更年期による「うつ」と普通の「うつ病」の違いは?

2018/6/5

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

更年期になるとうつ症状が出ることがあると言われますが、更年期のうつは一般的なうつ病とどう違うのでしょうか?症状や原因、治療法を解説します。

更年期による「うつ」と普通の「うつ病」の違いは?

更年期による「うつ」状態と普通の「うつ病」は、うつ自体の症状は似通っているため、それだけで区別することは難しいと言われています。

しかし、更年期によるうつ状態とうつ病では根本的な原因が異なっているため、よく観察するとうつと併発している身体症状に違いが出ていることも多いです。また、はじめは更年期によるうつ症状であったものが、時間が経つにつれて本格的なうつ病へと変化していくケースも報告されています。

更年期から本格的なうつ病に移行してしまうと、治療・完治はより難しくなります。だからこそ、更年期を発症しやすい40~50代の女性にうつ症状が見られた場合は、早期に原因を特定し、本格的なうつ病になる前に治療を開始することが大切です。

「更年期うつ」の症状

更年期によるうつと、本格的なうつ病が違う病気であることがわかったら、次は、更年期うつの代表的な症状を確認していきましょう。

更年期うつの代表的な症状6つ

  • イライラ、不安感、感情の起伏が激しいなど、精神不安定
  • 気分の落ち込み、自己嫌悪感、被害妄想がひどい
  • 寝つきが悪い、眠りが浅いなど不眠・睡眠障害が見られる
  • 食欲がわかない
  • 何をしていても楽しくない、辛い、悲しい
  • 物忘れがひどくなった

上記に加えて、更年期特有の以下のような身体症状が見られるようであれば、うつ病よりも更年期うつを発症している可能性がかなり高いと推測できます。

更年期特有の身体症状の例

のぼせ、ほてり、手足・腰の冷え、ホットフラッシュ、動悸・息切れ、頭痛、めまい、肩こり、手足のむくみ  など

更年期にうつを発症しやすい原因

更年期にうつを発症しやすい主な原因として、以下の3つが考えられます。

《1》ホルモンバランスの乱れによる、自律神経の乱れ

そもそも更年期障害は、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが急激に減少することでホルモンバランスが乱れ、さまざまな不調が出ることを言います。

このホルモンバランスの乱れは、休息や睡眠などをコントロールする自律神経の働きにも作用するため、精神面も不安定にすることがあるのです。

《2》子育てがひと段落して「空の巣症候群」になった

更年期症状が起きやすい40~50代の女性は、子育てがひと段落して子供たちが手を離れ、これまで子供中心だった生活環境が急激に変わりやすい時期でもあります。

このような急激な環境変化によって虚無感や喪失感に襲われ、家庭生活にストレスやさみしさを感じて、うつ状態になる人もいます。

《3》老いることに、急激に不安や恐怖を感じるようになった

自分の見た目や能力の変化を感じ、これから年齢を重ねて置いていくことが怖くなり、不安感に襲われやすくなるというパターンもあります。

更年期のうつ症状は、上記のような原因の1つだけでなく、複合的に絡み合って発症する傾向も強く見られます。

「更年期うつ」は治療できる?

更年期うつの代表的な治療法には、以下の4つのパターンが挙げられます。

  • 不足している女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法」
  • 個人の体質、体格によって処方された漢方薬を服用する「漢方療法」
  • 抗うつ薬、抗不安薬などを服用する「向精神薬による治療」
  • いわゆるカウンセリングのような「精神療法、認知行動療法」

これらの中から、ホルモンバランスの乱れが大きいと考えられる患者にはホルモン補充療法、心理的要因が強いなら向精神薬など、症状によって治療法を選択するのが一般的です。

おわりに:更年期の「うつ」と普通の「うつ病」は別物!

一見すると同じように感じる「更年期うつ」と「うつ病」ですが、実際の細かな症状・原因・治療法は異なります。うつ症状自体は似通っているので判断が難しいですが、適切な治療を受けなければ、更年期うつが本格的なうつ病に進行してしまうこともあります。更年期うつは早期の適切な治療で完治が見込めますので、40~50代の女性に疑わしい症状が見られたら、できるだけ早く病院での診断・治療を受けてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

うつ病(69) ホットフラッシュ(19) ホルモン補充療法(11) 子育て(10) 漢方薬(77) ホルモンバランス(24) 更年期のうつ(2)