記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/6/5
記事監修医師
前田 裕斗 先生
PMS(月経前症候群)の症状のひとつに、「無性にイライラする」ことがあります。この時期特有のイライラを解消するために、どんなことができるでしょうか。この記事では、イライラへの対処法を中心に解説します。
PMS(月経前症候群)のイライラを解消するためには、軽いウォーキングやジョギングなどで体を動かすことがおすすめです。「適度な有酸素運動に取り組むと、PMSの症状が改善する」とも言われています。
最寄り駅のひとつ手前で降りて歩いたり、家までの帰り道で遠回りするなどして、毎日の生活の中で体を動かす習慣を取り入れてみましょう。もし、体がだるくて外に出るのもおっくうなときは、部屋でストレッチをするだけでもスッキリすると思います。
また、紙とペンを用意して、気の向くままにイライラの原因を紙に書き出すのもおすすめです。イライラの原因を紙に書き出すことで客観視することができるので、「どうすればこのイライラを解消できるだろう」というふうに、視点を切り替えやすくなります。
PMSのイライラを解消するには、女性ホルモンに似た働きを持つ「イソフラボン」が豊富な食べ物を摂るのがおすすめです。納豆やお豆腐、厚揚げなどを積極的に食べましょう。また、ビタミンEが豊富なナッツ類(アーモンドなど)やビタミン・ミネラルが豊富な緑黄色野菜もおすすめです。
また、PMSのイライラ解消に役立つ飲み物として、イソフラボンが豊富な豆乳やノンカフェインのハーブティー(カモミール、チェストツリー)がおすすめです。カモミールは鎮静効果が、チェストツリーにはPMSを改善する効果があると言われています。
PMSのときに控えたほうがいい食べ物は、お菓子やレトルト食品、ファーストフードです。特に、お菓子に含まれる白砂糖は血糖値の急激に変動させるので、PMSのイライラを強めてしまう効果があります。
また、控えたほうがいい飲み物としては、カフェインが含まれているもの(コーヒー、紅茶、緑茶など)やアルコール類があります。月経前でイライラしていると感じたら、こうした食べ物や飲み物はできるだけ控えましょう。
今すぐ妊娠を考えている・・・といった事情がないなら、PMSのイライラ対策として低用量ピルを服用するのもおすすめです。低用量ピルを服用すると、血液中に含まれる女性ホルモン量の変動が穏やかになるため、血中のホルモン量が安定するとともに、PMSが緩和します。
もし、低用量ピルの服用をためらう場合は、漢方薬を処方してもらうのもおすすめです。PMSのイライラを解消する漢方薬として、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などがあります。このような漢方薬は、一人ひとりの症状の程度や体調に応じて処方されます。
PMSでイライラするのは、自分自身で感情をコントロールできないからだ・・・と自分を責めてしまうことがあるかもしれません。また、「単なる感情の乱れで、病院に行くのはムダじゃないかな」と思うかもしれません。でも、医師から「PMSですね」と言われることで、自分自身に問題があるわけではなかったことがわかって気持ちがラクになりますし、処方薬などで症状を和らげることもできます。ただ、PMSかどうかを自分で判断するのが難しいので、症状が気になり始めたら婦人科で診てもらいましょう。
個人差はあるものの、PMSのイライラは月経前の3日~10日から始まると言われています。
PMSの症状のひとつである感情の乱れは、運動や食事で改善することができます。つらいときに運動したり、食事の改善に取り組むのは大変かもしれませんが、少しずつ取り入れてみてください。ただ、症状がひどくて日常生活を過ごすのもつらいときは、婦人科で診てもらい、自分に合う薬を処方してもらうことをおすすめします。