記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/7
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠初期には様々な体の変化が現れますが、「おなら」が出やすくなると聞いたことはないでしょうか。おならが出ること自体が母体やおなかの赤ちゃんに悪影響を与えることはありませんが、あまりに頻繁に出るようになると恥ずかしさから余計な悩みを抱えることにもなりかねません。
おならの悩みは他人に相談しにくいという人もいるかもしれません。妊娠初期のおならの原因と対処法について解説していくので参考にしてください。
妊娠中、おならが溜まりやすいと感じる人は多いのではないでしょうか。実際に、妊娠中はおならが増えてしまいます。おならが増える原因は、ホルモンバランスの変化によるものと、子宮が大きくなることによる内臓の圧迫によるものの二つがあります。
ホルモンバランスに大きく影響を与えるのが、「プロゲステロン」という女性ホルモンです。プロゲステロンは妊娠すると分泌量が増えます。プロゲステロンには、消化器の筋肉を緩める働きがあるため、増加すると胃や腸の働きが悪くなってしまうでしょう。
また、子宮が大きくなると、胃や腸などの内臓を圧迫します。圧迫された内臓は血流が悪くなるため、機能が低下してしまいます。
この二つの原因により、働きが弱くなってしまった胃や腸には、食べ物が長時間とどまってしまうため、ガスを発生させてしまいます。このガスが腸内に溜まると、おならとして外に排出されるので、妊娠初期は特におならが増えやすいと言えるでしょう。
妊娠中は、おならだけでなくげっぷも出やすくなります。げっぷがでやすい原因もおならと同じで、ホルモンバランスの変化などによる胃腸の機能低下により発生したガスによるものです。ガスが貯まるとおならとなり、胃に溜まったものが外に排出されるとげっぷになります。
また、空気の飲み込みが多い時にもげっぷが増えます。特に、食べづわりの人は普段より多く空気を飲み込むことになるので、げっぷをしやすくなるかもしれません。
このように、妊娠中はおならと同じ理由により、げっぷも引き起こされることがわかります。
妊娠中は便秘になりやすい環境にあります。そして妊娠初期に増えるおならには、便秘が大きな影響を及ぼすことが多いといわれています。便秘になると便やガスが外に排出されずに腸に溜まっていくため、おならが出やすくなってしまうのです。
妊娠初期の便秘の原因として、栄養バランスが悪くなりがちということが挙げられます。多くの人が経験するつわりでは、食べ物や飲み物が偏ることも多く、なかには水分すら取れない人もいます。すると、食物繊維や脂分、水分が減少して便が固くなってしまうのです。
そして、体の状態によっては医師に運動を止められることもあります。妊娠中に運動量が減少することも便秘の原因の1つといえるでしょう。運動をしなくなると、全身の血流が悪くなるので、腸のうごきも鈍くなってしまいます。さらに、子宮が大きくなって内臓を圧迫することも便秘を引き起こすことになります。
その他、疲れやストレスも便秘を引き起こす原因の1つです。妊娠初期はホルモンの影響や出産の不安などで、精神的に不安定になりやすく、疲労やストレスから自律神経が乱れやすいといわれています。自律神経は腸の働きにも影響を与え、便秘を引き起こすことがあります。
薬の成分によってはお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすため安易に薬を飲むことはおすすめできませんが、あまりにもつらい場合は薬に頼った方が良いケースもあります。
ただし、自己判断で市販薬を飲むことはしないでください。便秘が長く続くときは主治医に相談し、妊娠中でも使える便秘薬を処方してもらいましょう。
妊娠中に増えるプロゲステロンには腸のうごきを抑える働きがあるため、便秘がちです。すると腸内に老廃物がたまりやすくなり、たまった老廃物から出るガスは発酵が進んでいるため臭いが強くなりやすいといわれています。
妊娠初期は、特にホルモンのバランスが崩れやすい時期です。そのため、ストレスが溜まりやすく自律神経が乱れやすくなります。自律神経は胃腸の働きに影響がするため、胃や腸の動きが鈍くなってしまい下痢になることがあります。
また、つわりで体を動かせず運動量が低下すると、血流が悪くなり体が冷えやすくなりますし、つわりで冷たい物しか食べられない人の場合も体を冷えにつながります。冷えは下痢につながりますので、妊娠初期は冷やさないようにきちんと対策をとりましょう。
では、妊娠初期のおならを解消するにはどうしたらよいでしょうか。
妊娠中は、プロゲステロンの影響で水分がいつもより多く必要となります。普段より多めの水分を取るように心がけましょう。
次に大切なのが、食生活の改善です。特に、食物繊維を多く食品を摂るようにしましょう。イモ類や根菜類、果物やきのこを多く食べるようにしてください。
また、乳酸菌を取り入れ腸内環境を整えることも必要です。ヨーグルトや味噌などの発酵食品を多めに摂りましょう。
腸の動きは、規則正しい生活を送ることでも正常な動きに戻すことができます。特に睡眠は大切です。副交感神経の高まる22~2時の間によく眠れるよう、早寝を心がけることをおすすめします。
血流をよくするために、ストレッチなどの軽い運動をすることも効果的です。体を動かすことはストレス解消にも役立つでしょう。
妊娠初期はなにかとナーバスになりやすい時期です。おならがたまることが苦しくて、ストレスに感じてしまう人もいるでしょう。人前でおならが出たら恥ずかしいと、外出を控える人もいるかもしれません。妊娠中のおならは、便秘対策をすることである程度解消することができます。心配事は少しでも減らして、快適な妊娠生活を送りましょう。