肥満と糖尿病の関係は? カロリー制限と薬物治療の注意点とは

2018/5/1

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「肥満だと糖尿病のリスクが上がる」とよく言われますが、両者にはどんな関係性があるのでしょうか。肥満による糖尿病を治す際のカロリー制限のポイントや、薬での治療の注意点も併せて解説していきます。

肥満だとなぜ糖尿病になる?

人間は、筋肉や脂肪細胞などにブドウ糖を取り込むことでエネルギー源を生み出しますが、ブドウ糖を細胞内に取り入れるときには、膵臓から送られるインスリン(血糖値を下げるホルモン)と細胞側のインスリン受容体を結合させる仕組みとなっています。

しかし肥満の人は、血糖値を下げるためにインスリンがたくさん必要になるため、膵臓のβ細胞がインスリンを大量生産し、体内に多くのインスリンが巡るようになります。すると受容体量が相対的に少なくなる、あるは受容体の反応が悪くなるため、ブドウ糖を活用できず高血糖の状態が始まります。また、肥大した肥満細胞の影響でインスリンとレセプターが結合後に異常をきたすようになり、膵臓がさらにインスリンを生産することでさらに血糖処理が追いつかず、糖尿病を発症するようになるのです。と呼びます。

糖尿病はカロリー制限が重要

肥満が原因で糖尿病になっている人の治療では、減量によって根本的な原因である肥満を解消することが重要です。減量によって血糖コントロールが回復し、インスリンの感受性や分泌量を正常に戻すことができます。

そこで減量のために必要なのが、食事のカロリー制限と運動療法です。はじめの2〜3ヶ月で3〜5kgの減量を目標に、摂取カロリーを抑えましょう。1日の摂取カロリーの目安の計算方法は以下の通りです。

1日の摂取カロリーの目安=標準体重×体重1kgあたりに必要なカロリー
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22
※体重1kgあたりに必要なカロリー=20〜25kcal(肥満の人の場合。適正体重で標準作業の成人の場合は30kcalで計算します)

3~5kgの減量に成功したら、次は摂取カロリーの基準を少し緩め(「標準体重×30kcal」のカロリー計算にする)、運動療法をメインとした減量に切り替えていきます。月1〜2kgの減量を目標に、1日300kcal前後を運動で消費し、継続的に続けることが大切です。

糖尿病の治療薬、副作用やリスクは?

糖尿病の治療薬として、チアゾリジン薬やビグアナイド薬などのインスリン抵抗性改善薬(インスリンの感受性を向上させることで血糖値を低下させる薬)、αグルコシダーゼ阻害薬(炭水化物の消化吸収を遅くし、食後高血糖を防ぐ薬)、SGLT2阻害薬(血中のブドウ糖を尿から排出させ、血糖値を低下させる薬)などが処方されることがあります。

この中でもSGLT2阻害薬は痩せ薬としても知られ、脂肪を分解し肥満の改善に高い効果を発揮しますが、脂肪だけでなく筋肉も分解してしまう恐れがあり、筋力低下のリスクが指摘されています。また尿量を増やして糖分を排出する作用があるため、副作用として多尿による脱水を起こしやすくなり、水分不足から脳梗塞の発症リスクが上がるとも言われています。さらに、皮膚の紅斑や、尿中の糖分が多いことによる尿路感染症も、起こる可能性のある副作用です。

おわりに:カロリー制限と運動で肥満を解消し、糖尿病の発症・進行を防ごう

肥満は糖尿病の発症リスクを高める主要因の一つです。糖尿病は薬での治療も有効ですが、ご紹介したように薬にはさまざまな副作用があるため、治療の基本として食事療法と運動療法をしっかり行うことが重要です。まずは摂取カロリーの目安を知り、減量に努めましょう。

この記事に含まれるキーワード

カロリー(27) 薬(189) 糖尿病(266) 肥満(81) 副作用(93) 脱水(26) 尿路感染症(23) なぜ(12) 関係(7) 筋力低下(12) SGLT2阻害薬(2) 皮膚の紅斑(1)