながるということを示す事実はみつかっていません。
穀物、特に全粒系の食物は、健康的でバランスの取れた食事に欠かせません。
全粒粉の穀物、小麦、パンは身体にエネルギーを与えてくれるのみならず、ビタミンB、ビタミンE、食物繊維、そして幅広いミネラルを含有します。

炭水化物はタンパク質に比べて満腹感を得やすい?

炭水化物とタンパク質は、およその単位量あたり同程度のカロリーを含有していますが、満腹感に影響を及ぼす要因は食べ物の種類、食べ方、量などにあります。また、満腹感も人によって差があります。

タンパク質が豊富な食物をとると満腹感を得ることができるので、マメ科の植物、魚、卵、肉、その他のタンパク質食物を食事の中に取り入れましょう。ですが、これらの取りすぎもよくありません。

おわりに:炭水化物で太ることはありません

これまで述べてきたように、炭水化物が太る直接的な原因にはなりません。
しかし、どんな食べ物でも食べ過ぎてしまうと、太ってしまったり、健康に害を及ぼす可能性があります。
太ると思って炭水化物を抜いていたという方はこれを機に、食事のメニューを見直してみてください。

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