記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27 記事改定日: 2019/4/1
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
実際に音がするわけではないのに、音を感じてしまう耳鳴り。この耳鳴りはストレスが原因で起こることもあると言われていますが、それは本当でしょうか?
ここでは、耳鳴りとストレスとの関係性について解説していきます。
耳鳴りは、爆発音や大音量の音楽などの「突然の大きな音」で「内耳の蝸牛の感覚細胞」が傷つくことが主な原因です。このような耳鳴りは音を聴いた直後に強い耳鳴りが起こります。
また、耳垢の蓄積やゴミ、虫が外耳道を塞いだことで、耳鳴りが起きることもあります。
仕事や人間関係などの精神的ストレス、寝不足などの身体的ストレスが長期間続くと、自律神経が乱れることで耳鳴りが起こるともいわれていますが、現在のところ耳鳴りとストレスの関連性を示す科学的な根拠はありません。
なお、ストレスによる耳鳴りの場合はめまいを併発することが多い傾向があります。
近年の研究では、難聴による脳神経の異常興奮が原因で耳鳴りが起こる可能性があると考えられ始めています。
耳の役割は空気の振動を電気信号として脳に伝えることであり、音を感知しています。人間はそうして伝わってきた音を脳が認識したときに初めて音を感知するのです。
人間の脳は一定の音域の電気信号が送られてこない状態が続くと、その音域への感受性を高めようとして脳神経を活性化させますが、これが過度に興奮状態になることで音に対して過剰に反応してしまい、耳鳴りが起こるのではと考えられています。
特に高齢者は加齢とともに内耳の感覚細胞が減少するため、徐々に難聴気味になります(老人性難聴)。老人性難聴は高音が聴こえにくいことが多いため、「キーン」や「ピー」という高い音域の耳鳴りが出やすいといわれています。
年を重ねてから「キーン」という耳鳴りが聴こえ始めたなら、いわゆる老化による難聴が原因かもしれません。
ただ、若い人でも、ストレスやウイルス感染、内耳の血流障害などが原因で突発性難聴を起こすことがあります。こうした突発性難聴もキーンという高音の耳鳴りが特徴で、片耳に起こることが多く、大半はめまいを伴います。
耳鳴りには様々なタイプのものがありますが、「ゴー」や「ブーン」といった低音が続く耳鳴りも良く見られるタイプと言えます。
このような低音の耳鳴りは、中耳炎や耳垢の詰まりなど耳閉感を生じる病気やメニエール病・突発性難聴のような内耳に生じる病気が原因のことがあります。
また、ストレスや気圧の変化が生じた時にも起こりやすい症状であり、検査上特に異常が見られないケースも少なくありません。
病院での耳鳴りの治療は、まずその原因をしっかり特定することが大切です。
中耳炎や耳垢閉塞症などが原因の場合には、抗生物質の投与や外耳道内の洗浄などが行われ、メニエール病や突発性難聴では利尿薬やステロイド薬の投与が行われます。
また、重症なメニエール病や突発性難聴では、内耳を開放する手術や直接中耳・内耳内にステロイドを注入する治療が行われることもあります。
そのほか、ストレスなどの精神的な要因が関与していると考えられるときや原因がはっきりしあいときには、抗うつ薬や抗不安薬、ビタミン剤、漢方薬などが使用されることもありますが、効果には個人差があります。
ストレスや突然の大きな音、難聴、病気など、耳鳴りの原因としてはさまざまなものが考えられます。治療に向けて、どんなときから耳鳴りがするようになったのか、どんな音がするのか、ほかにどんな症状が出ているかといったことを踏まえ、何が原因かをまずは把握することが大切です。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。