記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
更年期障害は男女問わず、誰しもに起こり得る可能性のある病気です。そしてその症状の中でも「不眠」は特に日常生活を送る上で、体調が優れない、仕事や家事が手に付かなくなった、ストレスがたまるなど深刻な問題となります。
今回はそんな厄介な「更年期障害の不眠」について解説します。
更年期の症状の一つである「不眠」は、女性ホルモンの急激な低下により引き起こされる自律神経の乱れが主な原因とされています。自律神経が乱れると、睡眠に関係している「間脳」が影響され不眠症状を引き起こしてしまうことが原因と考えられていますが、更年期による体の変調や日ごろのストレスなどが不眠の原因となることもあるといわれています。
不眠の自覚症状として現れるものには、以下のものがあります。
男性の場合でも、中年になってから動悸や肩こり、のぼせ、発汗などの症状に悩まされているという人は、「男性更年期障害」の可能性があります。
男性更年期障害の症状として、自律神経失調症や泌尿器系の問題、精神症状などが現れることがあります。その中でも特に多いとされているのが「不眠症」で、男性更年期障害の患者さんの約4割が不眠に悩まされているとされています。
男性更年期障害は男性ホルモン「テストステロン」が年齢とともに減少することが原因とされていますが、高齢になったら全ての男性が男性更年期障害になるというわけではありません。テストステロンの減少に加えて、ストレスや過労、ビタミンやミネラルの不足、性格などのさまざまな要素が合わさり、男性更年期障害になるとされています。
更年期障害で自律神経のバランスが乱れると、副交感神経の働きが悪くなり、睡眠に影響が及ぶと考えられています。
また、不眠症には以下の4つのタイプがあり、男性更年期障害ではどのタイプの不眠症も起こる可能性があります。
以下の項目に当てはまる人は、男性更年期障害になりやすいとされています。
更年期障害のさまざまな不調(のぼせやほてり、冷えなど)は、漢方薬で緩和ができることがあります。市販薬や漢方処方などを活用して、体全体のバランスを整えましょう。
ほてり、のぼせ、倦怠感、冷え、頭痛、めまい、不眠、動悸、イライラ、不安、むくみ、肩こり、腰痛、便秘
症状が重くて辛いと感じる、日常生活に支障をきたしている、というような場合は、早めに受診することが大切です。
更年期障害の症状には、もともと体質的に起こりやすいものや(例:頭痛や肩こりなど)、他の病気の症状に似ている場合もあるため(例:高血圧、心臓病、甲状腺の病気、メニエール病など)、ご自身の症状の原因を更年期障害と決めつけないように注意が必要です。
更年期の症状には、身体的なものから精神的なものまで様々あり、個人差も大きいです。そのため、この時期に起こるトラブルを(不眠症も含め)全て更年期のせいにしてしまうと、他の重大な病気を見逃してしまうことになりかねません。ご自身で病気の判断が出来ない場合や、症状が重い場合には、すぐに医療機関で診てもらうようにしましょう。