記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/23 記事改定日: 2018/7/25
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
妊活というと女性側からの働きかけが重視される印象がありますが、当然男性の役割も重要です。
この記事では、男性が注意しておきたい男性不妊症の原因や対策について解説していきます。また、サプリメントを利用するときの注意点も紹介しているので参考にしてください。
不妊症とは、避妊薬を使わない状態で1年間以上妊娠しないこととされ、約15%のカップルが不妊という統計もあります。精子数が少なすぎる場合、または精子が卵子との結合を阻害する場合、男性不妊とみなされます。
夫婦で1年間妊娠する努力をしても妊娠しなかったときは、女性の年齢が要因のときは早期の治療が必要な場合がありますので、早めに病院に相談することをおすすめします。
男性不妊症の原因として特に多いのは、精索静脈瘤といわれています。 静脈は陰嚢の内側の温度を高め、精巣でつくりだす精子を減少させるおそれがあります。 そのほか、男性不妊の原因となるものは、以下の通りです。
そのほか、妊娠に影響を及ぼす要因には、喫煙、過度のアルコール摂取および違法薬物の乱用、精神的ストレス、肥満、年齢(35歳を超える男性)といったものがあり、遺伝的問題という可能性もあります。
気になることがある場合は病院で検査を受け、医師のアドバイスのもと適切な対処を始めましょう。
男性不妊に効果があるというサプリメントは様々なものが販売されています。サプリには不妊によいとされる栄養素が豊富に含まれていますが、中でも亜鉛とマカはほぼすべてのサプリに含まれています。
亜鉛は精子の生成に必要な栄養素であり、マカはホルモンバランスを整え、造精能や精子の質を向上させる働きがあるとされています。
これらのサプリメントは薬ではありませんが、過剰に摂りすぎると思わぬ副作用が出ることもあります。使用するときは必ず一日の用量を守りましょう。また、亜鉛やマカだけを摂っていても効果は薄いといわれています。精子の質を向上させ妊娠の確率を上げるには規則正しい食生活と生活習慣が必要です。サプリメントはあくまで補助的な役割を果たすに過ぎないことをよく認識しておきましょう。
男性の不妊症は、改善可能な問題を特定して治療することが重要です。検査で男性不妊症を引き起こしている根本的な問題が見つかることがあります。
男性不妊の90%は精子に問題があるためとされています。このため、最も重要なのは、精液中の精子の数や形、運動能力なども評価する精液検査です。精液検査は、採取した精液を顕微鏡で観察する検査ですが、病院の個室でマスタベーションによって採取することもあれば、朝自宅で採取したものを病院に届けることもあります。
また、他にも精巣の機能を評価するためのホルモン検査や、染色体検査などが行われます。
検査はすべての人が同じものを受けるわけではなく、その人に合わせて物を選んで行われます。
男性不妊症の2分の1以上は治すことができるとされ、生活習慣の変化(健康的な生活、アルコールの減少、有害物質の排除、睾丸の涼しい状態の維持)で好転する可能性があります。また、男性の精子数を増加させる治療法が有効なケースもあります。
治療には、内科的治療・外科的治療があり、患者さんの不妊の原因にあわせて複数の治療法が組み合わされることもあります。
タイミング療法とは、一般的に、男女とも検査で異常がない場合に不妊治療の第一歩として行われる治療です。
女性の基礎体温や定期的な超音波検査によって卵胞の発育状態を観察し、排卵の時期を推測することで受精の可能性が高い日に性行為を行うように指導される治療法です。
不妊の原因となる異常がない場合には、タイミング療法を続けることで一年以内に90%以上のカップルが妊娠を成立するとされています。
男性不妊の中で、性機能に障害が生じている場合には、ED治療薬であるバイアグラやシアリスなどが処方され、その原因が精神的なストレスなどが基になっているときには抗うつ薬や抗不安薬などが併用されることがあります。
一方、精巣の機能が低下している場合には、hCGやFSHなどのホルモン治療が行われます。また、精子の数や運動率が低下している例に対しては、漢方薬やビタミン剤などが処方されることもありますが、明確な効果が立証された治療法ではなく、治療効果が得られないことも多いのが現状です。
男性不妊の原因の一つに、精索静脈瘤が挙げられます。これは、静脈瘤があることで正常に精子が形成されず、内科的な治療で薬を飲んでも改善することはありません。そのため、精索静脈瘤がある人は、一般的に手術による治療が行われます。手術は非常に簡単で、精巣の静脈を結んで静脈瘤を解除するというものです。日帰り手術も可能であり、手術によって大幅な妊娠率の向上が期待できます。
また、精巣上体炎などの後遺症によって精管などの精子の通り道に閉塞がある場合にはその通り道を再建して正常な射精が行えるように手術することもあります。治療は閉塞が生じてから早ければ早いほどよく、早期に手術を行えば約90%の人は正常な射精が行えるようになります。
一方、精子自体の数が極端に少ない例では、人工授精や顕微授精も行えないため、精子を回収するための手術が行われることがあります。これは、精巣の組織の一部を採取して、その中から精子を探すというものです。精路再建で効果がなかった人にも用いられます。
ただし、精路に異常がない無精子症の人では、この手術を行っても精子を回収できないことも稀ではありません。
男性不妊症の原因とその要因となるものを紹介してきました。妊活中の男性は、生活習慣を改善して健康的に過ごしていくことが重要になります。ただし、妊活を始めて1年以上妊娠がない場合は、病院での治療が必要な可能性があるので早めに受診しましょう。
また、マカや亜鉛などサプリメントに一定の効果が期待できる可能性はありますが、それだけで不妊が改善するとは言い切れません。そして、マカや亜鉛には過剰摂取のリスクもあります。
不確かな情報に流されることないように注意し、分からないこと、不安なことがあるときはまずは専門医に相談するようにしてください。